クルム伊達公子:「グランドスラムでベストパフォーマンスしたい!」 WOWOWインタビュー

11年1月には「全豪オープンテニス」に臨むクルム伊達公子選手 写真:Natsuki Sakai/アフロ
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11年1月には「全豪オープンテニス」に臨むクルム伊達公子選手 写真:Natsuki Sakai/アフロ

 アスリートの限界に挑む40歳のベテラン女子テニスプレーヤー、クルム伊達公子選手を追ったドキュメンタリー「錦織・クルム伊達 それぞれの世界挑戦2010」が、WOWOWで19日午後11時から放送される。08年に現役復帰し、今年5月に開催された「全仏オープンテニス」で元世界ランキング1位のディナラ・サフィナ選手を見事な逆転劇で破り、自身14年ぶりのグランドスラムでの勝利を果たしたクルム伊達選手。「東レ パンパシフィック・オープン」でもマリア・シャラポワ選手を破る快進撃を見せた。来月には11年のグランドスラム初戦「全豪オープンテニス」も控え、いまだ衰えを感じさせないクルム伊達選手がWOWOWの独占インタビューに応えた。(毎日新聞デジタル)

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 −−全仏オープンでサフィナ選手と戦った時、足を痛めていました。

 全仏オープン前は足の状態があまりにも悪く、出るはずだった直前の大会もやめ、練習も最低限のレベルにしました。何もしないことが一番の回復につながると思い、まだ足に爆弾がある状態ではありましたが、休んだお陰で試合当日を迎えることができました。

 −−3カ月も足のケガが続き、不安がある中での全仏オープンだったと思います。

 開き直るしかないと思いました。どん底の状態になってしまったので、準備ができてないことよりも、まずはコートに立てるかどうか、1試合を戦え抜けるかどうか、というレベルのことを自分の中で考えていましたね。フォアやサーブの調子がどうとか、土に慣れていないとか、そういう考えは超えていた感じです。どんな状態でもコートに立って、1試合を攻めて、1試合を戦い抜きたい! ……まずはそのレベルに行きたいと思いました。

 −−元世界ランキング1位のサフィナ選手と戦った時の印象は?

 ファーストサービスがあの高い身長から入ると苦しいことは百も承知でした。でもパワー面では、以前よりも体がシェイプされていたので、少し落ちているかなと思いました。実際、試合が始まってみたとき、ボールが入ってくる角度はセンターだと脅威であっても、全体的なスピードは思った通り少し落ちているなと、確認しながら戦えました。

 −−サフィナ選手に勝利した瞬間、珍しく涙ぐんでいましたね?

 苦しかったので。審判に握手するのも忘れていたぐらいで、後から気が付いて審判を追いかけました(笑い)。クレーコートは私の一番苦手なサーフェスだし、土に慣れる間もなかったし、さらに足はあの状況だし、相手はサフィナ選手だし……それがもう一気に解放されたという感じでした。

 −−スタンディングオベーションで会場の雰囲気も最高だったと思います。

 全仏オープンのコートは、自身がベスト4に入った時にマヨーリ選手に勝った場所でもあり、すごく思い出のコートでした。こういう形でまた立つことができて、さらに私の「メモリアル・コート」になったかな。

 −−20代の時に戦っていた選手たちと、今の選手たちのテニスに違いはありますか?

 やっぱりパワーとスピードですね。今の選手はどこから追い込まれても、カウンターかパワーで返してきます。以前はラリーの中で必ず体制を立て直すための「抜くボール」があったのですが、今はそれがない。長年やってきた感覚で、そんなすごい所には返して来ないだろうと思っていても、「あれ!こんなところにそこから打ってくる?」と感じることがありますね。相手を追い込んでいたはずが、逆にカウンターを受けてしまうケースがあるのが、今のテニスで一番感じるところです。

 −−今年はファイナルセットでの勝率が6割超と勝負強さを発揮していますが、「スロースターター」と感じることは?

 私は押し切るタイプでなく、相手のボールを吸収して、それに合わせながら自分のペースに持ち込むテニスをするので、どうしても波長が合うまで時間がかかってしまいます。その結果、スロースターターにならざるを得ないところがあります。いつも長い試合をして、「明日は2時間以内で帰ってきなさい。年も年なんだから!」とコーチに言われますが、当然、自分の体力のことを考えると、できれば1時間30分以内に収めて、2セットで試合を終えて、体力温存したいと思っています。でもそう簡単にできないんですよね。

 −−11年の目標は?

 再チャレンジから2年半がたち、3年目を迎えて11年を戦うことになります。10年はグランドスラムのドロー運にも恵まれず、シード選手と当たることが多かったり、なかなか出したかった結果が伴わなかったりしたのですが、11年こそはグランドスラムでベストパフォーマンスをして、結果が出せればいいなと思っています!

 「錦織・クルム伊達 それぞれの世界挑戦2010」は、男子のエース錦織圭選手にも密着しており、WOWOWで19日午後11時からハイビジョン放送される。また、クルム伊達選手が出場する「全豪オープンテニス」も、11年1月17~30日の間、連日生中継される。

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