オダギリジョー:「毎日死にそうだった」過酷な現場に弱音?  チャン・ドンゴンとの共演作がカンヌ登場

カンヌ国際映画祭の製作記者会見に登場したオダギリジョーさん、チャン・ドンゴンさん(c)Kazuko Wakayama
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カンヌ国際映画祭の製作記者会見に登場したオダギリジョーさん、チャン・ドンゴンさん(c)Kazuko Wakayama

 俳優のオダギリジョーさん(35)とチャン・ドンゴンさん(39)の共演で、戦時下の極限状態できずなを深めた日韓の男同士の友情を描いた韓国映画「マイウェイ」(カン・ジェギュ監督)の製作会見が15日(現地時間)、仏カンヌで開催中のカンヌ国際映画祭で行われた。会見には2人のほかファン・ビンビンさん(29)、カン監督が登場。オダギリさんは「毎日死にそうで、本当に苦しい毎日をここ7カ月ほど韓国で撮ってきました」と苦労を語り、「これだけ役者が苦しい目に遭う作品もめずらしいと思うので、見ていただくのも心苦しいのですが、でもその分楽しんでいただけるところも多いと思うので、完成したらぜひ見ていただければと思います」と作品への思いを語った。

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 「マイウェイ」は、1928年、日本統治下のソウルを舞台とした実話を基にした作品。何不自由なく暮らす長谷川辰雄(オダギリさん)は、使用人として雇われた一家の少年のジュンシク(チャンさん)と出会い、境遇が異なる2人が走ることを通じてライバルとして成長する。時代が違えば親友になれたかもしれない2人の微妙な関係は、時代の流れにほんろうされ、国同士の戦いとなり、ロンドン五輪の選考会でのある事件をきっかけに2人の人生は大きく変わってしまう……というストーリー。日本軍に強制徴用されても走ることを忘れないジュンシクに対し、大尉となった辰雄は国に尽くすことを選択する。物語の舞台は朝鮮半島からノルマンディーまで1万2000キロにわたり、日本やドイツなど3カ国の軍服を着て、戦うことになる2人の数奇な運命が描かれている。

 オダギリさんは日本語とロシア語、ドイツ語、チャン・ドンゴンさんは韓国語と日本語のせりふがあったが、オダギリさんは「普段の私生活というか、芝居をしていない部分では、コミュニケーションも必要になるかと思いますが、役者にとっては芝居を一緒にするというのが一番のコミュニケーションであり、仲よくなっていく方法だと思うので、毎回海外の作品に参加するときは特に言葉の心配はありません」と撮影を楽しんでいたようだ。

 「シュリ」(99年)y、「ブラザーフッド」(04年)などで知られるカン監督は「戦争が背景ですが、戦争の中にいる人間の姿を描いています。お互い憎み合っていたものたちが、戦争の極限の中で友情が芽生え理解し合う、そういった人間たちのドラマを描いています」と作品をアピール。作品は現段階で未完成のため、会見ではメーキング映像と約3分間の戦闘シーンのフッテージ映像のみの上映となったが、世界中のメディア150媒体200人以上の記者が参加し、上映後は1分間以上、拍手が鳴り響いたという。この後は6月中旬までクライマックスのノルマンディーでの戦闘シーンをバルト海沿岸のラトビアで撮影し、映画は12年新春に公開予定。(毎日新聞デジタル)

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