吉川晃司:主演時代劇で“全編無言”の難役に挑戦 特報映像も公開

「連続ドラマW 黒書院の六兵衛」に出演する上地雄輔さん(左)と吉川晃司さん(C)WOWOW
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「連続ドラマW 黒書院の六兵衛」に出演する上地雄輔さん(左)と吉川晃司さん(C)WOWOW

 歌手の吉川晃司さんが、7月に放送されるWOWOWのドラマ「連続ドラマW 黒書院の六兵衛」で主演を務めることが26日、明らかになった。WOWOWのドラマに初出演、初主演の吉川さんは「連続ドラマWは良質なもの作りをしているイメージで楽しみにしていましたが、実際やってみると結構コキ使われんだなって思いました(笑い)。今回主演を務めますが、普段の音楽活動においてもフロントマンとしてトータルプロデュースをする⽴場と考えれば、役回りに大きな違いはないし、むしろ余計な力を入れすぎないように心がけています」と意気込みを語っている。

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 ドラマは、人気作家の浅田次郎さんの同名小説(文春文庫)が原作。“江戸城無血開城”をベースに、時代の波に取り残されそうになりながらも、自らの信義を通し一切口を利かぬまま、江戸城内に居座り続ける将軍直属の御書院番士・的矢六兵衛(吉川さん)と、官軍側に付いた尾張藩からつかわされ、六兵衛の排除を命じられた下級藩士・加倉井隼人との交流を描く。加倉井は上地雄輔さんが演じる。映画「神様はバリにいる」「ボックス!」の李闘士男さんが監督、連続ドラマ「新参者」などの牧野圭祐さんが脚本を担当。六兵衛役の吉川さんは“全編無言”で、加倉井役の上地さんは“2人分”の膨大なせりふ量に挑戦するという。

 同日、特報映像も公開された。特報では、六兵衛(吉川さん)が正座のまま、押し黙る姿や、城内に検分に⼊った加倉井が六兵衛を発見する姿などが収められている。ドラマは7月スタートで全6話。第1話は無料放送。

 ◇的⽮六兵衛役の吉川晃司さんのコメント

 ――WOWOW連続ドラマW初のご出演についての意気込みは?

 連続ドラマWは良質なもの作りをしているイメージで楽しみにしていましたが、実際やってみると結構コキ使われんだなって思いました(笑い)。今回主演を務めますが、普段の⾳楽活動においてもフロントマンとしてトータルプロデュースをする⽴場と考えれば、役回りに⼤きな違いはないし、むしろ余計な⼒を⼊れすぎないように⼼がけています。

 ――浅⽥次郎さんの原作や、脚本を読まれた際の感想は?

 何百年と続いた武⼠の魂や覚悟というものを、この不動無⾔の的⽮六兵衛という特異なキャラクターに背負わせた。その切り⼝、発想が⾮常に⾯⽩いと思いました。⼀⽅で、この原作の映像化は⾮常に難しいのではないかとも感じましたが、今回の脚本は本当に⾯⽩いものになっていると思います。

 ――実際に現場で演じてみての感想は?

 ステージでも演技でも普段は動き回っている⾃分が、今回はせりふもなく動きも最低限。⾟抱と受け⾝の極みをやる。これは⼤きな賭けだと思いました。⼀⽅で、的⽮六兵衛の所作を⾝につけるために採り⼊れ⽇夜稽古(けいこ)に励んでいる⼸⾺術礼法⼩笠原流の極限まで無駄を削(そ)ぎ落としたしなやかな動きと求道者のような姿勢、これが役作りにおいても、撮影中の集中⼒やモチベーションを保つことにおいても、⾮常に重要な存在となっています。芝居については、相⽅となる上地くんの苦労も相当なものだと思います。なにせ、しゃべらない⾃分の分までせりふを背負わせているので。もはや落語の域ですね。⼼の中で常に旗を振って感謝、応援しています。

 ――この映像化を通じて届けたい思いや、視聴者の皆様へのメッセージをお願いします。

 「武⼠道」というものを、動く絵にするとこうなる。それを楽しんで見ていただければと思います。

 ◇加倉井隼⼈役の上地雄輔さんのコメント

 ――WOWOW連続ドラマW初の出演についての意気込みは?

 少しでもその作品の⼒になれるように、その役に⾃分の魂をすべてささげようと思いました。

 ――脚本を読まれた際の感想は?

 ⼤変なものを引き受けたなと思いました。

 ――実際に現場で演じてみての感想は?

 ⾃分を削ぎ落とす気持ちで毎シーン演じているので、それが出ていればうれしいです。

 ――視聴者へのメッセージを。

 ⽇本っていいなと思ってくれたらうれしいです。

 ◇原作の浅⽥次郎さんのコメント

 「⿊書院の六兵衛」は不思議な⼩説です。ある晩、江⼾城中にじっと座りこむ侍の夢を⾒て、そのままを⼩説にしました。もともとが夢の啓⽰なので⼀貫した物語性はないのですが、幸い新聞連載でしたから、じっくりと書きながらだんだん⾯⽩い話になっていきました。李闘⼠男監督とお会いしたのは、その連載がまだ終わらぬころだったでしょうか。ご⼀緒したロケバスの中で私がストーリーを語り、李監督が興味を⽰されて、突然、映像化の話がまとまりました。これもやはり不思議なドラマ化の経緯ですね。主役が吉川晃司さんと聞いたときは、なるほどと思いました。所作だけで表現をするというのはとても難しいことで、そうした役者さんはめったにいないでしょう。「⿊書院の六兵衛」は、スタッフやキャストや視聴者の皆さんの、⼈⽣を変える不思議なドラマになるような気がします。

 ◇李闘⼠男監督のコメント

 ――「⿊書院の六兵衛」の連続ドラマでの映像化への気持ちや意気込みは?

 この「⿊書院の六兵衛」という作品について浅⽥先⽣から初めてお聞きした時は 「なんてけったいな本なんだ!と思ったのが正直なところです。主⼈公が全くしゃべらない、⼀体何をしているのかも分からないということは、映像化にあたっては⾮常に難しく⼿強い題材だと感じましたし、撮影中の今でもその思いは変わりません。しかし製作過程において、江⼾城という“伏魔殿”に仕掛けられたミステリーであり、かつ幕末から明治という時代を⽣きた男が貫き通した「志」の物語でもあり、ここにエンタメ性とテーマ性とが⾒事に融合されていることに改めて気付かされました。“武⼠道”や“国を守る”といった堅固なテーマを損なうことなく、これと同時に、全6話を通じて六兵衛の魅⼒とミステリアスさも引き出して、視聴者の皆さんに楽しんでいただける渾⾝(こんしん)の幕末エンターテインメントをお届けします。

 ――原作、キャスト、「連続ドラマW」の初監督に対する思いは?

 WOWOWのオリジナルドラマは“⼤⼈が見るドラマ”というイメージで、⽬の肥えた視聴者に向けたエンターテインメントをどう作るか、またそれにトライできるというのは⾃分にとって⼤きなチャレンジであり、期するところがあります。浅⽥次郎先⽣からこの本を託されてから5年、ようやく形にすることができる⽇を迎えております。六兵衛には吉川晃司さん、加倉井には上地雄輔さんを迎え、原作の読者の⽅にとっては意外なキャスティングであったかもしれませんが、実際、吉川さん演じる六兵衛は⾔葉を発さない謎の男ながらその背中やたたずまいで多くを語り、上地さん演じる加倉井は六兵衛と関わることで⼈間として成⻑していく姿を、さまざまな表情を⾒せながら演じてくれており、作品をご覧いただきましたら、きっと、お楽しみいただけると確信しています。

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