47都道府県芸人グルメ便:「スープカレー」 北海道・しろっぷ

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 吉本興業の若手芸人が、47都道府県に住んで地元に密着した活動をする「あなたの街に住みますプロジェクト」。全国に住む「住みます芸人」の皆さんに各地のおいしいものを紹介してもらいます。今回は北海道に住むお笑いコンビのしろっぷが北海道グルメの代表格「スープカレー」を紹介します。(毎週日曜更新)

ウナギノボリ

 約20年前、北海道に彗星のごとく現れ、今やラーメン、ジンギスカンに並ぶ北海道グルメの代表として知られるスープカレー! そんなスープカレーの元祖「マジックスパイス」さんに、僕ら北海道住みます芸人のしろっぷがお邪魔しました!

 明るく個性的で不思議な雰囲気の、まさに異空間とも言える店内で僕らを出迎えてくれたのはマスターの下村さん。お店同様とても明るく気さくなマスターですが、実はこの方、相当波乱万丈な人生を送ってこられたんです。

 実家が病院ということもあり、医者を志していた時期があったと思えば、海外で怪しい集団に誘拐されたり、乗っていた飛行機が墜落しかけたり、さらにはUFOにさらわれたこともあるとか……。とにかく人生そのものがストーリーに満ちた、エキセントリックなマスターなんです!

 そんなマスターがスープカレーを始めたきっかけは、30年ほど前に訪れたインドネシアのバリ島で出合った「ソトアヤム(チキンのスープ)」と呼ばれる屋台料理。当時経営していたレストランでは、100人中100人が好きだと言ってくれる料理を作ろうと考えていたそうですが、数年後店をやめ、アジアを放浪している時にこう思ったんだそうです。

 「100人中99人に苦手と思われてもいい、たった1人でも生きててよかったと思ってくれるような料理を作りたい」。そんな熱い気持ちで、帰国後札幌にソトアヤムの専門店を出したものの、日本ではソトアヤムなど誰も知らない時代。スープカレーと名付けて売り出すも、絶対に売れない自信があったんだとか。

 それでもマスターは、売れるかどうかよりも、後悔のない人生を送りたいという一心で毎日スープカレーを作り続けました。そうしているうちに口コミでスープカレーのうわさが広まり、芸能人も足を運ぶようになり、みるみるうちに北海道のグルメとして定着していったんです。

 まさにスープカレーは豊富な人生経験とたくさんの人との出会いから生まれた北海道グルメなんです!

 そんなマジックスパイスのスープカレー。今回はインドネシア風スープカレーのポーク、北恵道(ほっけいどう)、フランクながいの3種類をいただきました。

 スープとライスが別々の器で出てくるスープカレーはスープにライスを浸す食べ方、ライスにスープをかける食べ方など道民でも人それぞれ食べ方が違うんですが、せっかくなのでスープカレーの元祖であるマジックスパイスで正式な食べ方を聞いてみました。

 マスターからの返答は、「屋台料理だから好きに食べて」とのこと。このあたりにも型にとらわれないマスターの人柄が出ていました。ポークはトロトロに煮込んだ豚の角煮が、北恵道にはチキンと道産野菜が、フランクながいにはその名の通りながーいソーセージが入ってるんです。そして、スープカレーの命であるスープは、あっさりした中にスパイスの香りとうま味がしっかり生きています。

 また、覚醒(かくせい)や極楽といったユニークな名前が付けられている辛さのレベルも好みによって選ぶことができるようになっており、僕らはそれぞれ涅槃(ねはん)、天空、虚空(こくう)という3種類の辛さを選びました。

 中でも最も辛い虚空は、スープをすすった時にはあまり辛さを感じないのですが、うま味を感じた2~3秒後に衝撃的な辛さが襲ってくる不思議な味わいでした。

 さらにマジックスパイスのスープカレーは味だけでなく、健康にも良いんだそうです。そもそもスパイスは漢方などにも使われるような薬効があるものが多く、医者を志していたマスターの経験がここにも活きていて、まさに「医食同源」!

 スパイスの香りやスープの旨味だけでなく、マスターの人生がそのまま凝縮されてさらに深い味わいになったマジックスパイスのスープカレー。お話を聞いて、おいしさの秘密は「ラブとパワーとストーリー」と教えてくれたマスターの言葉の意味が少しだけわかったような気がしました。

 札幌からスタートして、東京、大阪、名古屋に展開しているマジックスパイス、今年はタイにも出店を予定しているそうです。北海道発の魔法(マジック)で世界中を元気にしてほしいです!(取材協力:マジックスパイス札幌店・011・864・8800)

 ◇しろっぷのプロフィル

 じゅんぺい(札幌市出身)とひろし(同)のコンビで09年04月にデビュー。北海道の住みます芸人として12年3月から活動している。毎日午後10時からYNN(よしもとネタネットワーク)「北海道チャンネル2」(http://www.ynn47.jp/hokkaido2/)をユーストリームで生配信中。

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