とと姉ちゃん:高視聴率の鍵は森田屋の“家族力” 秋野暢子・ピエール瀧が語る

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 NHK連続テレビ小説とと姉ちゃん」で、高畑充希さん演じるヒロイン・常子ら小橋一家が暮らす仕出し屋「森田屋」。秋野暢子さんが演じる大女将のまつと、ピエール瀧さんが演じる息子で板前の宗吉を中心に、騒々しいが飾らない温かさで常子たちを包む。前半の重要な舞台となる森田屋の“家族力”とは? 秋野さんと瀧さんの言葉から探ってみた。

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 森田屋は創業80年の老舗で、関東大震災のため深川に移転してきた。一家は大女将のまつ、宗吉と照代(平岩紙さん)の夫婦と一人娘の富江(川栄李奈さん)、板前の長谷川(浜野謙太さん)が店を切り盛りしている。浜松から上京してきた小橋家は、最初に母・君子(木村多江さん)の実家で材木問屋「青柳商店」に身を寄せたが、君子が母で女将の滝子(大地真央さん)と常子の将来を巡り対立。行く当てがなくなったところ、住み込みの働き手として森田屋に雇われ、小橋家の拠り所となる。

 森田屋の位置づけについて、瀧さんは「常子ちゃんたちが静岡から青柳家に行って、環境がアットホームからしっかりした家に入って、下町のちょっと違うところにお世話になるっていうことで、ポジションが変わるというか。小橋家の人たちは変わらないんですけれど、どこに行くかによって、意味合いが変わる。そういう部分を担っているのが森田屋だと思う」と語る。小橋家は、浜松では父・竹蔵(西島秀俊さん)と家族水入らずで暮らし、竹蔵の死後に上京した青柳商店では、大店の材木問屋の中で滝子と養子の清(大野拓朗さん)と同居してきた。

 瀧さんは「小橋家ってすぐにお父さんが亡くなって、青柳商店も滝子さんの旦那さんがいない。森田屋も僕の父ちゃんが本当はいたはずなんですけど、そこもいない。出てくる家族みんなお父さんがいない。その代わり、“とと姉ちゃん”って常子が唯一のお父さん。当時の時代を考えると、各家にお父さんがいたら、あそこまで本音は飛び交わないと思うんですよね。青柳もご主人がいたら、滝子さんも一歩引いていると思うんですよね。本音を出せるような環境ではない。絶対的な存在がいない状態だから本音をぶつけ合って、なんとか問題を解決しなくちゃいけない。意図して作られていると思うんですけれど、各家のいろいろな人の本音が聞き出しやすい、表面化しやすい設定なのかなって思いますね」と分析する。

 「狭いながらも楽しい我が家」という雰囲気の森田屋では総勢8人が食卓を囲む。瀧さんは「こっちにみんながいて、向こうに誰もいない独特の朝ドラカットでは、どうフォーメーションを取るかとか。苦労というほどではないですけれど、気は使いますね」という。秋野さんは「昔って父さんが真ん中にいて、家族だんらんがあった。お父さんに一品、料理が多くて。森田家の食卓も宗吉だけ一品多いんですよ。それで家族とごはんを食べるのが昔の家族の形だった。今だったらお父さんは、外に働きに行っていないし、おじいちゃん、おばあちゃんもいない。お母さんと子供だけの生活が続いている。映像の中では昭和の初期の家族が一つだんらんとして生活している家庭というものを描いていくことで、たくさんの方に見ていただけているんじゃないのかなって思う」とドラマの人気の理由の一つに挙げる。

 瀧さんも「アットホームなしっかりとしたおうちがあって、次にドタバタしたうちに来た。ここはドタバタしていて物騒な感じもしますけど、危ないところではないし、小橋家が気を許してもいいところ。これまでも学校での問題とかありましたし、これから常子の就職のところでわちゃわちゃはしてくるんですけれど。あそこに戻れば、ホッと一息というか、気を使わなくてもいい場所であるべきと思った」と語る。

 撮影の合間には、瀧さんが自慢の?“メタボ腹”を出して、小橋家の三姉妹や川栄さんら共演者に触ってもらって場を和ませているといい、「カメラが回っていない部分でも、みんなでキャッキャ、キャッキャと言っていて、なんとなくそういう空気を作るようにはしていた」と明かす。「『浅草でやっていて震災で店がダメになったけれど、深川で復興してやっているんだって、80年の味を守ってきた』って森田屋としての“自覚”がみんな芽生えてきて、演出に対して『森田屋はそんなことはしねえよ、この野郎』って言い返すようにもなってきちゃった(笑い)」と息の合った様子をうかがわせる。

 これから激動の時代に突入していく小橋家と森田屋だが、チームワーク満点の“家族力”で、日本の朝に元気を与えていきそうだ。「とと姉ちゃん」はNHK総合で月~土曜午前8時ほかで放送。全156回を予定。

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