注目映画紹介:「死霊高校」 主観映像による死角と多彩な音響効果が恐怖感を倍増させる

「死霊高校」のワンシーン (C)2015 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
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「死霊高校」のワンシーン (C)2015 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.

 人気ホラー映画「パラノーマル・アクティビティ」(2007年)などを手がけてきた製作陣による最新作「死霊高校」(クリス・ロフィング、トラビス・クラフ監督)が22日に公開される。高校を舞台に、かつて主演した生徒が上演中に事故死してしまったという演劇を再演することになり、中止にすべく深夜の学校に忍び込んだ高校生たちの恐怖体験を描く。POV(主観映像)形式で撮影された映像は緊迫感に満ちていて、深夜の学校に閉じ込められてしまった主人公たちの息遣いが臨場感を与え怖さが倍増している。

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 演劇「絞首台」を上演中、主役を務める少年チャーリーの身に惨事が起きてから20年がたった高校で、当時と同じ演目が再び上演されることになった。再演される前夜、公演を中止させようとビデオカメラを手に深夜の学校に忍び込んだリース(リース・ミシュラーさん)、ライアン(ライアン・シューズさん)、キャシディ(キャシディ・ギフォードさん)の3人は、舞台セットを壊し始める。3人がよくないことを企んでいると疑い、あとを追ってきたファイファー(ファイファー・ブラウンさん)と遭遇。そして4人は偶然、20年前に起きた惨劇の映像を見てしまい、その直後から出入り口が開かなくなり、学校内に閉じ込められてしまう……というストーリー。

 深夜の学校に閉じ込められ怪奇現象が起きるという、設定は割とオーソドックスなホラーではあるが、手持ちカメラで撮った映像の生々しい動きが、恐怖をあおってくる。もし、今作が通常のカメラで撮影されていたとしたら、ここまで怖かっただろうか。もちろん、それなりの怖さはあったのだろうが、やはりPOV特有の“視野の狭さ”や“もどかしさ”といったものが、必要以上に怖さを増している。ホラー映画ではあるが残酷なシーンは少なめで、どちらかといえば音響効果による恐怖演出が中心。とにかく要所要所で前ぶれもなく発生するさまざまな音に驚かされ、終始心臓がドキドキ。ストーリー構成も思った以上に練られていて、畳み掛けるように明かされていく真実と押し寄せる怖さで、まるで肝試しをしているかのような気分で楽しめた。新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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