柳楽優弥さんが主演を務める映画「ディストラクション・ベイビーズ」(真利子哲也監督)が21日に公開される。新鋭・真利子監督の商業映画デビュー作で、「桐島、部活やめるってよ」の喜安浩平さんが真利子監督と共同で脚本を担当。松山市を舞台に、小さな港町で暮らしていた青年が、街で強そうな相手を見つけてはケンカを売り歩く中、1人の青年と出会い、凶行に及んでいく姿を描く。柳楽さんが主人公・芦原泰良を演じるほか、菅田将暉さん、小松菜奈さん、村上虹郎さん、池松壮亮さんら注目の若手俳優が集結している。
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芦原泰良(柳楽さん)と弟・将太(村上さん)は、松山市西部の小さな港町・三津浜にある造船所のプレハブ小屋で2人きりで暮らしている。ケンカに明け暮れていた泰良は、ある日、三津浜から姿を消し、松山の中心街で強そうな相手を見つけてはケンカを仕掛けていた。そんな泰良の姿を偶然見かけた北原裕也(菅田さん)は興味を持ち、2人で無差別に通行人に暴行を加え、車を強奪。車に乗り合わせていた少女・那奈(小松さん)を巻き込み松山市外へと向かい……というストーリー。
主演の柳楽さんの演技力は誰もが認めるところだろうが、今作を見て、改めてその表現力の幅広さと深さに驚かされた。泰良は常にニヤニヤとした笑みを浮かべながらストリートファイトを繰り広げ、せりふがほとんどない難役にもかかわらず、たたずまいや表情、そして動きだけでえたいの知れないキャラクターを表現。説明がないため泰良の行動原理も分からず、見ている側としてはフラストレーションがたまりそうだが、むだなせりふがない分、泰良の一挙手一投足にくぎ付けになる。泰良が時折発する「楽しければええけん」という言葉からは不穏さや居心地の悪さを覚える。また、菅田さんが演じる裕也の小者ぶりが、泰良とのコントラストとともに際立っている。好みは確実に分かれると思うが、過激さの陰に見え隠れする“生きづらさ”を考えさせられる映画だ。21日からテアトル新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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