俳優の松坂桃李さんが、映画「居眠り磐音(いわね)」(2019年5月17日公開)で時代劇映画に初主演することが24日、明らかになった。原作は、51巻で累計発行部数2000万部を突破した佐伯泰英さんの“平成で最も売れている時代小説”シリーズ。佐伯さんの作品が映画化されるのは今回が初めて。
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昼間はうなぎ屋で働き、夜は両替屋の用心棒として悪と戦う心優しい主人公・坂崎磐音を演じる松坂さんは「クランクイン前に殺陣や所作に加えて、うなぎさばきの練習をしてきましたが、非常に難しく心が折れそうになりました」とコメント。
映画「空飛ぶタイヤ」などの本木克英監督がメガホンをとる。脚本は、NHK木曜時代劇「ちかえもん」を手がけ、時代劇の脚本としては初めてとなる向田邦子賞を受賞した藤本有紀さんが担当する。
併せて、両A面になったティザービジュアルが解禁された。一つは、優しいまなざしでこちらを振り返る松坂さんの写真と、「彼は、優しさで、あなたを守る。」というキャッチコピーがあしらわれている。もう一つは、松坂さんが岩の上に腰かけ、そばにいる猫とともに穏やかにたたずむ姿がデザインされている。
映画には、江戸勤番を終え、豊後関前藩に3年ぶりに戻った坂崎磐音と幼なじみの小林琴平、河井慎之輔の3人が登場。琴平の妹・舞は慎之輔に嫁いでおり、磐音は琴平と舞の妹・奈緒との祝言を控えていた。そんな中、慎之輔が「舞が不貞を犯した」といううわさを聞き、舞を斬る。激高した琴平は慎之助を斬り、磐音は琴平を討ち取るよう命じられる。琴平を討ち取った磐音は脱藩し、江戸で浪人として暮らし始めた。江戸でうなぎ割きや両替商・今津屋の用心棒の仕事をしていた磐音だったが、今津屋が騒動に巻き込まれ、用心棒として立ち上がる……という展開。
僕が演じた坂崎磐音は穏やかで静かな空気をまといつつ、心の奥底に青い炎を燃やしている、そんな男です。年寄り猫のような磐音、彼の中で時間がゆっくり流れているような。クランクイン前に殺陣や所作に加えて、うなぎさばきの練習をしてきましたが、非常に難しく心が折れそうになりました。本木監督はじめ、アクションチーム、京都のスタッフさん、共演者の皆様に支えていただき、何とか最後まで演じ切ることができました。幅広い世代の方に楽しんでいただける作品になっていると思いますので、よろしくお願いいたします。
「居眠り磐音」は、時代小説としては異例の51巻の長大シリーズだ。松坂桃李君主演で映画化されることになった。私にとって映画化は初めてなら、松坂君にとっても時代劇初主演だそうだ。私はなぜか初物に強い。文庫書き下ろし時代小説という出版形態を確立したのも私である(いささか強引過ぎるかもしれぬが)。これほどの「初物」づくしの撮影現場を京都の太秦松竹撮影所に見物に行った。何十年ぶりだろう、映画スタジオに足を踏み入れたのは。その瞬間、数十年の空白(日芸映画科卒業、撮影助手が最初の仕事だ)がかき消えて、現場の高揚感と緊張感が私の身を包み込んだ。磐音役の松坂君も初々しかった。初物づくしの映画は、ビギナーズラックを生み出すに違いない、そう原作者は確信している。
あたかも娯楽時代劇の傑作に見入るかのような佐伯泰英原作の読み心地を、映画でも現出したいと思いました。松坂桃李さんという新鮮な才能を得て、本格派の時代劇がよみがえりました。
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