スタジオジブリの長編最新作「レッドタートル ある島の物語」(マイケル・デュドク・ドゥ・ビット監督)が17日に公開される。2000年に公開された「岸辺のふたり」でアカデミー賞短編アニメーション映画賞をはじめ、高い評価を得たマイケル監督の長編初監督作品。嵐で海に放り出され無人島に漂着した男が体験する不思議な出来事を描き、第69回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で特別賞を受賞した。全編を通してせりふがなく、美しい映像と音楽とともに描き出される世界観とストーリーに引き込まれていく。
ウナギノボリ
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嵐の中、荒れ狂う海に放り出された男が、九死に一生を得て無人島にたどり着く。男は島からの脱出を試みるが、見えない力で何度も島に引き戻されてしまう。絶望的な状況に置かれた男の前に、ある日、一人の女が現れ……というストーリー。
スタジオジブリの作品といえば大人も子供も楽しめるものというイメージが強いかもしれないが、今作はもちろん子供も楽しめるだろうけれども、基本的には大人向けの映画だと感じた。とにかくチャレンジングな内容で、初めてジブリが海外監督とタッグを組んだり、日本人の中にはまだ見るのがつらい人も多いであろう津波のシーンがあったり、なにより一切せりふがないという演出には驚かされる。
童話やおとぎ話を見ているような気分に浸りながらも、不条理や衝撃の展開などで現実とファンタジーの境界で強く心を揺さぶられる。言葉が存在しない分、力強い画や奏でられる音楽が雄弁だ。見る人によって解釈や好みが分かれるだろうが、画期的なジブリ作品であることは間違いない。17日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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