注目映画紹介:「響 -HIBIKI-」欅坂46・平手友梨奈が初主演 圧倒的才能の女子高生作家が乗り移る

映画「響 -HIBIKI-」の場面写真 (C)2018映画「響 -HIBIKI-」製作委員会 (C)柳本光晴/小学館
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映画「響 -HIBIKI-」の場面写真 (C)2018映画「響 -HIBIKI-」製作委員会 (C)柳本光晴/小学館

 アイドルグループ「欅坂46」の平手友梨奈さん主演の映画「響 -HIBIKI-」(月川翔監督)が、14日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。マンガ誌「ビッグコミックスペリオール」(小学館)で連載中の柳本光晴さんの人気マンガ「響~小説家になる方法~」が原作。平手さんは映画初主演で、デビュー小説で芥川賞と直木賞を同時受賞した天才女子高生作家・鮎喰響(あくい・ひびき)を演じている。マンガで描かれているキャラクターが乗り移ったかのような演技は魅せる。

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 文芸誌「木蓮」の編集部に一編の新人賞応募作が郵送されてきた。規定はネット応募のみ受け付け。応募者の連絡先も書いていない。要項を一切無視したその作品は破棄されるはずだったが、編集部の花井ふみ(北川景子さん)が目に留める。それは15歳の女子高生、鮎喰響の書いた「お伽(とぎ)の庭」と題された小説だった。その小説は圧倒的な才能を感じさせるもので、文学界に革命を起こす力を持っていた。

 偶然、響と出会い、何とか連絡先を知ることができた花井は、その小説を世に送り出すことに成功し、芥川賞、直木賞の同時受賞という快挙を成し遂げる。

 だが、響は普通の女子高生ではなかった。自身の信念を貫き、絶対に曲げない。凶暴な一面も持つ特異人物。やがて、過去の栄光にすがる小説家やスクープを追うことに目がくらんだ週刊誌記者、生きることに絶望した作家らに影響を与える……という展開。


 響の所属する文芸部の部長で、父が著名な作家だが響の圧倒的な才能との差に苦しむ女子高生・祖父江凛夏役を、8年ぶりの実写映画出演のアヤカ・ウィルソンさんが演じる。ほかに高嶋政伸さん、柳楽優弥さんらが出演。昨年、実写版「君の膵臓(すいぞう)をたべたい」を手がけ、今年は「となりの怪物くん」「センセイ君主」などが公開された月川翔監督がメガホンをとった。

 とにかく初主演とは思えない平手さんの演技と存在感に圧倒された。予告編にも出てくるように、指をへし折り、顔面蹴り、平手打ちなど直情径行型の響には、最初はあっけにとられたが、そのうち一種の爽快感に変わっていった。

 響が小説の感想を作家に伝える際、社会的地位や年齢、性別などおかまいなしだ。言葉には真の感情しか込められていない。「あなたの小説、好き」と握手する時の笑顔に、心が救われた。圧倒的な才能、カリスマ性を持っている人物は、こんなにも人を引き付けるものか。

 平手さんの外見は、マンガで描かれている響の鋭い顔の輪郭とは真逆の丸顔だが、演技はキャラに寄せているどころではなく、そのものだ。月川監督が「平手友梨奈は響で居ることのほうが自然体に見えるほど。驚きの速度で成長し、あっという間に魅了されてしまった」と語っている通り、現場で監督をもとりこにしてしまった。ここまではまり役はめったに見られない。マンガ実写化の正統的な一編に仕上がっている。(細田尚子/MANTAN)

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