人気作家、東野圭吾さんの加賀恭一郎シリーズ9作目で、10年に阿部寛さん主演で連続ドラマ化され好評を博した「新参者」のキャストを引き継ぐ形で映画化した「麒麟の翼」が28日に公開された。「相棒」シリーズを手がける櫻井武晴さんが脚本を手がけ、「いま、会いにゆきます」や「ハナミズキ」などで知られる土井裕泰監督が映像化した。
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東京・日本橋にある翼を持つ麒麟像の前で、男の刺殺死体が見つかった。現場に急行した刑事・加賀恭一郎(阿部さん)は、被害者・青柳武明の死の直前の行動に疑問を抱く。折しも、現場近くからは被害者のものと思われるカバンを持った青年が見つかるが、彼は逃走中事故に遭い意識不明になってしまう……というストーリー。
加賀役の阿部さん、そのいとこで松宮刑事を演じる溝端淳平さんをはじめ、黒木メイサさん、山崎努さん、田中麗奈さんなどテレビシリーズの俳優陣はもちろんのこと、青柳役の中井貴一さん、その息子役の松坂桃李さん、さらに容疑者役の三浦貴大さん、その恋人役の新垣結衣さんなど、みなが嫌みのない熱演を見せ、物語を盛り上げる。
刑事ドラマや推理ものとしても楽しめるが、そこに厚みをもたらすのが、加賀恭一郎という一人の刑事のヒューマンな感覚だ。彼が動いたあとには必ず、人間の琴線に触れる“その人、その人の事情”が見えてくる。大迫力のアクションシーンも、カーチェイスシーンもビルが吹っ飛ぶ爆発シーンもないが、映画化に際して土井監督が「スケールアップすることより、見る人の心にどれだけ深く(作品を)残せるかを重視した」とのコメントした通りの観客の心に訴えかける仕上がりになった。28日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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