注目映画紹介:「クレイジー・ハート」 オスカー2冠 カントリーと魂の再生の物語

「クレイジー・ハート」の一場面。(C)2009 Twentieth Century Fox
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「クレイジー・ハート」の一場面。(C)2009 Twentieth Century Fox

 今年の米アカデミー賞で、主演男優賞と主題歌賞の2冠を達成した話題作「クレイジー・ハート」(スコット・クーパー監督)が12日に全国で公開された。

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 落ちぶれたカントリー歌手・バッド役のジェフ・ブリッジスさんが主演男優賞を獲得し、彼をよみがえらせる地元紙の記者でシングルマザーのジーン・クラドック役のマギー・ギレンホールさんが同じく助演女優賞にノミネートされた。さらに、バッドの愛弟子役で登場するコリン・ファレルさんが自慢の歌を披露。派手な作りの作品ではないし、ストーリーも人間同士の心の交流を描くことに腐心したオーソドックスな内容だ。カントリーミュージックがその土地の人々の心に深く刻み込まれるように、この映画もまた、見る者の心にしっかりと根を下ろす。

 かつて人気カントリーミュージシャンだったバッド・ブレイク(ブリッジスさん)も、いまやすっかり落ちぶれて酒におぼれる日々。それでも、マネジャーの努力もあり、ひとまず地方巡業を続けている。そんな彼の前に地元紙の記者でシングルマザーのジーン・クラドック(ギレンホールさん)が現れる。彼女と過ごす時間が、バッドを再生の道へと踏み出させる。

 トーマス・コッブによる小説を、自身も俳優として活躍するクーパー監督が自ら脚色した。監督自身の才能の大きさもあろうが、クーパーさんと過去に共演した名優ロバート・デュバルさんが製作を担当。今作の完成に多大な力を与えている。さらにデュバルさんは出番は少ないながら、バッドに手を差し伸べるよき理解者ウェイン役で出演しており、プライベートにおける彼の人柄が、ウェイン役に反映されているのではないかと推察される。

 心地よさがしみわたる魂の再生と救済の物語。老若男女を問わずみなが共鳴できる作品だ。12日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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