乙葉しおりの朗読倶楽部:第4回 新美南吉「ごん狐」 17歳の傑作

「ごん狐」作・新美南吉、画・黒井健(偕成社)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「ごん狐」作・新美南吉、画・黒井健(偕成社)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。7月から配信され、これまでに20万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第4回は、新美南吉「ごん狐」だ。(毎日新聞デジタル)

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 みなさんこんにちは、乙葉しおりです。

 冷え込みが厳しくなって、空気が乾燥する季節ですが、みなさん、風邪を引いたりしていませんか?

 せきが出たときは、マスクをしていますか?

 人がたくさん集まるところでは、空気が悪くなってせき込みやすくなりますから、周りの人にうつしたりしないように、注意しないといけませんよね。

 私も、朗読の練習でのどを痛めやすいので、予防のためにマスクをして歩いていることが多いんです。

 でも、この間ご近所の人に風邪を引いたと勘違いされてしまって、おうちに帰ったらりんごの差し入れが届いていました。(>_<)

 それから、のどにやさしいかな?と思って、お風呂の時間に朗読の練習をすることもあります。

 ただ、声がよく響いてしまうので、家族のいないときでないと、ちょっとはずかしいです。

 一度おじいちゃんに聞こえてしまって、「浪曲の練習か?」と言われました。

 惜しい、浪曲じゃなくて朗読だよ、おじいちゃん……(>_<)

 ……なんて、場も暖まった(?)ところで、朗読倶楽部結成のお話の続きです。

 司書の先生のご厚意で、文芸部用の部室が確保できました。あとは、顧問の先生探しに、部員の勧誘です。部として成立させるには、最低でもあと一人は部員を勧誘しないといけません。ところが、学校側で行われる、新入生向けのクラブ活動紹介はもう終わってしまっていました。

 こうなると、自分たちで地道に勧誘活動をする以外に方法はなく……あがり性の私には、結構な試練です。

 文芸部員のお友達も、積極的に人と話をできる性格ではないのですが、「ここは2人で力を合わせてがんばるしかない」って、一緒に決意を固めました。

 でも、その決意は、幸か不幸か先送りになります。

 実は、ここでも司書の先生が、「よく図書館にくる生徒を紹介する」とおっしゃってくださったのです。その生徒さんは中等部から図書館を毎日利用していて……つまり、中学生なのですが、私の学校のクラブ活動は、同じ敷地内の校舎の生徒であれば、小学校から大学までの世代の壁を越えて、同じ部に所属できてしまうんです。

 例えばサッカーや陸上、野球などの大きなコートを必要とする部活動は、それぞれひとつの部にまとまって、専用グラウンドで活動していたりするんですよ。

 司書の先生の申し出をもろ手をあげて歓迎した私たちは、早速その生徒さんに会うことにしたのですが、ここから話が思わぬ方向に転がりだしてしまうのです……。

 台風の目となるのは、もちろんその生徒さんなのですが……彼女は朗読倶楽部結成になくてはならない人でした。

 ……と、いうところで、今回はここまでです。

 また次のお話ができる日を、楽しみにしています(^−^)

■しおりの本の小道 新美南吉「ごん狐」

 こんにちは、今回ご紹介する一冊は、新美南吉(にいみ・なんきち)さんの「ごん狐」です。

 このお話は、「小さいころにおじいさんから聞いた昔話を紹介する」という形をとっていますが、これは作者の新美南吉さんが実際に聞いた伝承を基に、なんと17歳のときに書き上げたものなんだそうです。

 私とほとんど同じくらいの年齢で、こんなにすてきなお話を作ったなんて、本当にすごいと思います。

 ひとりぼっちの子狐ごんは、近くに住む村人の畑や、収穫した作物を荒らすようないたずらばかりしていました。ある日、村人の兵十(ひょうじゅう)さんが川で取っていたうなぎや魚を、いつものいたずらで川へ投げ込んでしまいます。

 ところがその後、ごんは兵十さんのお母さんのお葬式を見てしまい、自分がいたずらでとってしまったうなぎが、誰のためのものだったかを悟って、ひどく後悔します。

 母親に先立たれ、ひとりぼっちになってしまった兵十さんに、自分の姿を重ねるごん。その日から、ごんの、兵十さんに対する償いが始まるのですが……。

 ごんは、どうしていたずらばかりしていたのでしょうか? お話の中では、人に直接ケガをさせるようないたずらはしていません。村の作物を荒らしても、ごんが食べるためにいたずらをしていた様子もありません。

 ひとりぼっちになってしまった兵十さんと、ひとりぼっちのごんの対比。

 ごんの償いを、兵十さんが神様の贈り物と勘違いしてしまうくだりは、日ごろのごんの行いに対する罰のように感じられます。

 このお話は、自分に贈り物をしてくれる相手がごんだと分かって、驚く兵十さんのシーンで終わっています。

 その後、ごんがどうなったかは描かれていません。

 でも、兵十さんとごんは、きっと仲良く暮らすようになったに違いないと、私は思っているのです……。

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