吉井一肇:緊急会見「宮城の人々に感謝」 中国映画祭で最優秀男優賞受賞 史上最年少、日本人2人目

映画「エクレール・お菓子放浪記」に主演し、「第20回金鶏百花映画祭」で最優秀男優賞を受賞した吉井一肇さん
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映画「エクレール・お菓子放浪記」に主演し、「第20回金鶏百花映画祭」で最優秀男優賞を受賞した吉井一肇さん

 映画「エクレール・お菓子放浪記」(近藤明男監督)に主演し、中国で最大規模の映画祭「第20回金鶏百花映画祭」(19~22日)の外国映画部門で最優秀男優賞を受賞した吉井一肇さん(12)が24日、東京都内で緊急会見を開いた。中国から帰国したばかりの近藤監督からトロフィーを受け取った吉井さんは「(トロフィーは)思ったよりも重い。最初受賞の知らせを聞いたときは信じられなかったがお祝いの言葉をいただくうちにどんなに大きい賞なのか分かった」と喜びを口にし、「(撮影でお世話になった)宮城県の人々に感謝したい」と語った。

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 「金鶏百花映画祭」は、中国のアカデミー賞にあたる映画祭で「香港電影金像奨」「台湾金馬賞」と並ぶ中国の3大映画祭の一つ。子役が同賞を受賞するのは史上初で、日本人としては08年度の「おくりびと」(滝田洋二郎監督)で俳優の本木雅弘さんが受賞した以来2人目の受賞となった。

 映画は、35年にわたるロングセラーを続けている西村滋さんの自伝的小説「お菓子放浪記」が原作。昭和17年、金平糖を盗んで捕まった少年アキオ(吉井さん)は、刑事からもらった菓子パンを生まれて初めて口にして夢見心地に。感化院でのつらい日々を送る中、アキオを救ったのは教員・陽子(早織さん)の歌う「お菓子と娘」だった。翌年、アキオは、フサノばあさん(いしだあゆみさん)の養子となるが、フサノはアキオを労働力としてしかみておらず、アキオは旅回りの紋三郎(林隆三さん)の一座と巡業に出ることに。ようやく居場所を見つけたアキオだが、戦争がすべてを奪ってしまった。絶望するアキオを救ったのは「お菓子の力」だった……という物語。撮影は東日本大震災発生前に、宮城県石巻市などで行われた。

 吉井さんは「宮城県のいろいろな地域に行って温かい炊き出しをしてもらったり、エキストラとして(宮城県の人に)出ていただいた。とても温かくしていただいたのでずっと恩返しをしたいと思っていた。この映画をたくさんの人に見ていただければ恩返しになると思う。撮影中僕を助けてくれた監督、スタッフ、宮城県の人に感謝したい」と語った。今後は「舞台も映画も何でもできる役者になりたいです」と抱負を語り、劇中で歌った「お菓子と娘」を報道陣の前で披露した。近藤監督も「(吉井)一肇君の声を聞いて彼しかいないと思った。(映画祭の授賞式では)『少年の前向きな生き方、輝かしい瞳が見る人の心を打った』と受賞の理由を発表されました」と映画祭の様子を語り、吉井さんの快挙に喜びを隠せない様子だった。

 吉井さんは99年4月13日生まれ。「エクレール・お菓子放浪記」は11歳の時に撮影し、同作が映画初出演だった。舞台「THE BOY FROM OZ」(08年)(リトルピーター役)や「ザ・ミュージックマン」(ウィンスロップ役)など舞台を中心に活躍中で、帝国劇場(29日~11月20日)、梅田芸術劇場(11月25日~29日)で行われる公演「ニューヨークに行きたい!!」にもフロリアン役で出演予定。

 映画「エクレール・お菓子放浪記」はワーナー・マイカル・シネマズ新石巻(宮城県石巻市)ほかで公開中。今後全国で上映される予定。(毎日新聞デジタル)

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