今週末に公開される映画の注目作をピックアップする「今週シネマ」。11日には、2014年に17歳という最年少でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんの姿を追ったドキュメンタリー作「わたしはマララ」(デイビス・グッゲンハイム監督)が公開。12日には、NHK連続テレビ小説「まれ」で夫婦を演じた女優の土屋太鳳さんと俳優の山崎賢人さんの共演で、高野苺さんの人気マンガを実写化した「orange-オレンジ-」(橋本光二郎監督)、長崎を舞台に、原爆後に生き残った母親と亡霊となった息子の物語を、吉永小百合さんと人気グループ「嵐」の二宮和也さんの共演で描く「母と暮せば」(山田洋次監督)、最新作と前作の仮面ライダーが共演する「MOVIE大戦」シリーズ7作目となる「仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス」(金田治監督)が公開される。
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「orange-オレンジ-」は、「月刊アクション」(双葉社)で連載された高野苺さんの人気マンガが原作で、コミックス全5巻は累計発行部数が400万部を突破している。未来から手紙が届くというSFのファンタジックな世界観に加え、大切な人を救うために仲間ともがく姿を描いた青春ストーリー。土屋さん、山崎さんの「まれ」コンビが再共演しているほか、流星涼さん、山崎紘菜さん、桜田通さん、清水くるみさんら伸び盛りの若手俳優を起用した群像劇としても楽しめる。
「母と暮せば」は、広島の原爆をテーマに描かれた戯曲「父と暮せば」を書いた作家・井上ひさしさんがタイトルだけ書き遺していた幻の作品に、日本を代表する名匠・山田監督が命を吹き込んだ。1945年8月9日、長崎に原子爆弾が落とされ、その3年後、助産師の伸子(吉永さん)の元に原爆で亡くなった息子の浩二(二宮さん)が亡霊となって現れる。その日、墓前で息子のことをあきらめようと思っていた伸子だったが、ときどき現れる浩二のことを心待ちにするようになる……という展開。決して湿っぽい映画ではなく、人間のたくましさにも胸を打たれる。また音楽は「ラスト・エンペラー」(1988年)などを手掛けた坂本龍一さんで、ラストの長崎市民による合唱は圧巻だ。
「わたしはマララ」は、友人らとともにタリバンの青年に撃たれて昏睡状態に陥るも、英国で緊急手術を受け、奇跡的に一命をとりとめたパキスタン生まれの少女・マララさんと家族の素顔に、米アカデミー賞長編ドキュメンタリー作「不都合な真実」(2006年)で知られるグッゲンハイム監督が迫った作品。意志の強そうなまなざし、美しい黒髪、明るく利発そうな声というマララさんの魅力もさることながら、父親ジアウディンさんとの二人三脚の物語でもあり、マララさんの自伝「わたしはマララ」をベースにしながら、アフリカなどで活動する姿や、現在のマララさん一家にも踏み込んだ傑作ドキュメンタリーに仕上がっている。
「仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス」は、偉人や英雄の力で変身する「ゴースト」と車がモチーフで刑事が主役の「ドライブ」が時空を超えた戦いに挑む。一度死んでからよみがえり、期限付きの命で仮面ライダーとして戦うゴーストかもし出す“切なさ”、ライダーなのにまさかの車がモチーフと驚かされたドライブの持つ“熱さ”が融合。ゴーストの世界観をベースにしつつ、タイムスリップとタイムパラドックスを利用し、ドライブ側の主要キャラも巧みに登場させている。「MOVIE大戦」シリーズはこれまで3話構成だったが、今作では一つの物語へと一新。これまで以上に新旧の仮面ライダーによる共闘感が強まっているのも見逃せない。
そのほか11日は、仙台市を舞台に、7人の少女がローカルアイドルユニットとして奮闘する姿を描くオリジナルアニメ「Wake Up,Girls!(WUG)」の劇場版「Wake Up,Girls! Beyond the Bottom」(山本寛監督)が公開。12日は、韓国で今年8月に公開されるや、歴代3位の大ヒット作となった「ベテラン」(リュ・スンワン監督)、2011年公開の「見えないほどの遠くの空を」に続く、榎本憲男監督の長編第2弾となる映画「森のカフェ」、スペイン・バルセロナにあるユネスコ世界文化遺産、アントニ・ガウディによる建築物サグラダ・ファミリアを映し出したドキュメンタリー作「創造と神秘のサグラダ・ファミリア」(ステファン・ハウプト監督)が公開される。
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