注目映画紹介:「クロッシング」 NYブルックリンを舞台に刑事たちの生きざまを描いたサスペンス

「クロシッング」の一場面。(C)2008 BROOKLYN’S FINEST PRODUCTIONS,INC
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「クロシッング」の一場面。(C)2008 BROOKLYN’S FINEST PRODUCTIONS,INC

 「トレーニング デイ」(01年)のアントワン・フークア監督の最新作「クロッシング」が30日に公開される。全米公開時に話題になっただけでなく、本国ではDVDもヒットした本作は、ニューヨークを舞台にしたクライム(犯罪)サスペンスだ。犯罪多発地帯を舞台に、リチャード・ギアさんとイーサン・ホークさん、ドン・チードルさんの3人の刑事がそれぞれの葛藤(かっとう)と男の生きざまを見せていく。

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 NYブルックリンにある“BK公営住宅”で、警官による強盗事件が起きて黒人青年が殺された。エディ(ギアさん)は、定年退職目前の警官。なるべく首を突っ込まず、波風立てることなく警官人生を歩んできた。熱血な新人警官をうるさいと思いながらも、心の底では自分にもの足りなさを感じている。麻薬捜査官のサル(ホークさん)は、妻と子どもに新居を与えたくて、大金を手に入れたいと思っていた。潜入捜査官のタンゴ(チードルさん)は、ギャングの味方のふりをしながら捜査を続け、昇進したいと思っていた……。

 3人とも自分の中に足りないもの感じ、それを欲しがっている。それは野心、金、出世という男の欲望だ。その欲望と向き合う姿を、「正義」を信念にする刑事というフィルターを通して描かれるのだから興味深い。3人は刑事である自分に少なからずプレッシャーを感じ、それぞれの葛藤が丁寧に描かれている。また、3人を簡単に交差させないため、ジワジワとラストまで引っ張られ、息のつまるドラマから目が離せなくなる。

 自身も映画の舞台であるイーストブルックリンで育ったというマイケル・C・マーティンさんが脚本を手がけた。本作がデビュー作だというが、そうとは思えない重厚な出来だ。観賞後に「死ぬ気でできる何かはあるか」と問いかけられているように感じた。それがこの作品に込めた脚本家と監督からのメッセージだと私は受け取ることにした。30日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)、新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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