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池松壮亮:dTVドラマ「裏切りの街」主演 自身の役を「ダメだとも思わないし他人事ではない」

テレビ
dTVオリジナルドラマ「裏切りの街」で主演を務める池松壮亮さん

 俳優の池松壮亮さんが主演を務めるオリジナルドラマ「裏切りの街」が、定額制動画配信サービス「dTV」で配信中だ。今作は、2010年に上演された同名舞台作を基に映像化し、舞台版を手がけた三浦大輔さんが監督・脚本を担当。出会い系サイトを通じて出会った池松さん演じる年下男性・菅原裕一と、女優の寺島しのぶさん扮(ふん)する専業主婦・橋本智子の禁断の恋を描いている。今作で主演を務める池松さんに話を聞いた。

 ◇三浦組は「大変だからこそ信じられる」

 三浦監督とは14年公開の映画「愛の渦」でタッグを組んで以来の仲だが、出演オファーを聞いて池松さんは「うれしかった」と当時の心境を明かす。そして、「今オリジナルを作ることがすごく難しくなっていますが、『愛の渦』と『裏切りの街』は三浦さんが発案した代表作のうちの2本」と今作を称賛し、「その人の渾身(こんしん)のオリジナル作品を映像化するのに参加できたというのは、自分としてもすごく達成感があった」と振り返る。

 三浦監督について、「すごい監督」と池松さんはいい、「(三浦監督は)自分が作るものに対してストイックで厳しい方で、現場で向き合うのは何度やっても大変です」と現場での様子を語る。さらに、「なかなかオーケーをもらえないですし、毎回何度も繰り返して積み重ねていくようなところが三浦組にはある」と池松さんは説明し、「大変といえば大変ですが、だからこそ信じられるというか、結果面白いです」と充実感をにじませる。

 今作は不倫ものではあるが、登場人物たちの会話には生々しくリアリティーがあったりと、一般的な不倫ものとは一線を画すような作風だ。池松さんは「普段ひた隠しにしている部分をロマンチックさではないところで切り取り、不倫から生まれる人の裏切りの繰り返しを描いている」と今作を表現し、「『さあ不倫ドラマをやるぜ』みたいな感じではなかったです」と言って笑う。

 ◇「見覚えのあるキャラクター」を目指した役作り

 池松さんが演じるのは、恋人がいるのに主婦との不倫におぼれていくフリーターの菅原裕一。「三浦さんが貫いてきた主人公像と、今回もその一貫性はありました」池松さんは切り出し、「人間の愚かな部分を散々見つめてきた結果、その奥に見える人間らしさとか、ありのままの人間の儚(はかな)さや美しさというものを描いている」と人物を分析する。役作りでは「かといってダメだなとも思わないし、決して人ごとではないところで、自分にもある部分、きっと社会性を取っ払ったところにある人の姿みたいなことを、見た人にとっても見覚えのあるキャラクターになればと思っていました」と意識したことを語る。

 主婦との不倫や恋人から小遣いをもらうなどダメな部分が多い菅原だが、池松さんは「身に覚えがあるというのが一番しっくりくる」と菅原の人物像を評し、「なんか人を裏切ってしまう瞬間やうそをつく瞬間、でもそこにあるその瞬間の真実とか、『本当のことは一つじゃないんだよ』という(智子の夫・浩二役の)平田(満)さんから言われるせりふがありますけど、その通りだと思っている」と菅原に理解を示す。

 そして「僕もきっと誰かを裏切ってここまで来たし、その取り返しのつかない日々をみんなが過ごしながら生きているというのが届けばなとは思いました」と話したところで、「僕は出会い系をやったこともなければ不倫もしたことないですが……(笑い)」とちゃめっ気たっぷりに笑う。

 ◇寺島しのぶとの路上キスシーンに…

 物語の舞台は東京・荻窪で、街が醸し出す空気感が作品を彩っている。「中央線を知らない人はちょっと分からないかもしれないですけど、三浦さんにとってすごく思い入れのある場所なので中央線の世界が出てくる」と池松さんは説明し、「渋谷で会うとなると話がまた違ってくるし、なにか中央線独特の街の感じというか人への近さというのが感じられる」と街の印象を話す。「ある種、街が主役というか、街に暮らす人々を描いているので、中央線というのは不可欠だったのでは」と考えを巡らせる。

 荻窪は東京以外の人にはなじみが薄い街だが、「なんとなくの匂いはするのでは」と池松さんはいい、「東京の中心じゃないというのは分かると思うし、それぞれが置き換えて、たとえば僕なら福岡ですけど福岡でいえばあんな感じのところだなとか、そういうふうに見てもらえば分かるとは思います」と楽しみ方を提案する。

 智子を演じる寺島さんと共演し、「すごい方だというのは重々承知していましたが、向き合ってみて改めて瞬間瞬間をすごいなと思わされた」と刺激を受けたという池松さん。続けて、「いろんなことを見てきて、いろんなことを経験されてきた人としての力が本当にとてつもない」と寺島さんの印象を語り、「一番近くで見たからこそ分かっているつもりですが、迫力というか凄(すご)みというか、静かななんでもないところでさらっとやってのける凄みみたいなものをすごく感じて、本当に凄い女優さんだなと思いましたし、一緒にやらせてもらって楽しかった」と振り返る。

 菅原と智子が初めてホテルに行くシーンでは、2人がヘラヘラと笑っている姿が現実感を醸し出しているが、「全カット苦労しているので思い入れというか愛着はあります」と池松さんは前置きしつつ、「(ホテルに行く直前の)長回しは20何テイクとかやっていて、2日間かかった」と明かし、「なかなかオーケーが出なくて、その分、愛着はあります」という。2人がキスする瞬間についても、「全部、実際の中央線沿いで撮っている」と説明し、「荻窪の街中で僕は別にいいですけど、寺島さんが路上でキスしているなんて、みんな見ているわけですから、そんなことをやっていいのかなと思っていました」と笑顔で語る。

 ◇状況は変われど「貫いていることは変わっていない」

 今年も「デスノート2016」「セトウツミ」「無伴奏」など映画だけでも多数の出演作を控えている池松さん。「やれる(役柄の)幅が広がったという意味では数年前から大きく世界が変わりました。自分がやりたい場所でやれている」と切り出し、「たとえば、三浦さんってきっと面白いんだろうなと思っていたら会えて3本やれているわけですから、そういう意味では年々変化してきている」と自身について分析する。

 そして、「といいつつも、人からの評価などで僕の能力が変わるわけではないし、そこにぶれながらやってもしょうがないので、ある意味、やっていることは変わっていないといえば変わっていないと思うし、貫いていることなどは変わっていない気はします」と現在の心境を語る。

 今後チャレンジしてみたいことは「自分からの欲求はあまりないんです」と控えめな発言をしつつも、「どうやったらお客さんに見てもらえるかとか、何を求められているかとか、自分がやりたい中で何をやるべきかということをずっと考えているつもりです」と俳優業へ真摯(しんし)に向き合っている。

 ◇今作は「見た人全員の話でもある」

 今作は舞台版とは異なるエンディングを迎えるが、「すごくいいラストだなと思いました」と池松さんはたたえ、「舞台版は“あれ”がないのですが、あることによってお客さんにもう一歩踏み込めるというか、脚本で読んだときに自分もこの人たちと変わらないのではと思わせられる部分があったし、あのシーンがあることで広がりが見えるのではと思う」と見解を述べる。

 菅原という役柄の注目ポイントを聞くと、「見ている人がそれぞれ見つけてください(笑い)」と池松さんはいい、「菅原とか智子さんとかあの人たちの話であり、僕の話でもあり、見た人全員の話でもあると思って作ったので、何かしら楽しんでもらえる、感じてもらえる部分はきっとあると思っているので、ぜひ見てもらえればと思います」とメッセージを送った。オリジナルドラマは全6話がdTVで配信中。

 <プロフィル>

 1990年7月9日生まれ、福岡県出身。2000年に10歳で劇団四季ミュージカル「ライオンキング」のヤングシンバ役でデビュー。「ラスト・サムライ」(03年)で映画デビューを果たし、第30回サターン・若手俳優賞にノミネートされる。最近の主な映画出演作は「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(11年)、「愛の渦」(14年)、「大人ドロップ」(14年)、「春を背負って」(14年)、「愛の小さな歴史」(15年)など。16年には出演した映画「デスノート2016」「セトウツミ」「無伴奏」「ディストラクション・ベイビーズ」などの公開を控える

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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