アジアの映画祭で多くの賞を受賞している話題の韓国映画「悪いやつら」(ユン・ジョンビン監督)が公開中だ。1990年代の釜山を舞台に、名優チェ・ミンシクさんと今やスターとなったハ・ジョンウさんの共演で、裏社会を生きるしぶとい男たちを見せていく。
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90年。盧泰愚(ノ・テウ)大統領が「犯罪と暴力を一掃する」ことを宣言。釜山の裏社会で知られたチェ・イクヒョン(チェさん)が緊急逮捕される。担当検事のチョ・ボムソク(クァク・ドウォンさん)に脅されても、イクヒョンは「暴力団ではないです」と言い張る厚かましさだった。82年にさかのぼり、イクヒョンは税関で働いていた。少ない収入で妻と子どもたち、妹たちを養っていたある日、覚醒剤を発見したイクヒョンは、それを日本へ密輸してひともうけしようと考える。裏社会を牛耳るチェ・ヒョンベ(ハさん)を紹介してもらったイクヒョンは、遠い親戚だと分かったヒョンベと手を組んで裏社会でのし上がろうとするが……という展開。
ユン監督は、79年生まれの若さだが、最近の韓国アクション超大作とは全く異なる、ひと昔前の質感の映像を作り上げた。照明を落とした陰影は、まるでフィルムで撮影したかのよう。その映像の中でコワモテのおっさんが暴れるまくる。主人公のイクヒョンは、一族の名を出して、あらゆるつながりを駆使して人に取り入る、父親としての顔もある複雑なキャラクターだ。演じるチェさんが、ちょっとコミカルに、そして味のあるさすがの芝居で見せる。共演のハさんは不気味な存在感を醸し出している。税関の描写などの裏話的な要素は取材に基づいているという。社会の移り変わりの中に、悪と正義のあいまいさを描いた。K−POP以前の時代の韓国歌謡曲が、人間くさいギャングたちの抗争を盛り上げている。8月31日からシネマート新宿(東京都新宿区)、9月14日からシネマート心斎橋(大阪市中央区)ほか全国で順次公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。
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