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LOVEまさお君が行く!:大谷健太郎監督に聞く「いまどきめずらしいファミリー映画を目指した」

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 00年秋に放送が始まった動物バラエティー番組「ペット大集合!ポチたま」(テレビ東京)の中の1コーナー「まさお君が行く! ポチたまペットの旅」で人気者になったラブラドルレトリーバーのまさお君と、お笑い芸人の松本君の出会いと別れを映画化した「LOVE まさお君が行く!」が23日に全国で公開された。松本君こと松本秀樹さんを演じるのは香取慎吾さん。その同棲中の恋人・里美に広末涼子さん、テレビ局のディレクターとアシスタントディレクターに光石研さんと成海璃子さんがふんし、笑いと涙のドラマが展開していく。メガホンをとったのは「NANA」(05年)や「ジーン・ワルツ」(11年)などを手掛けた大谷健太郎監督。「犬と触れ合えるような親しみある映画、これ以上敷居が低い映画はないというぐらいの親しみやすい映画を作りたかった」 と語る大谷監督に話を聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

 大谷監督といえば、99年の劇場デビュー作「avec mon mari アベック モン マリ」や最近の作品では「ランウェイ☆ビート」など、青春映画や恋愛映画の監督というイメージがある。ところが今作はファミリー映画。変化の大きな要因は、5年前に1児の父親になったことにある。「『クレヨンしんちゃん』を劇場で見たとき、子供たちが笑っている横で泣いている親御さんたちを見たんです。その光景は、自分がこれまで作ってきた映画の観客層、若者や映画好きの年配の方が見せる反応とまったく違っていました。以来、作品のフィールドを広げていってもいいのではないかと考えるようになり、そんな中でこの企画をいただいたのです」と製作に対する姿勢の変化を語る。

 その流れに乗り、あえて今作は「気取った映画にせず、いまどきめずらしいファミリー映画、国民的エンターテインメント映画を目指した」という。その中で“主人公”まさお君を演じているのが、応募数200匹の中から選ばれた、オスのラブラドルレトリーバーのラブ君だ。実はこのラブ君、タレント犬ではない。タレント犬の有力候補を差し置いての大抜てきした。決め手は「なんの訓練もされておらず、いうことも聞かない。動きもドタバタしているし、顔も利口そうじゃない(笑い)。でも、目が優しくて愛嬌(あいきょう)があり、どんな人もとりこにした」から。松本さん本人も、「本物を思い出すくらい似ている」と太鼓判を押したという。ただ、素人犬だけに演技はほぼぶっつけ本番。頼りは「香取さんとのコミュニケーションと、ドッグトレーナーさんの指示」だけ。「うまくいけばラッキーだし、いかなければできるまで撮り直しが続いた」と当時を思い出し、苦笑する。

 犬の演出に苦労した大谷監督も、人間の役者とは心地よく仕事ができたようだ。香取さんには、まさお君と松本君の6年に及ぶ関係の追体験を優先してもらい、「香取さん自身が持っている俳優性やバラエティー番組でのコント経験など、いろいろな引き出しを使い、素の感じでやってほしい」と要望を出した。だからヘアスタイルも撮影当時の香取さんのオフのときのものを採用。その結果、「ああいった(映画のような)伸び伸びとしたお芝居をしてくれました」と喜ぶ。

 広末さんが演じる里美については「エッジを立てない普通の女性」で、「大げさな芝居は一つもない」役。にもかかわらず広末さんは「こまやかな芝居をされる方で、いろいろなアイデアを出してくれ、すごく楽しかった」と笑顔を見せる。印象に残っているのは、松本君との別れの場面での、バスに乗ったときの立ち位置。「あと一歩前に出るかどうかでいろいろ質問されました。望遠レンズでのバストショットになるから、ほとんど変わらないんだけど(笑い)、でも、そういうことを考えてくれて話し合うことが、監督としてとても楽しかった」と満足げに振り返った。

 さらに、テレビ局側の人間、光石さんと成海さんについては、成海さんが光石さんの大ファンだったことを知り、ならば一緒にいてもらおうと終始2人が一緒にいるという「ぜいたくなツーショット」を採用した。

 映画は、松本君とまさお君の出会いから別れまでの関係性や番組の成り立ちについては事実に即しているが、松本君の私生活に関してはフィクション。劇中、松本君と里美の実家がそれぞれ、しいたけ栽培農家と観光ホテルを経営していることになっているが、それは大谷監督自身の実家がそうだったからだ。そんなふうに、大谷監督自身の経験が微妙に今作に影響を与えている。最後に、公開を待つ読者へのメッセージを求めると「小さいお子さんから年配の方まで、笑って泣いて心が温かくなる映画。決して1人ではなく、ご家族そろって、お友だち同士誘い合って見てください。みんなで楽しめる映画だと思います」と力強く締めくくった。映画は23日から全国で公開中。

 <プロフィル>

 1965年、京都府生まれ。多摩美術大学在学中に8ミリ映画を撮り始め、「青緑」が88年ぴあフィルムフェスティバルに入賞。91年には「私と他人になった彼は」で同3部門受賞。99年、「avec mon mari アベック モン マリ」で劇場映画デビューを果たす。01年、「とらばいゆ」、04年「約三十の嘘」をへて、05年、「NANA」、翌年06年の「NANA2」「ラフROUGH」を手掛ける。最新作に「ジーン・ワルツ」、「ランウェイ☆ビート」(11年)。初めてハマったポップカルチャーとして挙げた作品は、九重佑三子さん主演のテレビドラマ「コメットさん」。コメットさんが、番組途中からお手伝いとして居候する家の主人役が故・伊丹十三さんだった。「『仮面ライダー』やそれを演じている俳優さんなどにはヒーローとしてあこがれたけれど、俳優として初めて意識したのは、『コメットさん』の伊丹十三さんでした。インテリでプチブルジョア的な役で、大人になったらこんな大人になりたいと思うくらいのあこがれを抱いていました」と話した。

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