青木志貴の魔王式随想:初めてのオンラインゲームの思い出(前編)

青木志貴さん
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青木志貴さん

 人気ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」の二宮飛鳥役などで知られる新人声優の青木志貴さん。自身を「ボク」と呼ぶ“ボクっ娘”で、“魔王”のニックネームで「League of Legends」などのオンラインゲームをがっつりやり込むコアゲーマーという異色の経歴も併せ持つ青木さんが、その独自の視点で自身の歩みやさまざまな思いを語ります。今回は、前後編で青木さんが初めてのオンラインゲームの思い出を振り返ります。

ウナギノボリ

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 皆さんこんにちは! 志貴です! 今回ボクがお話しするのは、オンラインゲームについて。今までのコラムで何度もゲームについてお話ししてきましたが、今回はボクが生まれて「初めて出会ったオンラインゲーム」についてです。オンラインゲームが大好きな方は今の時代だとたくさんいらっしゃると思いますが、そんな皆さんは、自分が一番最初にプレイしたオンラインゲームを覚えていますか?

 ボクが初めて「オンラインゲーム」というものに出合ったのは、中学2年のときだったと思います。それまでももちろんゲームは大好きで、毎日小さい頃からずっとゲームをしていました。でもそれまでに遊んでいたゲームは、64だったり、PSだったり、ネットにつなぐ必要のないゲームだけ。パソコンで遊ぶゲームなんてソリティアとかマインスイーパーとか、そういうのしかないと思ってたんですね(笑い)。

 そんなボクがオンラインゲームと出合ったきっかけは、自分で見つけたのではなく友達の紹介でした! その友人は中学校でできた友人で、同じ部活。その子もオタクで、よく2人で同人誌即売会に行ったり、コスプレイベントに行ったり……。当時一番よく遊んでたオタク友達でした。しかしながら友人はあまりゲームなどするタイプではなく、ゲーム機も全然持ってなかったので、そんな友人から「ゲームを最近始めた」と聞いて、どんなゲームなのかとても興味を持ったんです。そして友人宅で見せてもらったゲームが、ボクの「初めてのオンラインゲーム」との出合いになりました。

 そのゲームは「Tales Weaver(TW)」という、元々韓国であったゲームが日本でもできるようになったもの。最初に「テイルズ」と聞いて、コンシューマーゲームばかりやっていたボクは、「テイルズオブシリーズのゲーム???」とかいろいろ混乱してましたが(笑い)。初めて見る世界に、たくさんの動くキャラ。このキャラたちはみんな、誰かが操作してるキャラクターだと知ったときは本当に驚きましたし、わくわくしました。すぐに興味を持ったボクは、帰ってすぐTWをインストール。当時のうちのパソコンは、ゲーム用パソコンではもちろんなく。動くかとても心配だったのですが、2Dのゲームだったので問題なくサクサク動きました。

 キャラクターをつくり、名前をつけ、いざTWの世界にログイン。このとき初めて使用したキャラが「ボリス」というキャラクターで、TWの原作小説「ルーンの子供たち」では主人公にあたるポジションのキャラです。今ではオンラインゲームを始めるときは、キャラ性能だったり強さを重視してキャラを選択するようになってしまったのですが……。当時は完全に見た目の好みで選んでましたね!(笑い)。そしてこのボリスというキャラクターは、ボクの中でとても大切な思い入れのあるキャラクターになっていきました。

 ログインしてまず、友人と連絡を取り合います。ボクも友人も携帯でメールができたので、連絡をとってゲーム内で待ち合わせ。普段リアルで待ち合わせたり遊んだりしている友人と、ゲーム内でも待ち合わせる……。とてもどきどきしたのを覚えています。しばらくして友人のキャラが到着。ゲーム内ではボクも友人も男キャラでした(笑い)。離れていても一緒に遊べるし、チャットで会話もできる。ボクはとにかくこの「TW」に夢中になって、ひたすら遊び続けました。その頃のTWはまだサービス開始直後のオープンベータサービス中。無料で遊べる期間だったのですが、しばらくたって無料期間が終了することに。友人はそれを機にTWをやめてしまったのですが、ボクはがっつりとTWの世界にはまってしまっていたので、友人がいなくともひとりで月額課金をし続け、遊ぶ日々。中学2年生にとって月額2000円(だったかな?)はなかなかの金額だったと思うのですが、当時のオンラインゲームは月額課金のものが多かったです。

 友人がいないながらも、ゲームを遊んでいるうちに、ゲーム内で自然とフレンドができていくのもまたオンラインゲームの魅力のひとつ。ボクはこのオンラインゲームの面白さをもっと知ってほしい!と思い、コスプレをきっかけに知り合ったひとつ年上の友達にTWを紹介しました。今もずっとつながっていて、「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」をやったり、「ファイナルファンタジー(FF)14」をやったりとオンラインゲームライフは続いています(笑い)。友達もTWにはまってくれたのか、すごい速さでレベルを上げ、フレンドもたくさんいたようで、自分が良いと思って紹介したゲームを心から楽しんでくれてるのがとてもうれしかったです。

 このTWに出合ってからボクのゲーム人生がガラリと変わりました。高校に入って一人暮らしを始めてもTW生活は変わらず、一日のほとんどをTWの世界で過ごすことも多かったです。TWが好きすぎるあまり、原作のルーンの子供たちという小説が発売されると聞いて、即購入しましたし、本をみて、自キャラボリスの生きざまを見て号泣したり。このゲームはとにかく音楽も素晴らしくて。今でもふと思い出して聴くぐらい、BGMも思い出深いです。特にボクのお気に入りの曲は「Second Run」と「Reminiscence」。でもどの曲も本当に大好きで、今でも曲を聴くだけでフィールドや街がすぐわかります(笑い)。

 それくらい大好きになっていったTWですが、特にこの頃は目標もなく、ただメインストーリーを進めて、ちまちまレベルを上げて、かっこいい装備が取れたらいいな~ぐらいだったのですが……。ボクはクラブ(ギルドや団のようなもの)にずっと入ってなかったんです。かなり長い間遊んでいたにもかかわらず(笑い)。そんなボクが知らない人に勧誘され、入ったクラブ。もちろんクラブメンバーに知ってる人はいないし、最初はかなり孤独でした。皆良い人なのですが、元々仲が良い人たちの輪に入っていくのって、リアルでもオンラインゲームでも変わらないんです。すごく勇気がいる。だからクラブに入ったものの、ずーっと会話に参加せず、ひたすらインアウトのあいさつだけ繰り返してひとり黙々と遊ぶ日々。

 そんな中、ボクと同時期にクラブに入ってきて、ボクと同じように全くしゃべらないクラブメンバーがいました。(後編に続く)

 ◇プロフィル

 あおき・しき=1月14日生まれ。162センチ、AB型。「アイドルマスターシンデレラガールズ」の二宮飛鳥役など。声優、タレントと多方面で活動中。ゲーマーとしても「魔王」の愛称を持つコアゲーマー。

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