俳優の役所広司さんと小栗旬さんが初共演する映画「キツツキと雨」(沖田修一監督)が、10月22~30日に開催される「第24回東京国際映画祭(TIFF)」のコンペティション部門に日本映画として唯一出品されることとなり、21日に六本木ヒルズ(東京都港区)で開かれたTIFFの記者会見に役所さんが登場した。この日会見に出席できなかった小栗さんからの手紙が披露され、同映画で小栗さんが「沖田監督をモデルに演じた」とコメントすると、役所さんは、「いいモデル(沖田監督)があってうらやましいなと思う半面、あんないいお手本いたらやりにくいだろうな」と話しながらも、「(小栗さんは)監督を必死に研究しながら真剣に取り組む俳優さんでした」と小栗さんを絶賛した。
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映画の舞台は、小さな山村。山村に住む木こりの克彦(役所さん)は、ひょんなことから山村にやってきたゾンビ映画の撮影隊を手伝うことになる。気の弱い新人監督の幸一(小栗さん)は、現場をまとめきれずパニック寸前で、はじめは幸一と距離を置いていたが、いつしか奇妙なコラボレーションを生み出していく……というストーリー。山崎努さん、伊武雅刀さん、平田満さん、高良健吾さん、臼田あさ美さんらも出演し、「南極料理人」(09年)の沖田監督が手がけた。
会見には、役所さんをはじめ、沖田監督も登場。コンペティション部門に出品されることについて、役所さんは「今年の東京国際映画祭は特別な年になりそうなので、参加できてよかったです」と笑顔を見せた。沖田監督も、「とても興奮しています。監督としてみんなで作った映画だったので注目される場で上映されるのはうれしいです」と満足そうな表情を見せた。
沖田監督について、役所さんは、「監督の前作である『南極料理人』を見てすごく一緒に仕事をしたいと思っていた」と明かしながらも、「初めて会ったときは、学生さんみたいな若い感じでびっくりしました」と初対面の印象について話した。この日、沖田監督はTシャツにジャケット姿で登場し、終始笑顔を見せていたが、役所さんは「現場では監督のやりたいことをみんなでやろうよっていう気にさせる魔力を持った方」と表現。また、小栗さんからの手紙は沖田監督が代読したが、「僕が演じた幸一は沖田監督がモデルです。沖田ラブ!」という一節に会場は笑いに包まれた。小栗さんは「映画製作を知らない方には映画をこんなふうに作るんだと知ってもらえると思うし、映画を作る人には『あるある』と共感してもらえると思う」とアピールした。映画は、12年2月11日公開予定。
TIFFは10月22~30日、六本木ヒルズを主会場に都内の劇場などで開催されるアジア最大級の映画の祭典。今回の公式オープニング作品は「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」(ポール・W・S・アンダーソン監督)、特別オープニング作品としてジャッキー・チェンさんの出演100作目となる映画「1911」が上映される。コンペティション部門では「より良き人生」など計15本(予定)が上映され、審査委員長は映画プロデューサーのエドワード・R・プレスマンさんが担当。クロージング作品にはブラッド・ピットさんが出演する「マネーボール」(ベネット・ミラー監督)が上映される予定。
会見ではそのほか、「『TIFF in 仙台』特別上映会」と題し、東日本大震災の被災地・仙台での映画上映を無料で実施することや、被災地発の映画・映像作品を上映することなども発表された。また、映画祭を若い世代にも興味を持ってもらおうと若手俳優陣で結成した応援団「TIFF BOYS」がお披露目された。(毎日新聞デジタル)
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