ダンダダン
第6話「ヤベー女がきた」
11月7日(木)放送分
作家・田中芳樹さんの人気SF小説「銀河英雄伝説」が、歌手で俳優の河村隆一さん主演の舞台となって14日から上演される。発売から30年かけて累計1500万部以上を発行し、アニメやマンガ、ゲームにもなっている。本編完結から25年たっても、人気が衰えない同作の魅力に迫った。(毎日新聞デジタル)
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舞台は、人類が宇宙に進出して現在から1500年以上後、専制君主国家の「銀河帝国」と、民主国家の「自由惑星同盟」の150年以上にわたる戦いが続く銀河系。権力に安住した貴族たちによる停滞した社会を力で一新しようとする若き改革者ラインハルトと、腐敗した政治によって民主主義の理想が失われつつある中、戦争の無意味さを感じながら「同盟最高の知将」として戦うヤン・ウェンリーの2人を軸とした壮大な物語だ。
物語は、ラインハルトとヤンが初めて艦隊を率いて激突する「アスターテ会戦」から始まる。大胆な用兵で同盟軍の宇宙艦隊を撃破し、完全勝利を目前にしたラインハルトだが、上官が負傷し、艦隊司令を代行することになったヤンの用兵によって、全滅から免れる。その後、同盟軍の英雄となったヤンが、帝国が誇る難攻不落の「イゼルローン要塞(ようさい)」を奇策によって犠牲を出さずに陥落する。それを機に、同盟政府は無謀な出兵を行うが、ラインハルトが焦土作戦という容赦のない戦法で圧勝する。
帝国での地位を確立し、銀河の統一に突き進むラインハルトに対し、政府と軍の上層部から疎まれながらも奮戦するヤンと個性の強い部下たちが織りなす人間ドラマ、100万人規模の艦隊が知略を尽くして激突する戦いなどが、読者の心をつかみ、日本のスペースオペラの傑作としてロングセラーを続けている。
不朽の名作は、意外な開き直りから生まれたという。子供のころから推理小説やSF小説などに親しみ「漠然とそういうものを書きたい」と思っていた田中さんが、担当編集者からの後押しもあり、「前に出した本が売れなかったので。これっきり書くチャンスはないかもしれないんだから、書きたいように書こう」と考えて生まれた。88年には優れたSFに贈られる「星雲賞」(日本長編)に選ばれ、田中さんは「創竜伝」や「アルスラーン戦記」「タイタニア」などをヒットさせ、人気作家の座を不動のものにした。
舞台は昨年1月に松坂桃李さんを主演にラインハルトの視点で描いた「銀河帝国編」が上演され1万8000人を動員した。今回の「自由惑星同盟編」は河村さんが演じるヤンの視点で、「アスターテ会戦」と「イゼルローン攻略戦」が描かれる。テーマ曲も河村さんが手がけている。
注目を集めた河村さんの起用について、多賀英典プロデューサーは、河村さんが原作のファンであることに目を付け「役を理解した上で演じてもらう方がいい」と起用を決めた。また前回の「帝国編」では、若者が保守派を倒して覇権を確立する構図だったため若い俳優を起用したが、「同盟編」は、ヤンを中心にした人間劇になるため、社会的にある程度成長した年配のキャストにした。配役だけでなく、映像と美術をシンクロさせたり、ヒップホップ的な要素なども取り入れ、独特の動きを作り上げるなど工夫をするという。多賀さんは「映画より面白いエンターテインメントを作りたい」と意気込んでいる。
原作者の田中さんも「熱心に誠実にやってくださる方にお任せするのがいいと思いましたが、その結果が素晴らしいものになりました。私も一観客として楽しみたいと思っています」と期待していた。
舞台は14年まで続く予定で、年内にもう2本の上演が決まっている。小説の世界から舞台へと広がる名作の世界に注目だ。
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