女優の平愛梨さんの主演映画「呪怨 ザ・ファイナル」(落合正幸監督)が公開中だ。映画は、国内7作品、海外リメーク3作品が公開されてきたジャパニーズホラー「呪怨」シリーズの最終章。小学校教師の妹・結衣(佐々木希さん)が失踪したことを知った主人公・麻衣(平さん)が、妹を捜す過程で不可解な現象に巻き込まれていく物語。主演を務める平さんと、今作が本格的な映画初主演となるおのののかさんに、出演した感想や撮影エピソードなどを聞いた。
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「呪怨」シリーズの印象を「見るものじゃないなと思いました」と平さんは苦笑し、「見ている時は周りに誰かいるからいいですが、『呪怨』は私生活でも起こりえそうな話なので、一人になったときが怖い……」と実感を込める。聞いていたおのさんも「小さい頃からよく見ていて前回の作品も映画館で見たのですが、恐怖が倍増でした」と怖さを強調し、「ものめずらしさでみんなで見て盛り上がったあとに、一人になってお風呂に入っているときに、(見たことを)すごく後悔するタイプ」と自虐的に言って笑う。
ホラーが苦手気味な2人だが、出演決定時の心境を、平さんは「すごく信じられなかった」、おのさんは「やるという怖さより、ずっと前から見ていた作品に自分が出られることが信じられなかった」とそれぞれ振り返る。とにかく怖がりな平さんは、「製作発表やおはらいを終えたあと、まだクランクインを迎えていなかった時に、事務所の社長に電話して相談しようかなと思ったぐらいギリギリまで悩んでいました」と恐怖心と出演したい気持ちとの間で葛藤していたことを明かす。一方、おのさんは、「映画に出演するのがほぼ初めてで、演技もあまりしたことない中、こんなすごい作品に出られることが信じられない感じでした。だから演技に対する不安のほうが大きかった」という。
映画では恐怖を感じる演技を数多くこなしている平さんとおのさん。「CGを使った驚くシーンでは自分の想像とタイミングでやったのですが、伽椰子さんと俊雄くんがいるシーンは素で驚いている」と平さんは切り出し、「本編をつなげたときに、そのテンションが合っているのか、『こっちは素だけど、こっちはわざとらしい』というふうな見方になったらどうしようとかいうのは不安でした」と打ち明ける。完成した映像を見ての手応えを聞くと、「自分では分かっているから客観的に見られず、どうなんだろうと思いながら見た」といい、「(CGだと)分かっている部分は怖くないのですが、やっぱり伽椰子さんとか出てきているシーンは怖い」としみじみ語る。
本格的な演技が初めてだというおのさんは「(『呪怨』のキャラクターの)俊雄くんや伽椰子さんを見て驚くシーンが少なくて、その他のことで驚くというのが多かった」と説明し、「霊体験をしてきたことがあったので、その経験を生かしてではないですけど、そのときのことを思い出しつつ、想像で驚いていました」と明かす。
予告映像でも一部が公開されている平さんがシャワーを浴びているシーンでは、「最初は自分のタイミングで驚いていたのですが、想像だけではすごく難しかった」と振り返り、「何回かやったあと、監督がとあるアイデアを出してくれてリアリティーが出せました」と感謝する。他にも部屋の中での騒動後に廊下のシーンがあるのだが、「監督に『この世で一番怖いものは?』と言われて、『カラスと母です』と答えたら『カラスの大群が来たと思って』」という指示を受けた平さん。続けて、「カラスの大群と考えていたら本番が始まって、監督が足元を揺らしてきたので、それにびっくりして『きゃー!』みたいな(笑い)」といい、「監督の工夫や演出がなかったら、本当わざとらしいとなっていると思う。(演技者の)目線を合わせてくれた演出に助けられました」と打ち明ける。
バラエティー番組では共演経験のある2人だが、映画の撮影現場での共演は初めて。「平さんの演技は見たことがあるのですが、バラエティーでも何度か共演させていただいている時のイメージがすごく強い」とおのさんは切り出し、「すごく明るい感じだと思っていたのですが、共演シーンで顔を合わせたとき、すごく安定しているというか芯の強さのようなオーラを感じ、すごいなと思った」と称賛する。
女子高生役を演じるおのさんの制服姿を見て、平さんは「本当に学校に通っている女子高生という感じが自然で可愛い」と絶賛し、「(映画が)初めてとは思えないですし、ののかさんの声がすごくきれいで印象的だなと思いました」と表現する。さらに「本当に不気味な笑いをして、表情一つ変えないで笑うから、それが本当に取りつかれたみたいになっていた」と驚きつつ、「全体的にはニュアンスも柔らかい感じの役なので、刑事ものとか今度は強い感じの女性を見たくなりました」と期待を寄せる。
一番怖いと感じたシーンを、「伽椰子さんと一緒のシーン」と平さんは即答し、「控室では優しくて、笑顔でしゃべってくれるのですが、セットに入ったら楽屋にいた時より髪の毛や腕さえも伸びている感じで、さらに腕はちょっと細くなっているみたいで、本当に幽霊のような感じにしか思えなくて、怖かった」と真顔で語る。あまりにも怖がりな平さんのために、「リハーサルでは伽椰子さんの役を助監督の方が代役でやってくれていて、本番になったときに伽椰子さんが登場するから、ほとんど素で驚いている感じです(笑い)」と笑顔ながらも恐怖心でいっぱいだったことを明かす。
一方、おのさんは、「見て怖かったのはタンス」だといい、「扉の動線も監督が引いて怪しい感じに開いたりしていて、完成した映像を見たときは、知っているけれど声が出ちゃうほど怖かった」と言って苦笑する。
今回は怖がる側を演じているが、怖がらせるほうは……と話を振ると、「怖がらせるのもどうなんだろう……幼い子はそれを見て一人で過ごせなくなることもあると思うので、影響はよくないと思います」と持論を展開する平さん。そして、「(映画で起きるようなことは)あってはならないと思います」と子供への影響を本気で心配する。おのさんは「今回少しそっちの(怖がらせる)役もやって、特殊メークもやったのですが、意外とノリノリな自分もいた」と話し、「自分の演技で『きゃー!』と言わせてみたい気持ちもちょっと芽ばえました」と目を輝かせる。
映画の見どころを、平さんは「気持ちが追いつかないぐらいポンポンとストーリーが進んでいくので、(登場人物と)同じ目線になって恐怖を感じてもらえたら」と話し、「デートにしてもダブルデートとか、とにかく大人数で見てもらったほうがいいと思います」と提案。おのさんは「これから暑くなると思うのですが、本当に背筋が凍るとはこのことなんだなと見ていて思ったし、この映画をみんなで見て、涼しくなっていただきたい」とメッセージを送る。そして、「平さんがこんな表情をするんだみたいなところで驚きましたし、自分でも自分が見たことがない表情もしていたので、そういうところもぜひ注目してほしい」とアピールした。映画は全国で公開中。
<平愛梨さんのプロフィル>
1984年12月12日生まれ、兵庫県出身。98年にオーディション番組の企画「ISSAの妹役オーディション」でグランプリに輝きデビュー。2008年には映画「20世紀少年」のヒロイン、カンナ役に抜てきされ、第33回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞。映画やドラマだけではなく、情報番組やバラエティー番組に出演するなど多彩に活動している。
<おのののかさんのプロフィル>
1991年12月13日生まれ、東京都出身。東京ドームでビール売り子のアルバイトをしていて、「美人すぎるビール売り子」として話題を呼ぶ。2013年にグラビアアイドルとしてブレーク。タレントとしてもバラエティー番組に数多く出演。14年にはドラマ「ホワイト・ラボ 警視庁特別科学捜査班」(TBS系)や「ナースのお仕事」(フジテレビ系)などに出演し女優デビュー。今作が映画初出演となる。
(インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)
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