桐谷健太:「まんぷく」世良の“憎めない”キャラ作りに苦心

NHKの連続テレビ小説「まんぷく」に世良勝夫役で出演している桐谷健太さん (C)NHK
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NHKの連続テレビ小説「まんぷく」に世良勝夫役で出演している桐谷健太さん (C)NHK

 女優の安藤サクラさんが主演を務めるNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「まんぷく」に、世良商事の社長・世良勝夫役で出演している桐谷健太さん。世良は、ずうずうしいお調子者で、時として悪事を働くこともあるが、「なぜか憎めない」と感じている視聴者も多いようだ。「一緒にいたら立ち止まっているのがアホらしくなるような、ケツをパーン!とたたいてくれるような魅力が世良にはある」と肯定する一方で、「なんか憎めないよね」という面を空気感や在り方で表現しなければならないのが「難しい」と明かす桐谷さんに、話を聞いた。

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 ◇世良の憎めなさ「せりふだけで表現できるわけではない」

 元は技術屋だった世良。ヒロイン福子(安藤さん)の夫・萬平(長谷川博己さん)の優れた技術と才能に圧倒され、「作る方」から「売る方」に転身し、販売の道へと突き進んでいく。常に損得勘定で行動し、萬平を「親友」と呼んだりするが、得にならないと分かるとあっさり見捨てたりすることも。要領が良くて、状況を判断する力にたけた、ある意味「たくましい男」だ。

 「街を歩いていると声を掛けられることが増えました」と喜ぶ桐谷さん。世良については「もし友達にいたら『あいつどうしようもないな』となるかもしれませんが こんなにも行動的で、めげずに前に進めるたくましさをうらやましく思われる方もいるのではないでしょうか」と笑う。

 演じる上で難しいのは、「世良は敵か味方か分からないうさんくささを持っていて、しかも悪いこともやってしまうのに、『それでもなんか憎めないよね』という側面を空気感や在り方で表現しなければならないこと」で、「それはせりふだけで表現できるわけではなく、視聴者の方に感じ取ってもらわなければいけない」と桐谷さんは考えている。

 ◇言い方一つで「世良らしさがなくなってしまう」という難しさも

 世良の賢さは誰もが認めるところ。大阪商工会の三田村会長(橋爪功さん)に積極的に近づいたり、萬平らが苦労して作った塩の売り上げをちょろまかしたりするが、桐谷さんは「普段から計算高く見えてしまったら、周囲から見ると憎めないという気持ちが減り、ただの嫌なやつになってしまう」という持論を持つ。

 それでは世良を「憎めない」と思ってもらうにはどうしたらいいのか? 被害者の筆頭(?)のような萬平自身が、世良のことを「でも憎めないんだ」と口にするシーンもあったが、桐谷さんは「『しゃーないな、この人』という雰囲気を出すのは非常に難しい」と常々感じているという。

 憎めないキャラを意識するあまり「言い方一つで世良らしさがなくなってしまう」という難しさも当然ある。それこそ初めのころは、後に世良が萬平の金を取ることも、「でも憎めないんだ」と言われることも、まったく分からない中での演技だっただけに、“逆算”することもかなわなかった。それでも桐谷さんは「それまでの一つ一つのシーンの積み重ねが生きてくる」と力を込める。

 「とにかく世良はストーリーをものすごくかき回す人物です。本人は狙っているわけではないと思いますが、風穴を開けたり、かき混ぜたりして、周囲を変化させていきますよね。良い悪いは置いておいて、なにかしらの刺激を与えてくれる。人との出会いにも、単純に楽しかったからよかったという典型的ないい出会いもありますが、ちょっと嫌なことがあっても、その後に考えさせられたり、何か成長できたりすれば、それはそれでいい出会いだと思うんです。世良が前者か後者かは見ている人にお任せします」とも語っていた。

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