花のち晴れ:主演・杉咲花 愛され“隠れ庶民”のさじ加減とは

連続ドラマ「花のち晴れ~花男 Next Season~」で主人公の“隠れ庶民”江戸川音を演じる杉咲花さん
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連続ドラマ「花のち晴れ~花男 Next Season~」で主人公の“隠れ庶民”江戸川音を演じる杉咲花さん

 SNSやネットでの盛り上がりも話題の杉咲花さん主演の連続ドラマ「花のち晴れ~花男 Next Season~」(花晴れ・TBS系、火曜午後10時)。人気シリーズ「花より男子」(花男)の新たな物語で、今回も個性的なキャラクターがそろう中、杉咲さん演じる“隠れ庶民”の主人公、江戸川音(おと)が、しっかりと存在感をみせている。杉咲さんは今作が連続ドラマ初主演。音役を「実はすごく難しい」と話す同ドラマの瀬戸口克陽プロデューサーに、杉咲さんの起用理由を聞いた。

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 ◇杉咲花は「抜群にお芝居がうまい」 音の揺らぎや心の機微を表現

 杉咲さんが演じる音は、大手化粧品メーカー「エド・クオリティ化粧品」の令嬢だったが会社が倒産し、父親が出稼ぎに出ており、現在はお嬢様育ちの母親と2人暮らし。家計を支えるためコンビニでバイトをして家事全般を担っているという境遇だ。18歳まで超金持ち名門校・英徳学園高校に在籍していれば、IT業界を牽引(けんいん)する経営者の御曹司で婚約者の馳天馬(はせ・てんま)と結婚することができるため、今の境遇を隠して学園に通う“隠れ庶民”だ。

 杉咲さんに音役をオファーしたのは、ほかのキャストと同じ、約1年前。瀬戸口プロデューサーは、音について「貧乏と割り切れているわけではなく、庶民になってしまった元令嬢。でも、もし今の庶民生活に不満があって『元の生活に戻りたい』と思っているキャラクターだと(視聴者が)愛せない気がする」と説明する。

 さらにその難しさを「今の(庶民的な)生活に自分は順応できている。けれど、母親のために『婚約は自分だけのものではない』と一家の将来を背負っている。天馬のことは初恋(の相手)で好きだが負い目を感じている……などの複雑な背景があって、一つ一つを積み重ねた演技がなければ、応援したくなるキャラクターにならない。さじ加減が難しい。お芝居が本当にうまくないと、キャラクターの持つ揺らぎ、心の機微が出ないと思った」といい、「この世代では抜群にお芝居がうまい」と見込んだ杉咲さんへのオファーにつながったと明かした。

 さらに、杉咲さんの魅力に「清廉さ」も挙げ、「元令嬢でありつつ、質素な質実な部分にも、ちゃんとリアリティーのある演技ができる人はそういない。この条件をクリアできるのは杉咲さんしかない」と確信したと振り返った。

 ◇オファーの壁はロングヘア? 「切ってもらえるか」がカギ

 瀬戸口プロデューサーは今作で、キャストのビジュアルも重視している。ドラマの原作となるマンガで、音は髪が肩につかない程度の長めのボブヘアだが、当時の杉咲さんはロングヘア。「髪を切ってもらえるかどうかがカギだった」と振り返る。

 結果、杉咲さんは約30センチ、髪を切って音を演じているが、杉咲さん自身が放送スタート前に行ったイベントで「こんなに短いのは初めて」と発言しているように、ロングヘアのイメージが強かった。瀬戸口プロデューサーも「本人の髪へのこだわりもあると思っていた」といい、「『(音役を)やってほしいけれど、髪を切るのが条件』とお願いした。こちらは勝手にハードルが高いと思ったけれど、OKしてもらえたのでありがたかった」と喜んだことを明かす。

 また杉咲さんは演技派として知られる一方、学園もの、ラブコメもののイメージがあまりない。その点について瀬戸口プロデューサーは「一生懸命さ、キャラクターが追い込まれた末にとる行動が面白いという作り(のドラマ)なので、お芝居がうまければ間違いなくできる。お芝居の力が一番大事。花晴れの世界には、コミカルな部分と切ない部分、両方が必要なんです」と演技力の万能さを強調し、杉咲さんに信頼を寄せている。

 8日に放送される第4話では、音と、神楽木グループの御曹司の神楽木晴(かぐらぎ・はると=平野紫耀さん)、音の婚約者・天馬(中川大志さん)との三角関係が本格的になる。資産家のイケメン2人にモテモテ……という憧れの展開にも、思わず応援したくなる、愛され“隠れ庶民”を演じる杉咲さんに注目したい。

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