海に眠るダイヤモンド
第5話 一島一家
11月24日(日)放送分
俳優の田中圭さん主演の連続ドラマ「おっさんずラブ」(テレビ朝日系、土曜午後11時15分)が2日、ついに最終話を迎える。「ヒロイン・吉田鋼太郎」「この春いちばんピュアな(おっさん同士の)恋愛ドラマ」というキャッチーすぎるうたい文句と共に4月にスタートした同ドラマだが、回を追うごとに人気は過熱。5月26日の第6話放送時には、Twitterで「#おっさんずラブ」がトレンド世界1位に躍り出るほどの勢いを見せている。その人気の理由とは……。
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ドラマは、“ロリで巨乳な女子”が好みのモテない33歳独身男子・春田創一(田中さん)が主人公。春田は、ひょんなことからルームシェアをすることになった25歳のイケメン後輩男子・牧凌太(林遣都さん)と、乙女心を持つ55歳の部長・黒澤武蔵(吉田鋼太郎さん)という2人の男性に愛の告白をされ、未曽有のモテ期に突入する……という展開。
2016年12月に単発ドラマとして放送され話題となった作品の連続ドラマ化で、田中さんと吉田さんは同じ役で続投し、牧役で林さん、春田の幼なじみの荒井ちず役で内田理央さんが新たに出演。新キャラクターとして春田が勤める天空不動産の上司で、実は牧の元カレの武川政宗(眞島秀和さん)、武蔵の妻・蝶子(大塚寧々さん)、春田の職場のモンスター新入社員の“マロ”こと栗林歌麻呂(金子大地さん)らが加わった。
簡単にストーリーを振り返ると、第1話にして春田は武蔵と牧に告白され、第2話で春田を巡る男同士のバトルが勃発。第3話では武蔵と蝶子のドロ沼離婚騒動、第4話では春田の上司・武川が牧の元カレだったことが発覚……と前半だけでもまさに激動の展開だった。
その随所に胸キュンシーンがちりばめられており、第2話での牧の春田へのデコチュー(額にキス)には、「牧の慈愛あふれるデコチューに泣けた」「デコチュー震える」といった声が殺到。第4話で家を出て行こうとする牧をバックハグで引き留める春田の場面には「バックハグ! 死んだ!」と“悶絶(もんぜつ)”する視聴者が続出した。
第5話では、ついに春田と牧が付き合い始めるのだが、春田は男同士のデートについ人目を気にしてしまう。そんな春田に牧は、自分は「恥ずかしい存在なのか」と問う場面がある。それに春田は「恥ずかしくない」という答えを出し、牧に笑顔を見せる。この時の春田の“イケメン”ぶりも大きな反響を呼んだ。そして第6話では、牧が春田の幸せを思うがゆえに別れを選んでしまうような展開に。牧が泣きながら春田のことを「好きじゃない」という場面には、SNSでも「つらすぎる」「(見ながら)むっちゃ泣いてる」といった声が上がるなど涙なしには見られないシーンだった。
「男同士の恋愛」というテーマに注目しがちだが、以前の取材で、ドラマを手がける貴島彩理プロデューサーは「普通の恋愛ドラマだと認識して作ることを心掛けている。目指したのは“月9”の王道恋愛ドラマ」と語っていた。実際に、それぞれのキャラクターの思いをとても丁寧に描いている。
牧のはかなさや切なさ、春田に情熱的に思いを伝える武蔵のいじらしさ、武蔵に離婚を切り出されながらも、その恋を必死に応援しようとする蝶子、後輩の春田に土下座して「牧と別れてくれ」と懇願するほどに牧を愛する武川、春田への思いに気付いてしまい揺れるちず……と、それぞれが自分の恋愛に真っすぐに向き合う姿は、貴島プロデューサーが話す「今は少なくなってしまったけれど、みんなが好きだった」王道の恋愛ドラマを思い出させてくれる。
SNSなどの反応を見ても、「おっさんずラブ」は、コメディーではなく恋愛ドラマとして多くの人に受け入れられているように思える。視聴者もまさに“恋の魔法”にかかったかのように、それぞれの恋に熱を持ってのめり込み、ハラハラしながら行方を見守るような現象が巻き起こっている。
「おっさんずラブ」は、ストーリーの端々にちりばめられた“小ネタ”も秀逸だ。アイドルグループ「乃木坂46」の元メンバーの生駒里奈さんが演じた“朝ドラ”女優の出演ドラマのタイトルが「全部、赤い。」であったり、体調を崩した牧がベッドで読んでいた本のタイトルが「徳永、犬に名付けるってよ」だったりと、画面に一瞬しか映らないような場面にもこだわりが見える。
また、ドラマ放送前にひそかに始動していた公式インスタグラム「武蔵の部屋」は、フォロワーが47万人間近(5月31日現在)という勢いだ。ドラマの公式ツイッターでも、撮影のオフショットや撮影の裏話を放出し、SNS上で「公式が神」と言わしめる影響力を持つ。ストーリーの本筋以外でも楽しませる仕掛けをふんだんに織り込み、次回までの1週間も視聴者の心をドラマから離さない。
そして最終回、「HAPPY HAPPY WEDDING!?」と題した物語の結末は一体どうなるのか。ドラマのポスタービジュアルに掲げられたキャッチコピーは「君に会えてよかった。」である。貴島プロデューサーは、ドラマの企画段階では「壮大なメッセージを考えていたわけではなかった」と言いつつも、「男同士の恋愛を普通に描いていることにメッセージ性を感じてほしい。『あー、笑った。楽しかった』と元気になってくれて、いつの間にか価値観が変わっていたらうれしい」と語っていた。そして「すてきな最終回にしたい」とも。「おっさんずラブ」が最後に見せてくれる“愛の形”に心から期待したい。
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