モアナと伝説の海:モアナ役の新人・屋比久知奈 歌を始めたのは2年前「公務員試験受けようかと…」

ディズニーの劇場版アニメーション「モアナと伝説の海」で主人公モアナの吹き替えを担当した屋比久知奈さん
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ディズニーの劇場版アニメーション「モアナと伝説の海」で主人公モアナの吹き替えを担当した屋比久知奈さん

 10日に公開されたディズニーの最新劇場版アニメーション「モアナと伝説の海」(ロン・クレメンツ監督、ジョン・マスカー監督)で主人公のモアナの吹き替えを担当している屋比久知奈(やびく・ともな)さん。沖縄出身の22歳で、今回、ディズニーのヒロイン役では、史上最大規模のオーディションで選ばれた新人だ。最大の魅力は、新しい世界へ飛び出していくモアナの心情を表現した力強く伸びやかな歌声。約2年前に本格的な歌のレッスンを始め、公務員試験を受けようと考えたときもあるという屋比久さんに話を聞いた。

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 ◇コンテスト出場から道開ける 「縁と幸運がたくさん」

 屋比久さんは1994年6月6日生まれ。身長153センチ。特技は、4歳から習っているクラシックバレエと、TOEIC915点の実力を持つ英会話。2016年5月にミュージカルのメッカ、帝国劇場で開催されたミュージカルの楽曲を歌うコンテスト「集まれ! ミュージカルのど自慢」のグランドファイナルで最優秀賞を受賞したことをきっかけに、現在の芸能事務所に所属して「モアナと伝説の海」のオーディションに挑戦。見事、モアナ役を射止めた。

 「元々、歌がずっと好きだった」という屋比久さん。「ミュージカルの世界を意識してレッスンを受け始めたのが2年前ぐらい」というから驚きだ。コンテストへの出場から道が開け、今回の映画の公開までを「あっという間の出来事。(コンテストの)福岡予選に出場したことさえも夢のようなことでした。まして賞もいただくことができて、こうやって今につながった。いろいろな縁と幸運をたくさんいただけていると感じます」と自らの“運命”に感激している。

 ◇モアナ役の歌とせりふ「悔しさも楽しさも」

 初めてのアフレコは「正直、すごく大変でした。自分の力不足をたくさん感じて、歌とせりふは、どちらも違った難しさがありました」という。

 「一つ一つのせりふに対して、監督の方々が丁寧に指導や、アドバイスをくださったので、学びながら、モアナと一緒に成長したいと思いながら収録をすることができました。歌は、自分の思いで気持ちよく歌ってしまうと、絵と合わない部分が出てしまうので、(歌を)絵に合わせていくという、今までとは少し違った表現を求められるというところがあって面白かったです」と話し、「悔しさも持ちつつ、楽しみながらできたかな」と振り返る。

 また、モアナの祖母・タラおばあちゃんが「亡くなったおばあちゃんに背格好もキャラクターも似ていて。ちょっと変わったおばあちゃんだったんです」とにっこり。「私も(モアナと同じ)おばあちゃん子。強さと包み込んでくれるような優しさがあって、そこがすごくリンクして(2人のシーンは自分の)おばあちゃんに話しているような気持ちになって演じることができました」と笑顔で語った。

 ◇「公務員試験を受けようか」家族と相談も

 「ミュージカルがやりたくて東京に出る決意をした」という屋比久さん。その決意を聞いた家族は「母がバレエの先生で、(家族が)芸術の世界に関わっていたこともあって、私の両親は喜んでくれた」という。一方で「すごく心配してくれて。私も賞をとるまでは、本当にやっていけるのかと不安があったので『公務員試験を受けようか』と話し合っていたぐらい」と明かす。

 その親の姿は、大海原へ出たいというモアナの夢に反対する、モアナの親に重なる点もある。「モアナの両親と同じぐらい心配してくれていました。『応援したいけど心配』という気持ちは私も感じていて(親が子供を心配することは)どこの家庭でもたくさんあるんだろうなと感じました。幸いにも、私は送り出してくれたので(親の)気持ちに応えたい。もっと頑張って、家族にもその姿を見せたいという気持ちがあります」と力を込める。

 さらに「力になるのは、家族の存在。帰る場所としてあることが、すごくありがたい。時にはお尻をたたいてくれることもありがたいですね。これからも家族は大切にしていきたいと思います」と家族への思いを語った。

 ◇自分を磨いて心に残るパフォーマンスを

 大抜てきのデビューで、これからの活動はどのように考えているのだろうか。「いちばんやりたいのは、ミュージカル」と笑顔を見せつつ、「いただける役、すべてに挑戦し、すべて大切にやっていきたいと思います。(今回の)声優のように、新しい世界をたくさん見たい。そういった機会を、より多くいただけるように、もっともっと(自分を)磨いていきたいです」と意欲を見せる。

 そして「大きな目標は、観てくださった方々の誰かの心に残るようなパフォーマンスができる表現者になりたい。自分の目指す表現を見つけていきたいです」と目を輝かせた。この先、どんな場所で、どんな活躍を見せてくれるのか大いに楽しみだ。

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