民放テレビ各局の10月の改編が出そろった。4月改編の調整がメインとなることもあり、昨年の視聴率3冠王の日本テレビだけでなく、4月期に大幅改編を行ったテレビ朝日やTBSも改編率は低いが、それぞれ人気番組の終了や復活、ドラマ枠廃止などインパクトのある“ワンポイント改編”を行った。一方、フジテレビは日曜夜の3番組を終了して3時間の大型枠をスタートさせるなど、4月期に続いて大幅な改編となった。民放各局の改編動向をまとめた。

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　◇王者・日テレ 「笑神様」終了も改編小幅

　2014年の視聴率3冠王（全日、ゴールデン、プライム）を獲得し、今年上半期でも全時間帯で首位に立っている日本テレビは、既存の人気番組の視聴習慣を重視し、4月期に続いて小幅な改編となった。改編率は全日帯（午前6時～深夜0時）3．8％、ゴールデン帯（午後7～10時）8．7％、プライム帯（午後7～11時）11．9％だった。

　そんな中で、注目されたのは、13年4月にスタートしたお笑いコンビ「ウッチャンナンチャン」の内村光良さんが司会を務めるバラエティー番組「笑神様は突然に…」（金曜午後7時）のレギュラー放送終了だ。黒崎太郎編成局次長は「番組開始から約2年半続いたが、もうひとつ視聴率が伸びなかった。総合的な判断」と理由を説明、「鉄道BIG4など人気の企画もあるので、今後は2時間のスペシャル番組などの形で放送していく」とした。

　◇テレ朝はバラエティー改編ゼロ　羽鳥MCで日本初“ワイドショー”復活

　テレビ朝日は、月曜と週末の夜のバラエティー番組を中心に大幅改編となった4月期とは打って変わり、今回はバラエティー番組の改編はゼロ。全体の改編率も全日帯13．6％、ゴールデン帯12．9％、プライム帯9．6％と小幅にとどまったが、西新・総合編成局長は現状のバラエティー番組のラインアップについて「磐石だとは思っていない」と発言。「一朝一夕に効果が出るわけではない。中身に関しては常に強化している」と説明した。

　主な改編として、11年にスタートした朝の情報番組「モーニングバード」を「羽鳥慎一モーニングショー」（毎週月～金曜午前8時～9時55分）に衣替えする。同局で日本初のワイドショーとして放送された「木島則夫モーニングショー」を、羽鳥さんをメインキャスターに据えて22年ぶりに“復活”させる。西局長は「羽鳥さんの魅力を前面に出し、朝の『グッド！モーニング』からの流れを良くしたい」と狙いを説明した。このほか、12年5月から続く「若大将のゆうゆう散歩」の後番組として高田純次さんが出演する「じゅん散歩」（同午前9時55分）がスタートする。

　◇TBSも小幅改編　既存番組「育てる時期」

　TBSも既存のレギュラー番組の定着化を重視し、低い改編率となった。改編率は全日帯（午前6時～深夜0時）7．4％、ゴールデン帯（午後7～同10時）9．6％、プライム帯（午後7～同11時）13．6％だった。火曜午後9時台の「マツコの知らない世界」や水曜午後10時台の「水曜日のダウンタウン」といった既存の番組の「認知・定着」が背景にあるといい、伊佐野英樹編成局長は「今は（既存の番組の）体力をつけて、育てる時期に来ていると考えている」と小幅改編となった理由を説明した。

　主な改編としては、木曜9時台のドラマ枠を廃止し、同8時台のバラエティー番組「ニンゲン観察バラエティ　モニタリング」を1時間枠から2時間枠に拡大。今年4月から関東でもスタートした午後の情報番組「ゴゴスマ～GO GO！ Smile！～」（CBC制作）も1時間枠から2時間枠へと拡大する。このほか、水曜深夜に30分の連続ドラマ枠「テッペン！水ドラ」を新設。第1弾として俳優のオダギリジョーさんが主演の「おかしの家」を放送する。

　◇フジは大幅改編で新番組続々　日曜夜の大型枠で日テレの「牙城崩す」

　フジテレビは、ゴールデンタイム帯では「世界行ってみたらホントはこんなトコだった！？」「水曜歌謡祭」「世界HOTジャーナル」などが軒並み終了し、新たに複数のバラエティー番組を投入。日曜午後7時から3時間の大型枠を新設するなど、全日帯10．7％、ゴールデン帯31．7％、プライム帯34．2％と4月に続き高めの改編率となった。

　日曜午後7時からの「クイズ！それマジ！？ニッポン」「ザワつく！？ウィークエンドTV　ニュースな晩餐会」「オモクリ監督～O－Creator’s TV show～」の3番組は終了、大型バラエティー番組などを放送する3時間枠「日曜ファミリア」が新設される。日曜夜は日本テレビの人気番組が並ぶが、宮道治朗編成部長は「気合を入れて、かなり面白いラインアップを並べる。必ず週末の牙城を崩す」と意気込んでいる。

　また、火曜午後8時台にはウッチャンナンチャンの内村光良さんがMCのクイズ番組「優しい人なら解けるクイズ！！」（仮）がスタート。内村さんは月曜午後8時台の「痛快TVスカッとジャパン」でもMCを務めており、2夜連続で同局のゴールデン番組のMCを務めることになった。水曜午後8時台は「雨上がり決死隊」ときゃりーぱみゅぱみゅさんがMCを務める「世界の何だコレ！？ミステリー」、金曜午後7時台には加藤浩次さんと田中みな実さんがMCの「となりの実話TV　カミングアウト！」（仮）が開始する。

　このほか、「ヨルタモリ」（日曜午後11時15分）の後番組には過去2度特番として放送された「人生のパイセンTV」をレギュラー化。金曜午後11時半には歌手の森高千里さん、お笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建さんという「水曜歌謡祭」のコンビが再タッグを組む新たな音楽番組をスタートさせる。宮道部長は「この改編は来年の4月改編にもつながっていく。いきなりというわけにはいかないと思うが、今のフジの状況を変えるべく、仕掛けていきたい」と現状を打破したい考えを明かした。

　◇テレ東はゴールデン強化＆“らしさ”追求　「ピラメキーノ」「そうだ旅」は終了

　テレビ東京の改編率は、全日帯9．0％、ゴールデン帯24．3％、プライム帯22．1％で、今改編は「ゴールデン帯の内容強化」に注力し、“テレビ東京らしさ”をさらに追求する。火曜午後7時台は「そうだ旅（どっか）に行こう。」が終了し、独自に取材・撮影した決定的瞬間をテンポよく見せていく新バラエティー「ウソのような本当の瞬間！30秒後に絶対見られるTV」がスタート。水曜午後9時からは「水曜エンタ」と題した2時間のスペシャル枠を新設。ミステリードラマだけでなく、人気番組のスペシャルや報道特番も投入していく。

　また、土曜深夜には、終電を逃した人の家までついて行くという素人ロケバラエティー番組「家、ついて行ってイイですか？」をレギュラー化し、土曜午後11時55分～深夜0時50分に放送。平日朝の子供向け番組「ピラメキーノ640」（午前6時40分～45分）は終了し、紺野あさ美アナウンサーがMCを務め、小中学生レベルの問題を取り上げて講師が解説する“朝活”番組「合格王！（仮）」がスタートする。