注目映画紹介:「劇場版テンペスト3D」 BS時代劇を3D映画化 沖縄の歴史と文化を目で楽しむ

「劇場版テンペスト3D」の一場面 (C)2011「劇場版テンペスト3D」製作委員会
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「劇場版テンペスト3D」の一場面 (C)2011「劇場版テンペスト3D」製作委員会

 昨年、NHKのBSプレミアムで放送された時代劇で、仲間由紀恵さん主演のドラマ「テンペスト」が2時間半の3D映画となって28日に全国で封切られた。原作は沖縄県出身の作家、池上永一さんによるベストセラー小説。舞台は19世紀、沖縄がまだ琉球王国と呼ばれ、清国と薩摩藩による二重支配下にあった時代。仲間さん演じる少女、真鶴(まづる)は、父の願いをかなえるために、女を捨て、男として生きることを決意。王宮に上がり政治の世界に身を投じていく。しかしそれは、真鶴・孫寧温(そん・ねいおん)にとって過酷な人生の始まりだった……というストーリー。

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 知る機会がなかなかない沖縄の歴史や文化の一端をのぞくことができ、また世界遺産・首里城での撮影は、琉球王朝時代の政治や祭祀の様子を目で楽しませてくれる。ただ、原作は文庫4冊に及ぶ超長編。それを2時間半にまとめるのだから、相当物語を端折った感は否めない。龍などコンピューターグラフィックス(CG)映像に頼る部分も多く、歴史ドラマというよりファンタジードラマと思った方がしっくりくる。

 共演は、ドラマ同様、真鶴に思いを寄せる薩摩藩士、浅倉雅博役に谷原章介さん、寧温の同志、喜舎場朝薫(きしゃば・ちょうくん)役に塚本高史さん、一族の復興を悲願する真鶴の父役に奥田瑛二さん。また、寧温を陥れる、いわゆる悪役としてGACKTさんが清国の宦官・徐丁垓(じょ・ていがい)にふんするほか、高岡早紀さんが強い霊力を持つ王族神の聞得大君(きこえのおおきみ)を憎たらしく演じ、強烈な印象を残している。監督はNHKのドラマ「外事警察」や大河ドラマ「独眼竜政宗」などを手がけた吉村芳之さん。脚本・監修は映画「黒い家」や「風が強く吹いている」で監督を務めた大森寿美男さん。また、安室奈美恵さんが主題歌「Tempest」を歌い、作品の盛り上げにひと役買っている。28日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(毎日新聞デジタル)

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