優香:大河ドラマ「花燃ゆ」で“烈婦”演じる 「寿は物事をはっきり言う芯の強い人」

=NHK提供
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 女優の優香さんが、井上真央さん主演で放送中のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」で、井上さん演じる文の姉・寿(ひさ)役で出演している。寿は文が縁を取り持ち、兄・松陰(伊勢谷友介さん)の親友の小田村伊之助(大沢たかおさん)に嫁ぎ、伊之助が野山獄に投獄されたり、幕府軍が押し寄せてくる中でも気丈に振る舞い、「烈婦(れっぷ)」と評判になった女性。“癒やし系”といわれた優香さんのイメージとはかけ離れた人物だが、あえて挑戦した寿役について、また優香さんの女優としてのポリシーなどを聞いた。

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 ◇大河出演は「親孝行」

 「花燃ゆ」は、幕末の長州藩士で思想家の吉田松陰の妹・文が主役のオリジナル作品。文は長州藩の尊王攘夷(じょうい)派の中心人物・久坂玄瑞(くさか・げんずい)と結婚し、久坂が死去した後は、群馬県初の県令(現在の県知事)の楫取素彦(かとり・もとひこ、元の名は小田村伊之助)と再婚した人物で、ドラマでは動乱の幕末の長州で、困難を乗り越えて、まっすぐに生きた文の生涯を描く。脚本は大島里美さんと宮村優子さんが担当。音楽は川井憲次さんが手がける。

 優香さんにとって、大河ドラマ出演は「新選組!」(2004年)以来11年ぶり。そのことについて「大河ドラマに出演すると、家族が喜ぶので、親孝行だなと本当に感じますね。見ている層も本当に幅広いですし。着物とか和のものが好きなので、かつらをつけて着物を着られているだけでうれしいです」と喜ぶ。

 ◇視聴者の気持ちを代弁しているのが寿

 演じる寿について「思ったことを真っすぐ言うし、言い方もきつかったり、台本を読んでいてもあまり好きになれなくて。寿さんの可愛らしい部分ってどこなんだろう、どうやったら出せるんだろうと……」と当初悩んだという。寿がそうなってしまった理由を「家族の中でほかの兄弟は愛情たっぷりなのに、寿は一番健康で手を掛けられなかった。一番さみしい時に、独りぼっちだったっていう思いがあって、文に対してもひがんだり、きつく当たるという背景があるんです」と分析。そこで「本当に寿さんは賢い人だし、芯は強いし、言っていることは正しいので、ちょっとした寂しさをうまく出せていければなと思って、(撮影の)日々を過ごしています」と語った。

 自身と寿との共通点は「せっかちなところ」というが、寿は“癒やし系”ともいわれた自身のこれまでのイメージの対極にあるような役だ。「そういうのが一番面白くて。家族みんながのほほんとした中で寿がボンボンと言うのは気持ちいいし、楽しいですね。(プロデューサーからも)視聴者の気持ちを一番代弁しているのは寿なんだといわれているので、とにかく嫌な人というだけでなく、物事をはっきり言う強い人と映ったらいいなと思っています」と寿を演じることを楽しんでいる。今後、主人公・文の“敵キャラ”として「文と寿のバトルがのちのちあるというので、どんなことするんだろうと楽しみですね」と前向きに語る。

 ◇兄・寅次郎への思い

 寿が一家の中で異質に見えるのは性格だけでなく、兄・寅次郎(松陰)への複雑な思いがあるからだ。「家のみんなが寅兄(寅次郎)のことを応援するから、『寅兄、間違っているじゃない。なんで私は寅兄が脱藩して最初の結婚が破談になったのに、その心配を誰もしてくれないで寅兄ばっかり』という思いもあるんです。小田村さんが寅兄のことをすごく慕っていて、小田村さんの気持ちを知っていくうちに寅兄のことも理解していくんですね。寿さんも、分かりにくいけれど、すごく寅兄のことを好きで慕っていた。そうでないとあそこまであのお兄ちゃんのためにも動けない」と寿の胸の内を代弁した。

 ◇ブランチ卒業が転機に

 12年の31歳のときに、9年間続けた「王様のブランチ」(TBS系)のMCの仕事を卒業し、女優業に力を入れてきた。当初は「来たお話は、いただけるものはと思ってずっとやってきたんですけど、30歳を超えて体って正直なんですね。(原因は)分からないけれど体調悪いのが続いて、私、10年後、どうしているのかなとか、20年後、仕事できているのかなと考えたこともあった。(自分にダメージが)来ていたんだと全然気づかなかったと思って。このペースで30代、40代はたぶん無理かもしれないと気づきました」と仕事のペースについて考えるようになった。

 「それまでは振り返ることをしなかったし、明日の仕事のことを考えてスッキリ眠れない。どうでもいいことで悩むんですよ。延々と毎日考えて、解決するかというと解決していない。何をやっているんだろうと思うんだけれど……。こういうのは体によくないんだなと思いました」と反省し、仕事との向き合い方を見つめ直した。すると、「自分が楽しめるようになってから、ちょっと楽になったのかな。最近は気持ちよく眠れます。自分の意識が変わって、これが健全なんだとやっと気づきました」と晴れやかな表情で語った。

 ◇腸を大事に

 撮影は長丁場になるが、体に気遣っていることとして、「腸を大切にしています。腸を健康にしていると病気にならないと聞いたので。(具体的には)腸にいいものを食べたり飲んだり。あとは体もそうですけど、心も健康でいられるようにしています。ため込みやすいんですね。寝るときにむだなことを考えたりしちゃうのを、なるべくしないようにしています。お風呂に長くつかることもこれまですごく苦手だったんですけど、長くつかって半身浴をしたりして、疲れが取れているような気がします。あと最近好きで通っている岩盤浴があって、そこで悪いものを出すと(デトックスすると)、本当にスッキリするんですよ。頭の中も軽くなるというか。そんなふうにして体を大事にしています」と明かした。

 ◇幕末のワクワク感が分かってきた

 2度出演する大河ドラマはともに幕末が題材の作品だ。「今回やることになって、三谷幸喜さんが幕末が題材になっているマンガをくださったんです。今、途中まで読んだんですけど、幕末はいろんなことが起きて、いろんな魅力的な人が集まっているという、そんなワクワク感を少し感じてきています。歴女まではまだまだですが男の人達の友情、戦っている姿……そういうものを私も血として持っているのかなと」と笑顔で語る。

 前回の大河ドラマ「新選組!」は04年。転機の12年をへて、「あのときは何がなんだか分からず、とにかく無我夢中でやっていたという感じだったんですけど、今は割と客観的に見えたり、冷静な部分がだいぶ増えてきました。前作とは全然違う姿を見せられたらいいですね。楽しいです」と吹っ切れたような笑顔を見せた。

 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」は、NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。

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