ラノベ質問状:「氷結鏡界のエデン」“絆”と“約束”描く繊細なストーリー

細音啓さん作、カスカベアキラさんイラストの「氷結鏡界のエデン」(富士見書房)1巻
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細音啓さん作、カスカベアキラさんイラストの「氷結鏡界のエデン」(富士見書房)1巻

 話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、巫女(みこ)の結界下で人が暮らす浮遊大陸から“堕(お)ちた”過去を持つ主人公と、幼なじみで巫女となったヒロインの物語「氷結鏡界のエデン」(細音啓著、カスカベアキラ画)です。富士見書房・ファンタジア文庫編集部の賀屋聡子さんに作品の魅力を聞きました。

ウナギノボリ

 −−この作品の魅力は?

 「大切な約束のために、人はどれだけがんばれるのか?」

 この作品のテーマは、ズバリこれです。

 物語の舞台は、幽幻種という謎の敵に人類が襲われる世界。巫女の祈りで守られた大陸でのみ、人は生きることができます。しかし、主人公のシェルティスは大陸から堕ち、異端の烙印(らくいん)を押された少年。彼は、幼なじみで今は結界の巫女となったユミィと、ある約束を交わしています。

 それは−−「必ず君の隣に行く」というもの。結界の巫女として世界の中心にいるユミィと、異端の烙印を押され世界に反する存在のシェルティス。正反対の運命をもつ2人が、いろんな困難を乗り越えて、お互いのもとへたどり着こうとする姿は、切なくてドキドキします! 大切な人がいる幸せ、その人と約束を交わせる喜び−−。著者・細音啓が描く“人と人との絆(きずな)”が、とてもすてきなものだと、読めば実感していただけると思います!!

 −−作品が生まれたきっかけは?

 細音さんが、デビュー作でもある前シリーズ「黄昏色(たそがれいろ)の詠使(うたつか)い」を書きながら、アイデアを温めていました。幸い「黄昏色」シリーズは読者のみなさんから根強い応援をいただいていたので、その時の持ち味である“絆”や“約束”といったキーワードを盛り込みながら、新作にチャレンジしたらどうか、と細音さんと相談したんです。そしたら速攻で「これがやりたいです!」とアイデアが出てきました。最強の双剣使いながら異端ゆえに追放された少年と、彼を世界の中心で待つ少女の約束の物語−−これはイケる!という手ごたえを得て、刊行の準備に入った記憶があります。

 ちなみに細音作品のもうひとつの特徴として、繊細な世界観があります。特に、細音さんがゼロから完全に創作した言語でつむがれる結界の発動シーンは、圧巻です! ぜひ一度読んでみてください。

 −−作者とイラストレーターはどんな方でしょうか?

 著者の細音さんは、とてもおだやかで優しく、作品のイメージと同じ印象の方です。作品を通じて読者さんに伝えたいものが確実にあって、それを形にする努力を怠らない方だと思います。

 イラストレーターのカスカベアキラさんは、イラストを探している時に雑誌で拝見して「これだ!」と一目ぼれでした。一緒にお仕事をさせていただいて、りりしいシェルティスや、かわいいユミィを描きあげていただくたびに、細音さんと一緒にメロメロになっています(笑)。「氷結鏡界のエデン」は設定が膨大で、新しいキャラを起こす時に、とても手間がかかるのですが、にこやかに対応してくださる素敵な方です!

 −−今後の展開、読者へ一言お願いします。

 8月20日刊行の最新刊で、シェルティスとユミィを取り巻く環境が変わり、物語も新しい局面を迎えます。弊社発行の「ドラゴンマガジン」での展開も含めて、ますます盛り上がる予定です。いつも読んでくださっているみなさんのご期待を裏切らないように、著者、イラストレーターと共に、がんばります! 「まだ読んでいないよ」という方は、ぜひぜひよろしくお願いします。8月発売の新刊まで含めてもまだ4巻なので、今なら読みやすい長さです(笑)!

 富士見書房 文芸グループ ファンタジア文庫編集部 担当・賀屋聡子

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