話題の書籍の魅力を担当編集者が語る「ブック質問状」。今回は、梶尾真治さんの「うたかたエマノン」(徳間書店)です。同社文芸局の梶山聡さんに作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
−−この作品の魅力は?
最初の短編「おもいでエマノン」が、1979年に雑誌に掲載されて以来、長く読者に愛され続けている人気シリーズ。最新作は、伝説が息づく島・マルティニークを舞台に、画家のゴーギャンや小説家のラフカディオ・ハーンといった実在の人物をからめながら、地球に生命が誕生して以来、記憶を持ち続けている美少女・エマノンが、失った記憶のかけらの探索に密林の奥へと向かう冒険譚(たん)。初の長編で贈ります。そして、今月(12月)から、「おもいでエマノン」など既刊4冊を連続で刊行していく予定です。
−−書籍が生まれたきっかけは?
短編、中編で書き続けられてきた本シリーズですが、以前から、著者が長編で書いてみたいと思い、温めていたテーマが、今回の作品です。ようやくタイミングが合い、雑誌での連載をへて、書籍にまとめることができました。
−−著者はどんな方でしょうか?
学生時代から、SF同人誌にかかわり、会社の仕事と両立しながら、日本SF大賞を受賞した「サラマンダー殲滅」、映画化されベストセラーとなった「黄泉がえり」など、多数の作品を執筆されていました。現在は専業になり、ますます意欲的に創作を続けておられます。
お会いするたび、好奇心やバイタリティーにあふれたエネルギーを感じています。そんなところも、作品ににじみ出ているかと思っています。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
新しい原稿をいただくたびに、新しいエマノンを発見できます。それは彼女の能力だったり、重いテーマに潜む著者のメッセージだったり。本当に面白いです。
大変というか、長い年月にわたり書き続けられているため、ファンの年代層も幅広いので、皆さまに楽しんでいただけるか、いつも不安です。おおむね好評なので、安心していますが……。
−−最後に読者へ一言お願いします。
膨大な記憶を持つことの苦悩、自分の存在意義を探し、地球の意思とも思える何かに導かれ、旅を続けるエマノン。ぜひ、彼女の軌跡を一緒にたどっていってください。
徳間書店 文芸局 梶山聡
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