宇宙兄弟:小栗・岡田の写真が宇宙へ 最後のスペースシャトルに搭載 20日帰還

スペースシャトル「アトランティス」に搭載された映画「宇宙兄弟」主演の小栗旬さん(左)と岡田将生さんの写真 (C)2012「宇宙兄弟」製作委員会
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スペースシャトル「アトランティス」に搭載された映画「宇宙兄弟」主演の小栗旬さん(左)と岡田将生さんの写真 (C)2012「宇宙兄弟」製作委員会

 9日午前0時29分(現地時間8日午前11時29分)に打ち上げられた最後のスペースシャトル「アトランティス」に、映画「宇宙兄弟」に主演する小栗旬さん(28)と岡田将生さん(21)が宇宙服を着た写真が搭載されている。小栗さんは「(写真とはいえ)“兄弟で宇宙へ行く”という夢がかなってうれしく思います。最後のスペースシャトルが無事に帰還することを祈っています」とコメント。岡田さんも「いつか本当に僕らが宇宙に行ける日が来るかもしれないと思いながら空を見上げたいと思います」と喜んでいる。

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 通常スペースシャトルは、衛星やISS(国際宇宙ステーション)を構成するもの、宇宙実験室などに必要なものを運ぶことを目的にしており、全体で250万個の部品を用いて、“人類が製造した中で最も複雑な機械”といわれている。これまでたった1グラムの写真1枚でも、ミッションと直接関係のないものを積むことはできなかった(宇宙飛行士の私物は除く)が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開始した、ISS「きぼう」日本実験棟を民間で活用する新しい枠組みによって、それが可能となった。

 理由は、映画「宇宙兄弟」が、宇宙飛行士という存在を身近に感じさせる映画で、かつ夢のある壮大なドラマであるため。特に映画のストーリーに賛同し、出演者の写真を打ち上げることを熱望したのは、今後の宇宙利用を模索するラグランジェ社で、今回の写真の宇宙利用を可能にした担当者は「震災の影響が色濃く残る中、最後のスペースシャトルに夢を乗せて打ち上げたかった」と話す。

 09年の日本初の有人実験施設「きぼう」の完成により、JAXAは「きぼう」を利用した実験テーマの公募に加え、企業との共同研究やビジネス展開を開始。私たちがより身近に“宇宙”を感じ、宇宙開発技術を利用するための動きが高まっている。

 今回、「宇宙兄弟」のスタッフに許されたのは、重量わずか2グラム、写真2枚分のスペースで、映画に登場する小栗さんと岡田さん扮(ふん)する夢を追う兄弟の姿を焼き付けた2枚の写真(同様の写真を2枚)をスペースシャトル「アトランティス」のミッドデッキロッカーに収納した。写真は、今月頭にクランクアップしたばかりの映画の撮影現場で撮られたもの。「アトランティス」は42年前に人類初の有人月面着陸が成功した日(7月20日)に帰還する予定。

 映画「宇宙兄弟」は、幼いころ、共に宇宙飛行士になる約束をした兄弟が主人公。時は流れ、約束通り宇宙飛行士となった弟・日々人(ひびと、岡田さん)。一方、会社をクビになり、無職になった兄・六太(むった、小栗さん)。異なる運命を歩んでいた2人の兄弟だったが、弟からの一通のメールで、兄は再び宇宙を目指し始める……という物語。マンガ誌「週刊モーニング」(講談社)に連載中の小山宙哉さんのマンガが原作で、コミックスは400万部を超えるベストセラーとなり、11年に小学館漫画賞と講談社漫画賞をダブル受賞した。ダブル受賞は浦沢直樹さんの「20世紀少年」以来2作目。12年春に全国で公開予定。(毎日新聞デジタル)

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