田中麗奈:「仕事も家事も好き」好きなことを思い切りやって輝きたい

映画「幼な子われらに生まれ」に出演した田中麗奈さん
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映画「幼な子われらに生まれ」に出演した田中麗奈さん

 女優の田中麗奈さんが、公開中の映画「幼な子われらに生まれ」(三島有紀子監督)で、俳優の浅野忠信さんと再婚同士の夫婦を演じている。直木賞作家・重松清さんの同名小説が原作で、先日のモントリオール世界映画祭で審査員特別大賞に輝いた今作は、子供が多く出演していたため、現場は明るい雰囲気だったという。田中さんに、今作の撮影の様子や休日の過ごし方、生き方などについて聞いた。

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 ◇再婚同士の夫婦の家族を描く

 映画「幼な子われらに生まれ」は、バツイチのサラリーマン、田中信(浅野さん)が再婚した妻、奈苗(田中さん)の連れ子とうまくいかず、悶々(もんもん)とした日々を過ごしていた。ある日、奈苗の妊娠が分かり、長女の薫(南沙良さん)はそのことでより辛辣(しんらつ)になり、“本当のパパ”(宮藤官九郎さん)に「会いたい」と言い始める。信は今の家族に息苦しさを覚え……というストーリー。信の元妻でキャリアウーマンの友佳役に寺島しのぶさん、DVが原因で別れた奈苗の元夫・沢田役で宮藤さんが出演している。

 ◇浅野忠信と宮藤官九郎 対照的な夫役の2人

 田中さんは、浅野さんと宮藤さんの対照的な2人の俳優と共演して、「浅野さんはせりふをすごく自分の言葉に直して、自分が普段使っている言葉に引き寄せる方なんだなあという感じはありました。本当にナチュラルに役を演じられる方です。宮藤さんはDVのシーンしかなかったので、今回は非常に悪い印象だったんですけれど(笑い)。久しぶりの再会だったんですけれど『とんだ再会だな』みたいな感じで。でも、(役が)はまってらして。悪いのが汗からにおうような危険な男みたいに、恐ろしい狂気の顔をされていて……」とそれぞれに対して感じたという。

 宮藤さんについては、さらに「(現場に入ってきたときは)『どうも~』って感じでしたけれど、リハーサルとかが進んでいくと、怖いという感じが出てきました。宮藤さん自身も『笑っちゃうくらいひどいやつですね』って言ってました(笑い)。だけど、出来上がった映画を見て、宮藤さんが醸し出している優しさというのは魅力になって、哀愁というか、やっぱり子供を遊んでいる姿をいとおしそうに見ている顔だとか、父親になれなかった俺という、ちょっと情けない部分、どこかあきらめている人の雰囲気が憎めなくて、すごく魅力的な元旦那さんになっていたので、素晴らしいなと思います」と語る。

 ◇子役たちと編み物を楽しむ

 子役が多い撮影現場で雰囲気は明るかった。「子供と一緒に遊んだりして、自然に“陽”の雰囲気になっていましたね。子供が好きなので楽しかったです」と明かす田中さん。現場では子供たちに「『学校で何がはやっているの?』って聞いて、その遊びを教えてもらって、一緒にやるという感じが多かったですね。手遊びでやれるようなものが意外とみんな盛り上がるので」と笑いもこぼれていたという。

 また、「編み物も一緒にやったりしました。待ち時間が多いので、その中で子供たちも一緒に編み物して過ごしたりしましたね」と美術スタッフに教えてもらいながら、子供たちとみんなで編み物を楽しんだ。撮影中に完成したものは「小さいコースターとか。本当はポーチを作るはずだったんですけれど、ポーチにしては物が入るスペースが少なくなったからコースターにして置いています(笑い)」と笑顔で話す。

 ◇植物に囲まれた暮らしがしたい

 「家事が好き」という田中さんは料理に加え、ガーデニングなどにも凝っているという。「部屋にお花を飾ったり家具の配置を考えたりするのも好きですし、あとガーデニングと家庭菜園にもはまっています」と話す。

 家庭菜園では、「レモンの木と、ユズとトマトと枝豆とトウモロコシと、あとはハーブ系を育てていますね。そのまま料理に使えるように。ネギやミョウガなども始めました。薬味は自前で調達というところまでいきたいなと。プラス、ハーブと、お花も好きなのでゼラニウムとか、ハイビスカスとアサガオと……いろいろあります」と楽しそうに語る。

 時間があったら「植物に囲まれた暮らしがしたい」と言い、休みがあったら「ガーデニングをずっとやっていたいですね。庭いじり、土いじりをずっと」と明かす。さらに、「刺し子」もやってみたいという。「刺し子でクッションカバーを作ってみたいんです。こういう趣味は常にやっているのではなくて、何年かに1回やってみたくなって、はまっちゃうという。どちらかというと冬にはまりがちなんですが、今はまだ冬じゃないけれど、刺し子とかやりたいな」と思いをはせる。

 クッションカバーのほかには「ペンケースとか舞台のお稽古(けいこ)のカバンを刺し子で作りたいなと思って、キットを購入したんです」と目を輝かせる。

 ◇好きなことをしていると「生き生きしている」

 最後に、女性が年齢を重ねてもずっと輝き続ける秘訣(ひけつ)を聞くと、「好きなことを思い切りやること、という気がします。そういうことを夫が言ってくれたんですけれど、私が仕事が好きなので、好きなことをやっているときは生き生きしているように見えると言ってくれた。やっぱりそうなんだなと自分でも思って。私は演じることが好きなので、その(女優の)部分と、家庭のこと、家事をするのも好きなので両方ちゃんとやっているのが私自身、好きなんですよね。だから女性は、好きなことをやり続けるのがいいのかなと思います」とメッセージを送った。

 <プロフィル>

 たなか・れな 1980年5月22日生まれ、福岡県出身。98年、映画「がんばっていきまっしょい」(磯村一路監督)で初主演。日本アカデミー賞新人女優賞などを多数受賞した。主な出演作に、「はつ恋」(2000年、篠原哲雄監督)、「東京マリーゴールド」(01年、市川準監督)、「ゲゲゲの鬼太郎」シリーズ(07、08年、本木克英監督)、「夕凪の街 桜の国」(07年、佐々部清監督)、「犬と私の10の約束」(08年、本木克英監督)、「源氏物語‐千年の謎‐」(11年、鶴橋康夫監督)、「麒麟の翼~劇場版・新参者~」(12年、土井裕泰監督)、「夢売るふたり」(12年、西川美和監督)、「王妃の館」(15年、橋本一監督)、「葛城事件」(16年、赤堀雅秋監督)など。公開待機作に日台合作「おもてなし(仮題)」(ジェイ・チャン監督)がある。テレビドラマでは、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」(15年)、NHKドラマ10「愛おしくて」(16年)、フジテレビ系「真昼の悪魔」(17年)に出演。

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