35年前、230万人も動員して大ヒットとなった「キタキツネ物語」のリニューアル版「キタキツネ物語 35周年リニューアル版」が全国で公開中だ。劣化してしまったフィルムをハリウッドのラボに持ち込んで最新技術で高画質化し、声の出演と音楽は一新した。ナレーションは西田敏行さん。声の出演は、佐藤隆太さん、平野綾さん。平野さんは挿入歌も担当した。主題歌は山崎まさよしさんの「道」で、オリジナル版でチーフ助監督を務めた三村順一監督が手がけた。
ウナギノボリ
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北海道オホーツクで、流氷に乗って1匹のキタキツネがやって来た。名はアイヌ語で「赤い獣」という意味を持つフレップ(声・佐藤さん)。やがてレイラ(声・平野さん)と結ばれ、5匹の子宝に恵まれる。その様子を大地に根を張る柏の木(西田さん)が見守っている。大自然の厳しさ、餓えや人間による狩猟と闘いながら、家族を守るフレップ。短い夏が終わるころ、子どもたちを独り立ちさせる時期がきた。フレップは子どもたちにキバをむき、ここから出て行けと追い立てる……という展開。
オホーツクの原野を舞台に、キタキツネの一家の子育てと子別れが描かれている。一家を見つめる柏の木になった西田さんのナレーションが味わい深い。キツネの擬人化には違和感も感じるが、小さな子どもたちが見るには分かりやすいかもしれない。当時、アナログカメラの望遠レンズでキツネの疾走を追うのは、さぞや苦労したに違いない。フィルムの映像に今風のせりふとときどき今風の音楽がかぶり、歳月の流れを感じさせる。4年をかけて撮られた映像が、フィルムの色調の優しさはそのままで、最新技術によってよみがえった。四季の移ろいも余すところなく映し出されている。地球温暖化の影響でオホーツクの流氷も減少していると聞く。フレップがいたころの環境ではなくなっていることを思いながら観賞すると感慨深い。19日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。
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