俳優の竹内涼真さんが日本語吹き替え版で出演する米映画「名探偵ピカチュウ」(ロブ・レターマン監督)が5月3日から日本先行公開される。ポケモン初の実写映画で、行動を共にする名探偵ピカチュウと主人公ティムの掛け合いが見どころの一つだ。ティム役を演じる米俳優のジャスティス・スミスさんと吹き替え版でティムの声を演じる竹内さんに、“ポケモン愛”や撮影エピソードなどを聞いた。
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――出演の話を聞いたときの気持ちを教えてください。
スミスさん:オファーの電話を受けたとき、一人でニューヨークのカフェにいたんです。なりふり構わず大はしゃぎしたかったけど、大人なので、外に出て街中でジャンプしました(笑い)。
竹内さん:僕は幼稚園に通っていたころからゲームをやっていたしアニメも見ていたので、まず予告を見て、実写化にびっくりしていたんです。予告のクオリティーの高さに感動していたら、その数日後に吹き替えの話をいただいて、またすごくびっくりして……。吹き替えは初めてだったのでアフレコまではドキドキで「どうやったらいいんだろう」と不安な気持ちもありましたが、うれしかったですね。
――スミスさんは、実際は撮影現場にピカチュウはいないなど特殊な環境での撮影でしたが、苦労したことは?
スミスさん:映画では、きちんとピカチュウと話をして、反応をして……という関係を描かないといけなかったので、演技しやすいように、動いているポケモンはどんな姿勢なのか、肩に乗ったらどの高さにくるのか、監督が具体的に体感できる状況を作ってくれて、演技に入ったんです。それでやりやすくなったし、そういう積み重ねがあったからこそ、ピカチュウとティムの関係がリアルに見えるようになったんだと思います。撮影では(ピカチュウがいるように他の人が)足を引っ張ったりしていたんですよ。
竹内さん:あれはすごかった……。こうやっているんだ、と驚きました。
――スミスさんはヨシダ警部補役の渡辺謙さんとの共演シーンもあります。共演の感想は?
スミスさん:非常にクールで才能にあふれた方だな、というのが率直な気持ちですね。シリアスで、演劇的な分野で活躍されている方だと思っていたんですが、ご一緒させていただいたら最高に面白くて、一緒に楽しんでくれる方で。アイデアにあふれていて、魅力を感じた現場でした。台本にはなかったせりふもアドリブで加えていて、映画の魅力がより増したと思います。シリアスな分野でも有能な方が、こういう面白い作品でもこれだけ才能を発揮されるんだと学びになりました。
――竹内さんは今作が吹き替え初挑戦でした。演じてみていかがでしたか?
竹内さん:英語と日本語の表現の違いに最初は苦しみました。収録時は未完成の映像を見て日本語吹き替え用の台本と照らし合わせるんですが、ジャスティスの演技が繊細で素晴らしく、ピカチュウとの掛け合いもすごく細かい。そのリアルなお芝居に日本語で訳された言葉を当てるとティムのキャラクターとややずれてしまう気がしたので、そこが難しかったですね。たとえばジャスティスが言ったせりふを日本語に直すと、ちょっとカッコよくなったり、強くなったりしちゃう。吹き替えの監督と話し合って、語尾を変えたりして、ティムに少しでも近づけました。吹き替えで見た人と字幕で見た人の感想が変わらないように意識していましたね。
――竹内さんは吹き替えだけではなく、ポケモントレーナー役でカメオ出演も果たしています。ロンドンでの撮影はいかがでしたか?
竹内さん:グリーンバックでの撮影でした。吹き替えという形の他に、カメオでポケモントレーナーとして出演できたのはすごくうれしかったです。モンスターボールが持てて、夢がかなったわけですよ! 押したらちゃんと光るんです。
スミスさん:イエー!(笑い)
竹内さん:衝撃でしたね。一つしかないから大事に投げてね、と言われて(笑い)、緊張しながら投げました。短い時間の現場でしたが、モンスターボールのクオリティーだったり、ポケモントレーナーという一瞬しか出ない役でもどういうコスチュームにするか考えたり、実写化の感覚が日本とはまた少し違っていてすごいなと思いました。ポケモントレーナーの格好で外を歩いても変じゃないような、現実なのかなと錯覚させてしまう仕上がりがすごくて、感動しました。一瞬だったけど、映画のチームに入れた気持ちになれましたね。
――完成作を見た感想は?
スミスさん:「こういうふうにしてほしかった」というふうに具現化されていて、とても感動しました。童心に返って、夢が実現したような気持になりましたね。
竹内さん:素晴らしかったです。日本の一ポケモンファンとして、見て楽しかったし、ポケモンがすごく可愛くて……。好きな人は絶対喜ぶし、これからポケモンを知る子供も大人も楽しめると思います。あと、ジャスティスが演じるティムとピカチュウの関係性がすごくいとおしく……本当に素晴らしいなと思いました!
スミスさん:よかった!(笑い)
竹内さん:感動しました。
――今作をたくさんの子供たちが見て、思い出深い作品になると思います。お二人にとって思い出深い映画とは?
スミスさん:ポケモンのアニメの映画は子供のころからたくさん見ていて、大好きでした。アクションにあふれていながら、感動的な人の心を動かすようなシーンがたくさんあって。
竹内さん:僕、初めて映画館に見にいった作品は「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」(1998年)ですよ。母と一緒に見に行きました。最初はミュウツーが怖かったです。
スミスさん:僕も昔から大ファンで、カードもゲームも持っていたし、フィギュアも持っていました(笑い)。自分自身が映画に出演できたのもうれしいんですけど、それとは別のところで、さまざまなポケモンが毛並みやうろこも含めて現実のものになったことが、とてもうれしいですね。
――それでは、最後に大ファンのお二人が感じるポケモンの魅力とは?
スミスさん:特別なパワーを持ったポケモンたちがいるのでファンタジックな要素が非常に強いんですが、それだけではなく、特にアニメは人間味のある、骨子となるストーリーがきちんと存在していることだと思うんですね。ヒューマンドラマが必ず込められている。ただの不思議な、魔法的なファンタジーで終わるのではなく、人間味のあるストーリーが重要だと思っていますし、今回もそこをきちんと表現するべく精いっぱい努力しました。
竹内さん:僕は物心ついたときからポケモンが好きだったんです。いろんなタイプのポケモンがいて、意思を持って人間と通じ合えて、ゲームだったら自分の手持ちに加えて歩くことができる。現実にはいないけど、いるような錯覚に陥ってしまうぐらい身近なものだと思いました。そんな素晴らしい作品が実写化されて、ポケモンの言葉が聞きたかった、という思いが実現されたんですが、ポケモンファンからすると、ピカチュウがしゃべっているってすごいことなんですよ。だからこそ、今作は今までのポケモンの魅力にさらに魅力が重なって、大きなものになったなと思います。
*……映画は2018年に発売されたニンテンドー3DS向けゲーム「名探偵ピカチュウ」をベースに「パシフィック・リム」「ダーク・ナイト」シリーズのレジェンダリー・ピクチャーズが製作。「デッドプール」などで知られるライアン・レイノルズさんが名探偵ピカチュウの声を担当する。少年のころ、ポケモンが大好きだったティムは、疎遠になっていた父・ハリーが事故で亡くなったという連絡を受け、人間とポケモンが共存するライムシティーへと向かう。父の部屋に入ったティムは、そこで自分にしか聞こえない人間の言葉を話すピカチュウと出会い……というストーリー。
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