注目映画紹介:「毎日かあさん」 キョンキョンと永瀬が実生活同様に結婚・離婚

「毎日かあさん」の一場面 (C)2011映画「毎日かあさん」製作委員会
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「毎日かあさん」の一場面 (C)2011映画「毎日かあさん」製作委員会

 作品の映像化が続くマンガ家・西原理恵子さんが毎日新聞の日曜朝刊に連載中の人気マンガを映画化した「毎日かあさん」(小林聖太郎監督)が5日に公開される。西原さんにふんするのは小泉今日子さん。作品での夫婦と同様にプライベートでも小泉さんと結婚・離婚を経験した永瀬正敏さんが、夫のカモシダユタカ(鴨志田穣)を演じていることでも話題を呼んでいる。

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 6歳と4歳の子を持つマンガ家・サイバラリエコ(小泉さん)は、大変ながらも幸せな日々を送っていた。そんな彼女の頭痛のタネは、元戦場カメラマンでアルコール依存症の夫・カモシダ(永瀬さん)の存在。それでも、カモシダ自身の懸命の努力もあり、ついに依存症から脱却できたかに見えたが、そのときカモシダの身体はがんに侵されていた……というストーリー。

 原作の単行本はシリーズ累計で150万部を突破。実話に基づいているが、映像化にぴったりの内容だということは百も承知している。2人の子を抱えたたたき上げのマンガ家。アル中の夫は入退院を繰り返し、やっとそれを克服したと思ったら今度はがん……そんなドラマチックなお話はそうそうあることじゃない。しかし、それは現実に起きたことであり、それに改めて気付かされて衝撃を受け、2人の子役(矢部光祐くん、小西舞優ちゃん)の、それが演技なのか素なのか分からないほど自然な演技に感心する。そして、小泉さんと永瀬さんという実生活でも夫婦だった2人がサイバラとカモシダを演じた。小泉さんと永瀬さんも、さぞかしやりにくかっただろうと推察するが、2人が演じることでサイバラとカモシダの存在が身近なものに感じられ、彼らの行動に、「あっ、こんなことあるある」という連帯感を持ち、いつしか自分が物語の中心にいるのだ。

 アル中の夫を見捨てるのと寄り添うのとどちらが本当の愛なのか。妹の手をつかんで離さなかった幼い息子と、夫の手を離せなかった妻。その対照的な撮り方に、デビュー作「かぞくのひけつ」(06年)で日本映画監督協会新人賞を受賞した小林監督と、脚本の真辺克彦さん(ドラマ「深夜食堂」、映画「歓喜の歌」など)のセンスの良さを感じた。5日からシネスイッチ銀座(東京都中央区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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