タイトル通り絵が動いている!というか、絵の中に入ったかのような映画「ブリューゲルの動く絵」が公開中だ。16世紀のオランダの画家ピーテル・ブリューゲルの名画「十字架を担うキリスト」を「体感」する映画。絵画と実写の混在が絶妙だ。映画「バスキア」の原案・脚本を手がけたレフ・マイェフスキ監督が手がけ、ブリューゲルをルトガー・ハウアーさんが演じている。
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16世紀。フランドル地方のアントウェルペン(現在のアントワープ)。夜が明けて、画家ブリューゲル(ハウアーさん)は、眠っている子どもたちを残して村に出かけた。そして、朝露にぬれたクモの巣に絵の構図のヒントを得る。のどかそうに見えた村の風景は、赤い服を着た兵士たちの来襲によって一変する。男はなぶり殺され、見せ物の刑に処せられた。男の妻は泣きくずれ、周囲の人々は無関心を装った。世の中を憂える友人ヨンゲリング(マイケル・ヨークさん)はブリューゲルに「このありさまを絵にできるか」と問う……という展開だ。
ブリューゲルの絵を見るとなんだか心がザワザワとするが、この映画を見ていてもやはりザワザワした。農民たちの暮らしぶりを緻密に描いたブリューゲルだが、同時に世の中を風刺するブラック風味も作品の中に漂わせた。その感覚が立体感を伴って迫ってくる。そして、そのザワザワ感が日常の中に隠されていたことを思い知らされるのだった。農村の男女、子どもたち、テーブルの上に置かれた大きなパン、田園風景……当時のフランドル地方の日常風景になごんでいると、赤い服の兵士によって突然日常生活が切り裂かれる。当時は感染症、戦争と日常を破壊する出来事は数々あっただろうが、我が身に降りかからなければ人ごとだ。「生」と「死」が混在した16世紀を、風車のギシギシ音とともに体感できる映画だ。ユーロスペース(東京都渋谷区)ほかにて全国で順次公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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