松岡茉優:話題のアニメ「聲の形」で男の子役の声優挑戦 “師”山寺宏一への思いも

劇場版アニメ「聲の形」で主人公・石田将也の小学生時代の声優を務める松岡茉優さん
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劇場版アニメ「聲の形」で主人公・石田将也の小学生時代の声優を務める松岡茉優さん

 劇場版アニメ「聲の形(こえのかたち)」(9月17日公開、山田尚子監督)で、主人公・石田将也の小学生時代の声優を務める女優の松岡茉優さん。聴覚障害のあるヒロインへのいじめの描写が生々しいことなども話題になったマンガが原作の話題作で、若手実力派とも呼ばれる松岡さんが出演することも注目されている。松岡さんと同作を手がける京都アニメーションの山田監督に作品への思いを聞いた。

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 ◇山田監督が松岡さんを指名 「ダメ元だった」

 「聲の形」は、聴覚障害を持つ少女・西宮硝子と、彼女へのいじめに加担していた過去を持つ少年・石田将也の孤独や絶望、愛などを描いた大今良時さんのマンガが原作。「別冊少年マガジン」(講談社)2011年2月号と「週刊少年マガジン」(同)13年12号に読み切りが掲載され、読者の反響や監修の全日本ろうあ連盟の後押しもあり、「週刊少年マガジン」で13年8月~14年11月に連載された。アニメは「けいおん!」などの京都アニメーションが製作する。

 松岡さんは、原作のファンだったといい「マンガが大好きで、その中でも『聲の形』は、1ページ1ページをめくるのが重たいマンガ。自分の今までの後悔などと向き合いながら読んで、成長させていただけた」と思いを語る。

 女優がアニメに声優として出演することは珍しくない。ただ、「聲の形」に出演するのは、高校生の将也役の入野自由さんや西宮硝子役の早見沙織さんをはじめ、声優を中心に活躍するキャストばかりだ。松岡さんを抜てきしたのは山田監督だといい、「松岡さんが出演していたドラマ『問題のあるレストラン』が好きで、毎週見ていて、第1話から(松岡さんが)気になっていたんです。『聲の形』では、真っ先に松岡さんにお願いできないかと思った。ダメ元だったので、出演していただけてラッキーでした」と起用の経緯を説明する。

 松岡さんはオファーを聞いて「最初は『できないのでは……』と思いました。男の子役は難しいし『聲の形』を京アニさんが製作するというこで、期待している人も多いだろうし……」と不安だらけだったのですが、『監督が(松岡さんにお願いしたいと)言ってくれている』と聞いて、そんな光栄なことはない。すごくうれしくて『挑戦したいです!』となりました。幸せな限りです」と快諾に転じた。

 また、松岡さんはドラマ「その『おこだわり』、私にもくれよ!!」でも共演した友人の伊藤沙莉さんにも相談したといい「伊藤に『少年役は無理だよね』と言ったら、彼女は『私の方が無理だよ!、茉優は大丈夫だよ』って(笑い)。元気をもらった」と笑顔で明かす。

 ◇“師”山寺宏一には相談なし 「教えてもらったことをやりました!」

 松岡さんは、これまでも声優に挑戦してきたが、その際は子供向けバラエティー番組「おはスタ」で共演経験がある声優の山寺宏一さんに相談してきたという。だが、「聲の形」のアフレコを前に山寺さんには相談することはなかった。

 松岡さんは「これまでは山ちゃん(山寺さん)に教えを請うてきました。電話で1時間半くらい技術的なことを聞いたり、『ポケモン(山寺さんと共演した『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z ボルケニオンと機巧のマギアナ』)のアフレコの日は、山ちゃんとは収録日が別だったけれど、(山寺さんが松岡さんの収録日に)来てくれたんです」と“師”との関係について語る。

 「聲の形」で山寺さんに相談しなかったのは「今回は出演することも伝えていないんです。頼らなかったんです。『山ちゃんに教えてもらったことをやりました!』と言えるような作品にしたかった。『頑張りました』とチケットを渡しに行こうと思っています」という秘めた思いがあったようだ。

 ◇アフレコは二人三脚で 「できないことも楽しかった」

 「聲の形」のアフレコを「すっごく楽しかった」と振り返る松岡さん。「4時間半くらいかかりましたが、あっという間でした。やりたいことが全然できないこともありましたが、行ったことのないところに行ったような感覚で、できないことも楽しかった」とうれしそうに話す。

 松岡さんはアフレコで、山田監督と相談しながら二人三脚で役作りをしたといい、山田監督は「小学生の男の子ってどうなんだろう?と話をしながら、一つのテークでもいろいろなパターンを録(と)りました。松岡さんは感受性が豊かな方。感覚的な話が多かったですね。ドッジボールをしていてカッコいい人のように……などと話していました」とアフレコの様子を明かす。

 山田監督は、松岡さんの演技を「少年をやることに構えるのかな? 窮屈だったりするのかな?と思ってドキドキしていたけど、一言目から『よし!』となった」と絶賛。高校生の将也を演じる入野さんと小学生の将也を演じる松岡さんの声を聞き、「一人の男の子になった。実は相性を考えていたわけではないのですが」と笑顔で話す。

 松岡さんは自身が演じた将也というキャラクターについて「愛しています。最初は、何なんだろう?と思っていた。監督に『将也はヒーローです!』と言われた時は『逆では?』とパニックになった。ただ、監督に話を聞いて、台本を読むと、分かるようになり、いとおしいと思うようになりました」と役柄への“愛”を告白する。

 山田監督は、松岡さんの出演を「生まれてくれて、ありがとう!ってくらいうれしかった」と喜び、「また、やっていただけるのかな?」とインタビュー中に突然オファー。松岡さんは「すっごくうれしい! ぜひ!!」と笑顔で引き受けていた。

 ◇パワーの源は「大事な人たちの声」

 松岡さんは。ドラマ「その『おこだわり』、私にもくれよ!!」「水族館ガール」で主演を務めたほか、NHK大河ドラマ「真田丸」に出演するなど大活躍している。“パワーの源”となっているのは「母が私の芝居を見て、笑ってくれたことと泣いてくれたことが一回ずつあって、それが心に残っているんです。母を含め大事な人たちが『変われた』と言ってくれた時」という。

 今後、演じてみたい役について「年齢的に学生役はなかなかできなくなるので、学生服を着たいですね」と語る松岡さん。ますます役の幅を広げている松岡さんのこれからの活躍に注目したい。

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