注目映画紹介:「100歳の華麗なる冒険」20世紀を駆け抜けた元二重スパイのおじいさんの旅路

「100歳の華麗なる冒険」のワンシーン (C)NICE FLX PICTURES 2013.All Rights Reserved
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「100歳の華麗なる冒険」のワンシーン (C)NICE FLX PICTURES 2013.All Rights Reserved

 スウェーデン本国だけでなく欧州各国でヒットを飛ばした「100歳の華麗なる冒険」(フェリックス・ハーングレン監督)が8日から公開される。原作は世界40カ国以上で800万部以上を売り上げるスウェーデンの作家ヨナス・ヨナソンさんのデビュー作「窓から逃げた100歳老人」。100歳の誕生日を迎えた爆弾好きのおじいちゃんの破天荒な旅路に、二重スパイを務めながら20世紀を駆け抜けた波瀾(はらん)万丈な過去が重なる。ブラックユーモアもたっぷりだ。

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 老人ホームで暮らすアラン・カールソン(ロバート・グスタフソンさん)は100歳の誕生日を迎えた。幼い頃に両親を亡くしたアランは天涯孤独だったが、独学で身につけた爆破物の知識を生かして、戦時中はフランコ将軍やトルーマン、冷戦時代はレーガンやゴルバチョフの下で働く、歴史に埋もれた重要人物だった。そんなアランも今や老人ホームのお年寄りにしか過ぎず、ついに窓から逃走。ギャングから預かった札束が入った荷物を持ってバスに飛び乗った。適当なバス停で降りたアランは、閉鎖された駅舎で暮らす老人ユリウス(イバル・ビクランデルさん)と出会い、意気投合する。2人であてのない旅に出る。しかし、アランはギャング一味と警察に追われる身になってしまい……という展開。

 主人公のおじいちゃんがぶっ飛んでいる。趣味は爆破。数々の歴史上の人物と関わりがあり、なんとマンハッタン計画にも参加。そんな人生を歩んできたのも、根底には「人生はなるようにしかならない」という母の教えがあり、どんな重要な局面でもそれを適用してきた。アランの旅路と彼の過去が並行して進んでいくが、どちらも行き当たりバッタリ的な生き方を貫いている。アランは「こんなふうに生きられたら楽しいのではないか」と皆がひそかに願う人物の代表なのかもしれない。常人にはできないような行動力で、見る者をスカッとさせるアランは、映画のヒーロー中のヒーローだ。個性的な仲間と力を合わせ、追っ手をどうかわしていくのかが疾走感とともに描かれる。想像もつかない方法も飛び出し、度肝を抜かれるだろう。スウェーデンを代表するコメディー俳優、50歳手前のグスタフソンさんが、青年時代から100歳までの主人公を特殊メークを用いて演じている。新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで8日から公開。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。最近一番魅了された俳優は「西遊記~はじまりのはじまり~」(11月21日公開)の孫悟空役ホアン・ボーさん。

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