大ヒットSF映画「スター・ウォーズ」シリーズの人気キャラクター、ハン・ソロの“知られざる過去”を描いた「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」(ロン・ハワード監督)で、若きハン・ソロ役を演じるオールデン・エアエンライクさん。3000人もの候補者の中からオーディションでこの役を勝ち取った。来日したエアエンライクさんは、今回の大抜擢(だいばってき)について、「世界中の多くの人々に愛されているキャラクターを演じられたことは、大変光栄なこと。素晴らしい冒険に関わることができました」と喜ぶ。エアエンライクさんに映画について聞きながら、その素顔に迫った。
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「スター・ウォーズ」シリーズの中で、エアエンライクさんの一番のお気に入りは、シリーズ5作目に当たる「帝国の逆襲」だという。その作品を含め、今作に取り組むことが決まった早い段階で、シリーズ全作を見直し、研究した。その際、注目したのは三つの点だった。
「まず、ハリソン・フォードさんの演技。二つ目がキャラクター造形。三つ目は、スター・ウォーズの世界観がどのようになっているか。それらを情報として吸収するようにしました。そうすれば、なじみの歌が自然と口をついて出てくるように、撮影に臨むときには、研究して学んだことが、意識せずに演技に表れるのではないかと思ったからです」と役作りを振り返る。
撮影していて最も楽しかったのは、「(ハン・ソロの愛機ミレニアム・)ファルコンを操縦できたこと。とてもカッコよかった。乗り込んで、窓の外をちょっとのぞいてみたり(笑い)、慣れてきたら、ボタンを押したり、装置をいじったり。本当に楽しかったよ」と屈託ない笑顔を浮かべる。
完成した作品を「今までのスター・ウォーズ作品の中では、少しくだけた、楽しい作品になっています。たくさんのクリーチャーも登場しますし、“アングラなギャング”という、個人的に好きなスター・ウォーズの世界観も出てきます。日本の皆さんにも気に入っていただけると思います」とアピールする。
俳優デビューから14年。その間、フランシス・フォード・コッポラ監督の「Virginia/ヴァージニア」(2011年)や、ウディ・アレン監督作「ブルージャスミン」(13年)、さらにコーエン兄弟の「ヘイル、シーザー!」(16年)といった映画に出演してきた。その都度、「与えられた役を演じるために最善を尽くすこと」を肝に銘じてやってきた。その姿勢は今回も同じだ。
それでも、今回のハン・ソロ役が特別であること、周囲から注がれる視線がいつもとは違うことは、肌で感じている。そんな中で、エアエンライクさんが心掛けているのは、「プロとしての生活と個人的な生活の両方を、きちんと分けて持つこと。この作品の公開があったから、世界中を旅して、素晴らしい冒険を体験できていますが、僕自身の個人的な生活はなんら変わりません。それは、僕を支持してくれ、また、僕の変化を喜んでくれる、僕という人間の“土台”となる、いい友人と家族に支えられているからだと思います」と真摯(しんし)に語る。
1989年生まれで現在28歳。中学、高校時代から学生映画の監督や演技を経験。ニューヨーク大学在学中には、映像・演劇を創作するグループを創設し、いくつかのオリジナル劇や短編映画を発表した。創作意欲は旺盛のようで、現在も「自分が脚本を書いて監督した短編を編集しているところ」だという。
ただ、自身としては「最も愛情を注げるのは演じること」だそうで、「これからも素晴らしい監督たちと仕事をしていきたいと思っています」と謙虚に語る。ただ、数々の名監督たちとの仕事を経験してきたことは、「自分にとっては映画学校に通っているような体験でもあったので、映画に、フィルムメーカーとして携わりたいという気持ちもあります」と、製作側への興味も捨てがたい様子。
そして、「役者というのは、例えて言うなら、大きなキャンバスに、一つの色となって参加すること。一方、監督は、いろんなツールを使って表現ができる。僕は、映画という媒体がとても好きなので、これからもいろいろなことを試して、学んでいきたいと思っています」と意欲を見せる。
そこで、自分をキャンバスにのせるなら何色かと聞くと、「色というのは、場面ごとに変わるものですし、どういう感情を表現しているかでも変わってきます。青いときもあれば赤いときもある。要求されるものによって異なります」とした上で、「今回、ハン・ソロを演じて面白かったことは、壮大なシリーズの一部でありながら、非常に立体的な役柄だったことです。その意味では、いろんな色を表現できているのではないかと思います」と胸を張った。映画は全国で公開中。
<プロフィル>
1989年生まれ、米カリフォルニア州ロサンゼルス出身。幼いころから演技に関心を持ち、中学、高校時代には、学生映画の監督や演技を経験。ニューヨーク大学在学中には、映像・演劇集団「ザ・コレクション」を創設。テレビシリーズ「スーパーナチュラル」(2005年)や「CSI:7 科学捜査班」(06年)のゲスト出演を経て、フランシス・フォード・コッポラ監督の「テトロ 過去を殺した男」(09年)で映画デビュー。以降「Virginia/ヴァージニア」(11年)、「イノセント・ガーデン」(13年)、「ブルージャスミン」(13年)、「ヘイル、シーザー!」(16年)などに出演。主演作に「ビューティフル・クリーチャーズ 光と闇に選ばれし者」(13年)がある。
(取材・文・撮影/りんたいこ)
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