アジア最大級の映画祭「第30回東京国際映画祭(TIFF)」が3日、EXシアター六本木(東京都港区)で行われたクロージングセレモニーで閉幕した。15作品が出品されたコンペティション部門の最高賞「東京グランプリ」はセミフ・カプランオール監督の「グレイン」が獲得した。カプランオール監督は「今とても興奮しています」と心境を明かし、「今回の映画は長い旅路を経てできたところとなりました。製作に5年かかりました。ここから、(作品が)世界へ向かって広がっていく出発点になると信じております」と喜びを語った。
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東京グランプリに輝いた「グレイン」は、食料危機に見舞われている近未来の地球を描いたSF作品。セレモニーには東京都の小池百合子知事も登場し、カプランオール監督に表彰状と麒麟(きりん)像を授与。小池知事は「この映画祭、今年で30回を迎えることとなりました。こうした積み重ねが、東京の魅力の一つに、また発信源の一つになればと思います」と語った。
コンペティション部門の最優秀男優賞は「迫り来る嵐」(ドン・ユエ監督)のドアン・イーホンさん、最優秀女優賞は「マリリンヌ」(ギヨーム・ガリエンヌ監督)のアデリーヌ・デルミーさん、最優秀監督賞は「アケラット-ロヒンギャの祈り」のエドモンド・ヨウ監督が受賞。観客賞は、女優の松岡茉優さんが主演した「勝手にふるえてろ」(大九明子監督)、最優秀脚本賞は「ペット安楽死請負人」(テーム・ニッキ監督)、最優秀芸術貢献賞は「迫り来る嵐」、審査員特別賞は「ナポリ、輝きの陰」(シルビア・ルーツィ監督、ルカ・ベッリーノ監督)が受賞した。
審査委員長で俳優のトミー・リー・ジョーンズさんは、映画祭の総評として「最良の映画祭というものは、映画製作者や観客を厳しい商業的需要から解放するものであると思います」とコメント。また「私たち製作者は皆さんの時間を無駄にするために生まれてきたのではありません。よりよいものにするために生まれてきました。私たちは皆さまに対し、謙虚な心と希望を持って仕えるものたちであることを、審査員を代表して申し上げます」と語った。
「TIFF」は、1985年にスタートし、今回で30回目を迎える映画祭。映画祭アンバサダーを女優の橋本環奈さんが務めた。オープニング作品は邦画では10年ぶり、日本のマンガ原作の映画としては史上初となる「鋼の錬金術師」(曽利文彦監督、12月1日公開)で、クロージング作品は「不都合な真実2:放置された地球」(ボニー・コーエン監督、ジョン・シェンク監督)。コンペティション部門には松岡さんが主演を務めた「勝手にふるえてろ」などが出品されていた。
この日のクロージングセレモニーでは、クロージング作品で元米副大統領のアル・ゴア氏が地球温暖化問題に警鐘を鳴らす「不都合な真実2:放置された地球」(ボニー・コーエン監督、ジョン・シェンク監督、17日公開)の舞台あいさつも行われ、ゴア氏も登場した。
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