スペシャルドラマ「新年早々 不適切にもほどがある!~真面目な話、しちゃダメですか?~」
スペシャルドラマ「新年早々 不適切にもほどがある!~真面目な話、しちゃダメですか?~」
1月4日(日)放送分
宮藤官九郎さんが脚本を手がけるNHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で、若き日の志ん生こと美濃部孝蔵を演じている森山未來さん。3月31日放送の第13回「復活」では、泥酔した状態のまま初めて高座に上がり、“完走”はできないながらも激しい身ぶり手ぶりで迫真の「富久」を披露する孝蔵を熱演した。だが、役作りでは「浅草に住んだ方がいいのか」と悩むこともあったという。森山さんに、役作りや撮影エピソード、話題を集めた“語り”などについて聞いた。
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これまでは車夫としての姿が目立っていたが、第13回「復活」ではついに初高座を経験した孝蔵。いよいよ落語家として本格的なスタートを切った。そんな孝蔵を演じるため、どのような準備で臨んだのか。森山さんは「ラジオやレコード音源、テレビの映像などの資料はあるけど、どれも晩年の姿。皆さんが知っている古今亭志ん生は、だいたい(19)70代のころの姿で、戦前がどうだったかはあまり知られていないんです。かろうじて若かりしころの志ん生を知っている人の言葉から、推測するしかない」と説明。「架空と史実の間みたいな存在。だからとにかく文献を読んだんです」と準備を明かす。
浅草の下町に住む孝蔵を演じるため、浅草には頻繁に足を運んでいたという。「『打つ・買う』はやらないので、(その代わり)浅草方面にはずっと行っていましたし、寄席を見ることも続けていました」と語る。通うだけではなく、「浅草に住んでみた方がいいのか」とまで考えた。「悩んだんですよね。でも、映画『苦役列車』のときのように、(役作りのために)住み込んで……ということは、やらなかった。そういうことを最近はやらなくなったかなと思います。それより『どれぐらい自分のままでそこにいられるか』という気持ち作りの方が大事」と心境の変化を明かす。
初めは「まずい落語といい落語の違いが分からないぐらい素人だった」という森山さん。志ん生を演じる上では「落語というより、話し言葉をどう考えたらいいのかなと思いました」という。「まず、関西人と関東の人の気質が違う。いくら江戸前の言葉で話をしようと、僕はメンタルが関西人なので。人との関り方、生き方の形が多少違うので、すぱっと歯切れのいい感じが出せる気にならないという思いがあって、そこは気にしました」と振り返り、「孝蔵は浅草の下町っ子、という設定だけど、僕なりのアプローチでできる方法が見つけられた方が面白いのかな」と語る。
第13回では、レース本番で途中棄権した金栗四三(中村勘九郎さん)が再び走り出す姿に重なるように、森山さんも途中で力尽きたものの、車夫としての経験を生かした勢いのある迫真の「富久」を2分以上にわたって演じてみせた。孝蔵の前半の最大の見せ場となるシーンだ。森山さんは「上手にやろうというより、酔っ払いの勢いと熱量、初めて高座に上がる緊張、そして変な突破の仕方をしちゃう孝蔵のエネルギーを見せられればいいかなという感じでした」と振り返る。
森山さんといえば、孝蔵役と同時に番組内のナレーションとなる“語り”も務めており、ときにはマラソン実況も行うなど、その軽快でテンポのいい語り口が話題を集めた。こうした“語り”について森山さんは「撮影しているときは、ナレーションのことは特に意識していないです」とさばさばと語るも、「(演出の)大根仁さんと映画『モテキ』をやったとき、モノローグがめちゃくちゃあったので、そこで鍛えられたおかげ、という感じはありますね」とほほ笑む。
役を作る上で無視できないのが、孝蔵の後の姿を演じているビートたけしさんの志ん生だ。森山さんは「たけしさんに寄せた方がいいのかどうか」を考え、「とにかく見てみよう」と、たけしさんが撮影しているスタジオに足を運んだという。そのときに見たたけしさんの志ん生は、「髪の毛は金髪だし、思っていた以上に『たけしさんはたけしさん』として演じている姿を見たんです。それまで悩んでいたところもあったんですが、それを見て『もう悩まなくてもいいかな』と思いました」と明かす。
そんなたけしさんについて、「やっぱり生粋の芸人さんなんだな、と。本当に芸を持った人、という意味での芸人なんだと思いました」と森山さん。「『高座に上がる』ということを、ちゃんと理解されている方。高座に上がるシチュエーションの撮影の時、事前に小噺を用意していらっしゃるみたいで。エキストラの人たちの表情を撮るために、その小噺をやるんです。頼まれていないのに……。すごいなと思います」と脱帽する。
もう一人、孝蔵と特に関りのある人物といえば、師匠・橘家円喬役の松尾スズキさんだ。松尾さんの印象を聞かれると、森山さんは「緊張しますね」と吐露。「すばらしい作家でもあり、演出家でもあり、役者でもあると思っているので、本当に師匠としてそこにいる、というか。決して高圧的な感じは無いんですけれど、空恐ろしいところが常に彼にはあるので、その近寄りがたさみたいなものは、すごく『円喬と孝蔵』という関係性として良かったと思います」と語り、「かといって愛情がない人ではない。その愛情の出し方が特殊な人のような気がしていて。不思議ですよね」と笑う。
今後は、これまでの車夫から一転、円喬とは別の噺家について地方を回るなど、いよいよ落語家としての孝蔵が色濃く描かれていくことになる。森山さんは「若いころはまだ下手くそでいいんですけど、たぶん僕、40~50代の姿まで演じることになるので、うまい落語になってきたらどうしようかなと思っています」と冗談めかして語るが、孝蔵役は「もう、楽しくやらせてもらっているという感じです」と現場を楽しむ余裕ものぞかせる。明治から大正に移り、新たな展開に入った「いだてん」。そのストーリーとともに、森山さん演じる孝蔵の今後の成長にも注目だ。
大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」は全47回。NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。
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