乙葉しおりの朗読倶楽部:第55回 尾崎紅葉「金色夜叉」前編

ブック コラム
「金色夜叉」作・尾崎紅葉(新潮文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第55回は尾崎紅葉の「金色夜叉」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 日本の作家さんのお誕生日を調べていると、異なる日付が二つ記載されていることがあります。

 これは暦の違いによるもので、現在使われている暦をグレゴリオ暦、その前に使われていた暦を天保暦(てんぽうれき)といいます。

 最近ご紹介させていただいた「蒲団」の作者、田山花袋さんの場合ですと、お誕生日は1872年の1月22日ですが、これを天保暦で表すと明治4年12月13日になり、1カ月以上の開きがあることになるんですよ。

 では、この暦が切り替わったのはいつでしょうか?

 答えは明治時代初期……明治5年12月2日(1872年12月31日)をもって天保暦を終了し、翌日を明治6年1月1日(1873年1月1日)としたんです。

 師走で忙しい12月がたったの2日で終わってしまったばかりか、この改暦が発表されたのがわずか3週間前の11月9日だったと言うんですから、当時の人は相当あわてたんじゃないでしょうか?

 この急な改暦は、旧暦の「うるう月」に関係がありました。

 天保暦は一年が354日しかなかったので、3年に1回「うるう月」として1年が13カ月になる年があり、明治6年がその予定になっていました。

 しかし当時の政府の財政はひっ迫していて、官吏(現在の国家公務員)の「月給」を削減するために導入を急いだようなんです。

 お陰で本来なら13回もらえるはずのお給料は、12月が2日しかないこともあって11回に減らすことができたんですが、「暦」を発行していた弘暦者(こうれきしゃ)は、暦の作り直しで大変な損害を受けてしまったとか。

 ではここで、朗読倶楽部のお話……3度目の大会出場の思い出、第3回です。

 今までにない新しいルールでの大会出場になる「ビブリオバトル」。

 「台本を見てはいけない」状況で、「自分の言葉」を使って5分間のプレゼンテーションをするのは、朗読とは違う新しい挑戦になります。

 一番の問題はやっぱり、あがり性の私だと思うんですが……みかえさんは、「あまり心配しなくても大丈夫」っていうんです。

 その理由は「私が宮沢賢治さんの話をする時、すごく生き生きしているから」だと言うことで……。

 私自身はあまり自覚がないんですけど、それはもう別人に見えるみたいです。

 そんなわけで私のプレゼン作品は自然と決まったんですが、いくら作品を知っていてもうまく説明できるかどうかは別問題。

 調べてみると、「飽きさせないために最初のつかみが肝心」だったり、「プレゼンである以上、あらすじで終わらせずに自分の感じた本の魅力を語らないといけない」ですとか、「おさらいとしてまとめの時間を必ず作る」など……、単純なようで奥が深いものだと感じました。

 部長さんは、「最終的には気合! 自分が負けるのは紹介した本が負けたことだと思うくらいの気合が必要!」とゲキを飛ばしてくれたんですが、私なんかが宮沢賢治さんの作品を紹介して、もし最下位になってしまったらどうしようとプレッシャーが……。

 ……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 尾崎紅葉「金色夜叉」前編

 こんにちは、今回ご紹介する1冊は、尾崎紅葉さんの「金色夜叉」です。

 明治時代を代表する未完の長編作品を、今回と次回の2度に分けてご紹介していきたいと思います。

 熱海「お宮の松」にある、作中の名場面を再現した「貫一・お宮の像」は、ご存じの方も多いのではないでしょうか?

 間貫一(はざま・かんいち)さんは幼い頃に母親を、中学卒業前に父親を亡くし、父親に恩がある鴫沢隆三(しぎさわ・りゅうぞう)さんの家に引き取られました。

 学業に打ち込む彼は旧制一高に入学して学士への道を歩む一方、鴫沢さんの娘のお宮さんと相思相愛の仲になり、結婚の約束を交わします。

 学校の卒業も間近に迫り前途は洋々と思われていたある日のこと、鴫沢さんは唐突にお宮さんを銀行の御曹司・富山さんのもとへ嫁がせたいと言い出しました。

 驚いた貫一さんは熱海の海岸でお宮さんに真意を尋ねますが、彼女はその結婚を認める発言をしたのです。

 すべてに絶望した貫一さんは、何かを伝えようとするお宮さんを足げにして走り去ったのでした……。

 それから数年後。

 お宮さんをお金に奪われたと考えた貫一さんは、そんな理屈がまかり通ってしまう世間と彼女に復讐するために、高利貸しとなって成功しつつありました。

 そんなある日のこと、貫一さんは富山さんの妻となったお宮さんと、偶然再会するのですが……

 このお話は以前ご紹介させて頂いた森鷗外さんの「舞姫」と同様に文語体で書かれています。

 流麗で美しい文章である半面、口語体に慣れた現代の私たちにとっては意味を理解するのに一苦労です。

 この作品も現代語訳版が出ていますので、口語体の勉強よりも純粋に物語を楽しみたいという人は、そちらの方が良いかもしれません。

 次回は未完のはずの「金色夜叉」、その「続編」のお話をしたいと思いますので、よろしくお願いしますね。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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