ザ・カブキ:東京バレエ団のパリ・オペラ座公演に密着 WOWOWで放送

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 振付家モーリス・ベジャールが歌舞伎の演目「仮名手本忠臣蔵」を下敷きに創作したバレエ「ザ・カブキ」のドキュメンタリー「ノンフィクションW パリ・オペラ座の『ザ・カブキ』 ベジャールの遺したもの」が24日午後10時にWOWOWプライムで放送される。今年5月のパリ・オペラ座公演に密着し、86年の初演から同作に出演し続けて同公演で“卒業”したダンサー高岸直樹さんと、同公演で主演しオペラ座デビューを果たしたダンサー柄本弾さんの素顔や本音を中心に「ザ・カブキ」の魅力に迫る。

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 歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」は、元禄時代に起こった赤穂事件を題材に、舞台を室町時代の「太平記」の世界に移し、大石内蔵助は大星由良之助、吉良上野介は高師直(こうの・もろなお)、浅野内匠頭は塩谷判官として描かれた。1748年に人形浄瑠璃(文楽)で初演され、歌舞伎は翌年、初演された。

 「ザ・カブキ」はベジャールが東京バレエ団と作り出したオリジナル作品で、現代の青年が忠臣蔵の時代にタイムスリップし、由良之助となって四十七士とともに仇討ちを行うという物語。黛敏郎が音楽を担当した。刀や着物、拍子木などを用いて歌舞伎の要素を取り入れ、日本の美と武士道を表現した。86年に東京で初演して以降、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウス、パリのオペラ座など世界で上演され、高く評価されている。

 ドキュメンタリーは、21歳のころから25年にわたって由良之助を演じてきた高岸さんと、10年に20歳で由良之助役に抜てきされたばかりの柄本さんが、東京都目黒区の東京バレエ団で行ったリハーサル、オペラ座に到着して同所で行った最終のリハーサル、公演の本番などに密着。2人の公演に懸ける思いや由良之助役に対する考え、公演直前や直後の心境などを知ることができる。またベジャールの制作過程を知る歌舞伎俳優の坂東玉三郎さん、所作指導をした日本舞踊家・花柳流宗家家元の花柳壽輔(はなやぎ・じゅすけ)さんも出演し、制作当時を振り返っている。

 このほど、WOWOW本社(東京都港区)で行われた会見で高岸さんは、「ザ・カブキ」をを「入団して1年の時に最初にいただいた主役。自分の人生とともに歩んできた作品」と語り、最後の公演を「東京バレエ団の看板を背負っている気持ちだったので、本番を終えられたことがホッとしました。晴れ晴れとしたような気持ちだった」と振り返った。また、番組で、斜めに設計されたオペラ座の舞台に苦しむ様子が映し出された柄本さんも「無事に終わってホッとした」と心境を語り、由良之助を演じる際に「(高岸)直樹さんにあいさつをしたときの『おう、頑張ってこい』という言葉が励み。安心して本番に臨める」と笑顔を見せていた。

 「パリ・オペラ座の『ザ・カブキ』ベジャールの遺したもの」は24日午後10時からWOWOWプライムの「ノンフィクションW」枠で放送。また9月1日午後9時からは10年にイタリア・ミラノのスカラ座で行われた「ザ・カブキ」の公演を「ベジャールの『ザ・カブキ』東京バレエ団 ミラノ・スカラ座」と題してWOWOWライブで放送する。(毎日新聞デジタル)

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