鶴田真由:液状化被害の浦安での撮影 市民の支えに「迷う心に光差した」と感謝

「第24回東京国際映画祭」で公式上映された映画「カルテット」の舞台あいさつに登場した(左から)高杉真宙さん、剛力彩芽さん、鶴田真由さん
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「第24回東京国際映画祭」で公式上映された映画「カルテット」の舞台あいさつに登場した(左から)高杉真宙さん、剛力彩芽さん、鶴田真由さん

  映画「カルテット」(三村順一監督)が25日、「第24回東京国際映画祭(TIFF)」が行われているTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)で公式上映され、主演の高杉真宙さん、女優の鶴田真由さん、剛力彩芽さん、三村監督が舞台あいさつをした。東日本大震災による液状化被害を受けた千葉県浦安市が舞台で、多数の市民がエキストラとして参加。震災直後のクランクインで、被災した街での撮影に迷いもあったという鶴田さんだが、「エキストラで参加してくださった方たちから『今日は楽しくて(震災を)ひととき忘れることができた』といったメールをいただいたりして、逆に私たちが励まされた。この映画をやってよかったのかなと、迷っている心に少し光が差したことを思い出します」と感慨深そうに話した。

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 剛力さんも「撮影で浦安のみなさんの愛を感じた。撮影中も本当に温かさを感じて、お芝居をしていてよかった、この映画を撮れてよかったと思いました」と振り返った。300人のオーディションで選ばれた新人の高杉さんは「初主演で緊張や失敗の連続でしたが、監督やスタッフ、共演者に助けられて、素晴らしい作品になった」と胸を張り、市民の支えについて「本当は僕たちが支える方なのに、逆に支えてもらった」と感謝。三村監督も「本当にこの映画は浦安のみなさんと一緒に作り上げたという実感のある映画。絆という言葉が、日本では普通になってきました。3・11以降、家族、夫婦、友だち、そういった中で、信頼とか優しさっていうものが何なのかを、みなさんが立ち止まって考えているようなこの時期に、この作品がこの映画祭に招待されたことをうれしく思います」とあいさつした。

 「カルテット」は、高杉さん演じる、将来を有望視されたバイオリンの才能を持つ少年・永江開が主人公。永江家は、音大出身の両親、高校生の姉という、家族でクラシックを演奏する音楽一家だったが、両親は生活のために音楽をあきらめ、姉は才能のある弟にコンプレックスを持ち、すっかりドロップアウト気味。さらに父親がリストラされ、家族の気持ちはバラバラとなり、一家は崩壊寸前に。「みんなで笑い合っていたあのころに戻りたい!」と願った開は、家族カルテットを結成すべく奮闘するが……という音楽を通じて家族が再生していく様子を描いた作品。剛力さんは姉の美咲役、鶴田さんは母親を演じており、父親役の細川茂樹さんをはじめ、田中美里さん、東幹久さん、上條恒彦さん、由紀さおりさんら豪華キャストが出演する。

 22日の同映画祭開幕のグリーンカーペットについては、高杉さんは「初めてで、あんなに人がいると思わなかったので、緊張でがちがちでした。ちゃんとできたか不安です」と苦笑。同じく初体験の剛力さんは「最初はすごく緊張したんですが、(沿道から)『剛力ちゃーん!』って声をかけてもらって、すごく楽しかった」とにっこり。鶴田さんは「役者の仕事、撮影現場はみなさんが思ってるよりも、ずっと地味で過酷な場所なので、このような華やかな場所に呼んでもらえると、やってよかったなって思います」と笑顔で話していた。

 映画は浦安市内の「シネマイクスピアリ」で12月17日から先行公開、その後、12年1月7日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)なで全国で公開予定。主題歌には、「mihimaru GT」の新曲「One Time」を起用した。(毎日新聞デジタル) 

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