Woman:「重い」「うまい」と評価は真っ二つ プロデューサーに聞くドラマの魅力

31日に放送される「Woman」第5話の1シーン=日本テレビ提供
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31日に放送される「Woman」第5話の1シーン=日本テレビ提供

 女優の満島ひかりさんが主演する連続ドラマ「Woman」(日本テレビ系、毎週水曜午後10時)が24日放送の第4話で平均視聴率13.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、同時間帯にフジテレビ系で放送された「ショムニ2013」第3話の平均視聴率9.9%を上回り、初めて“水10対決”を制した。「全体のトーンが重い」「見ているのがつらい」という声の一方で、満島さんをはじめ演技派の俳優たちが集結したオリジナルストーリーの力のこもった作品を絶賛する声も多い。ドラマ「Woman」の魅力を探った。(毎日新聞デジタル)

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 「Woman」は、不慮の事故で夫を亡くした主人公・青柳小春(満島さん)が、貧しいながらも愛する子供2人のために強くたくましく生きる姿を描いている。ドラマ「Mother」や「最高の離婚」を手掛けた脚本家の坂元裕二さんによるオリジナルストーリーだ。

 ◇描きたいのは女性の生きざま

 劇中では、生活に困窮した小春が生活保護を申請するものの断られる、子連れの小春が通勤電車の中で乗客に舌打ちされるなど、女性一人の子育ての大変さが描かれているが、次屋尚プロデューサーによると、「シングルマザーを描こう!」と力んだわけではないという。「Mother」や「さよならぼくたちのようちえん」でタッグを組んできた坂元さんとのドラマ作りの根底にあるのは「女性というものの生きざま、ダイナミズム、強さであり弱さ、男性との違いを描きたい」という思いだ。そこで「今描くとしたら?」と考えたときに出てきたのが「貧困問題が背景にあるシングルマザーを描くことで女性の強さ、家族のあり方を描こう」ということだった。

 ◇心のひだに居座り続けるようなドラマ

 「重い」「見ているのがつらい」という視聴者からの声を制作側はどうとらえているのか? 次屋プロデューサーは「まじめっていうことなのかな」と話す。「こういうドラマもあってもいいでしょうと思っています。すぐに忘れ去られるものではなくて、心のひだに居座り続けるようなドラマを作りたいというのはありますね」と力を込めた。

 「重い」という評価の一方で、骨太な脚本と満島さんをはじめとした映画などでも活躍する俳優陣の演技を絶賛する声もある。満島さん演じる小春の亡き夫を小栗旬さん、小春の実母を田中裕子さん、その夫を小林薫さんが演じるほか、二階堂ふみさん、谷村美月さんらが脇を固めている。田中さんと小林さんは故・向田邦子さん原作、故・久世光彦さん演出のドラマの常連だ。また、小春の長女を演じている鈴木梨央ちゃんはNHK大河ドラマ「八重の桜」で主人公・八重の幼少期を演じて注目され、今回も長男役の高橋來くんとともに大人に負けない存在感を見せている。

 ◇「こういう人、いる」満島ひかりの魅力

 作り手の熱気が画面からひしひしと感じられるドラマだが、撮影現場の雰囲気は意外にも「和気あいあい」としているという。満島さんが子役の2人と遊んでいる姿を見ながら田中さんと小林さんが世間話をしているというような和やかな空気が漂っているようだ。次屋プロデューサーは「(満島さんは)実際は母親でないから母親になり切ろうとしているし、子役たちも自然にお母さんのように甘えている。満島さんは『あの2人の子供たちが私を母親にさせてくれる』と言っていました」と明かす。また、満島さんの魅力を「生きている人間としての存在感」だという。「普段生活している世界に『こういう人いる』と感じさせるのが満島さんの魅力であると同時に、そう感じさせる役者はなかなかいない」と言い切る。

 ドラマでは満島さんと田中さんの母娘の会話など、見応えのある会話シーンも特徴だが、坂元さんは満島さんが使う言い回しや、言葉、表現の仕方を熟知しており、小春のせりふの言い回しなどは満島さんそのものだという。言葉のつまりや口をついて出る満島さんのせりふは、アドリブのようでいて実はすべて台本通りだといい、それを今、頭に浮かんで言葉に出たように見せる満島さんの演技力に次屋プロデューサーは「あっぱれ」と舌を巻く。

 ◇それぞれの目線で見どころを発見できる

 ドラマに登場するのは小春のような夫と死別したシングルマザーだけではない。臼田あさ美さん演じる小春の友人・由季は夫と離婚し、シングルマザーになった。また、今後シングルマザーやシングルファーザーになるかもしれない谷村さん演じる研修医と三浦貴大さん演じる福祉事務所の職員の夫婦間の葛藤も描かれている。次屋プロデューサーは「シングルマザーに特化した話にしたくなかったし、偏った見え方にはしたくなかった」と話す。

 その言葉の通り、ドラマで描かれているのは、小春と実母の親子の確執でや、育児と仕事に悩む女性の姿だ。次屋プロデューサーは「見ている人それぞれに見どころがあると思う。見ている人がそれぞれの目線で見どころを発見して、楽しんだり、苦しんだり、悲しんだり、怒ったりしてくれればと思います」と語った。ドラマは日本テレビ系で毎週水曜午後10時~10時54分放送。(毎日新聞デジタル)

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