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11月21日(木)放送分
米倉涼子さん主演の連続ドラマ「Doctor-X~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)がヒットを飛ばしている。初回が18.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と高視聴率をマークし、第4話までの平均視聴率も17.7%(同)と10月期スタートのプライム帯連続ドラマ首位を疾走している。その人気の秘密に迫るべく、後半戦の第5話放送を前に、ドラマの内山聖子プロデューサーにヒットの裏側を聞いた。(毎日新聞デジタル)
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「Doctor-X~外科医・大門未知子~」は、天才的な腕を持ちながら組織に属さず、フリーランスとして病院を渡り歩く、米倉さん演じるクールで破天荒な外科医・大門未知子を通して医療現場を描いた作品。「ハケンの品格」(07年)で知られ、米倉さん主演の「ナサケの女~国税局査察官」(10年)でも脚本を担当した中園ミホさんがストーリーを書き下ろし、共演では、伊東四朗さんや室井滋さん、岸部一徳さんといったベテランが脇を固めている。
木村拓哉さん主演の月9「PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~」(フジテレビ系)など話題作がひしめく今シーズンのドラマにあって、ダークホースともいえる同ドラマのヒットを、メディアは「意外」「びっくり」などと報じた。「交渉人~THE NEGOTIATOR~」「ナサケの女~国税局査察官~」など、米倉さんと度々タッグを組んでいる内山プロデューサーも、ここまでの高視聴率を「予想していなかった」と率直に明かし、「ヒットの要因は、実はわからないんですよ」と首をかしげる。
「米倉さんとは長くドラマを一緒にやっていることもあって、毎回、新規モノを立ち上げるたび、同じように胃が痛くて。作っている側としては、今回が特別よくできてるとか、特別面白いとか、そういう感じでもなくて。一生懸命ひねりだして生み出したという記憶しかないので、実は数字の実感というのは本当に後から。『へー。そんなにとれるんだぁ』って感じですね」
とはいえ、視聴率をとるのが難しくなっている昨今のドラマ界でのヒットに、「あやかったというか、うれしい話ですよね」と素直に喜び、「視聴率ばかりを受けて作っているわけではないんですけど、私たちがほめてもらえるとしたら、そういうところで達成感を得たりするものなので、初回視聴率が出たときには、みんなでワーッて盛り上がって、『舞い上がるな。落ち着け、落ち着け』って(笑い)」と現場の意気も上がっているようだ。
米倉さん演じる大門は、“白い巨塔”ともいうべき大病院の組織のなか、イエスマンだらけの医師たちに反して、はっきりと自分の意見を貫き、それに見合う成果も達成するスーパードクター。高視聴率の具体的な要因には「?」の内山プロデューサーだが、米倉さんと役柄のマッチングの妙には太鼓判を押す。
「米倉さん自身、『やっぱり私は、嫌われ者の役がいいよね』って言っているんですが、決して人から愛されて同情されて応援されるキャラクターではない。彼女の持ち味として、本当のことを言って人に嫌われるという“孤高”な役柄のほうが視聴者に支持を受ける……これは『Doctor-X』に限らず今までもそうやって作ってきたので、的は外していなかったんだねって話はしてます」
そして、本作で、米倉さんは初の医師役を演じている。フリーランスというのは、これまでの医療ドラマでは異例だが、実際、米倉さんが医師を演じるにあたって、本人のキャラクターを生かした設定にしたという。
「米倉さんがかっこいいまっとうな医者をやるっていうのは、あまりにもできすぎていて面白くないなと思っていて。彼女に白衣を着せようと思ったときから、とにかく“組織のなかにいない人”だっていうのはずっとあって。大学の医局がサラリーマンだとしたら、そのVSとしてフリーっていうのはないかなって。いろいろ調べているうちに、フリーランスの外科医を扱った特集を雑誌で見かけて。それを題材に、彼女の役柄を形づくっていきました」
大門のキャラクターが具現化されたのが、ミニスカートにピンヒールという、到底、品行方正な医者のイメージとは異なる“破天荒”な白衣姿。米倉さんのバツグンのスタイルがあってこそ成り立つファッションだが、内山プロデューサーは「彼女も30代後半になって、『なんで足出さなきゃいけないんだろう』っ思ってるとは思いますけど(笑い)」と前置きしつつ、「私はギャップがどうしてもほしかったので。人間って、外見と実際に持っているものにギャップがあるほうが魅力的だなと思って。制服という規律のなかに、自己主張みたいなものが内包されている人のほうが私は好き。そういう人に毎週会いたい……って思うので」と語る。
また、雑用や納得いかない仕事に対して「いたしません」、どんな難解な手術でも「私、失敗しないんで」など、強気なせりふも痛快で、鬱屈した日常を生きる視聴者の心も解放してくれる。
「やっぱり脚本家の中園さんの持っているせりふの節みたいなものもあるんだと思いますが、非常にプライドと権威がうずまく最高峰の大学病院のなかで、肩書もお金も何にもない職人みたいなフリーランスが入ってきて、ズバズバ権力にものを言うのは痛快なことなんだろうなって。そこがおそらく、男女を問わず受けていることではあるんだろうなって思うんですけどね。また、それが米倉さんに似合っていますし」
斬新で共感を呼ぶストーリーやせりふ回し、そして、米倉さんの存在感と役柄の絶妙なマッチング。これほどまでに視聴者から支持される、本作の続編やシリーズ化は今後、考えているのだろうか? しかし、内山プロデューサーの答えは「ノー」。
「米倉さん自身、役柄の『5時きっかりに帰ります』じゃないけれど、『ドラマがアップしたらすぐに旅行に行かせていただきます』、『次なんてとんでもございません』って。ぶっちゃけ私もそっちの方なんで」と笑い、「長く一緒にやっていますけど、あんまりシリーズって彼女とやってきてないんですよね。ふつうシリーズ化しようよって、こっちも作るの楽だしさってなるんですけど、なんかやっぱり新しいことがやりたいんでしょうね。だから、よほど強く視聴者からの反響がないかぎりは、もうこれでアップしようって。ありがたい半面、そういうところも大門未知子っぽいんですよね」と潔く語る。
ドラマは、22日放送の第5話で後半戦に突入。いつも通り定時に医局を出た大門(米倉さん)は、見知らぬ少女・早紀(二宮星ちゃん)に呼び止められる。早紀は激しい足の痛みを訴え、大門に手術を懇願。そして翌朝、再び大門の前に現れた早紀は、今度はおなかが痛いと訴える。早紀の痛みが日々移動していることに着目した大門は、彼女が3カ月前に、小児外科を牛耳る相馬教授(石丸謙二郎さん)の緊急オペを受けていたことを知る。小児科での診断は「母親からの愛情不足によるストレスが原因」。しかし、大門は驚きの診断を下す……というストーリー。
今後の展開を、内山プロデューサーは「“Doctor-X”って誰だと思います?」と意味深に語り、「この先、大門の今までの背景も出てきますし、なぜこれだけの腕がありながら、日本の医局を飛び出して海外に行ってしまったのか、彼女の家族はどうだったのか、恋人は……というのが明らかになります。まぁ、やっぱり最後はDoctor-Xって何なんだっていうことかな。彼女の過去も含めて。Doctor-Xとは誰でしょう?」とニヤリと笑い、ドラマ現場に戻って行った。
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