木村拓哉:警察学校の冷徹な教官に! スペシャルドラマ「教場」で主演

フジテレビ開局60周年特別企画のスペシャルドラマ「教場」で主演を務める木村拓哉さん=フジテレビ提供
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フジテレビ開局60周年特別企画のスペシャルドラマ「教場」で主演を務める木村拓哉さん=フジテレビ提供

 俳優の木村拓哉さんが、2020年新春に2夜連続で放送されるフジテレビ開局60周年特別企画のスペシャルドラマ「教場」で主演を務めることが3日、分かった。ドラマは、長岡弘樹さんの同名のベストセラー小説(小学館)を初めて映像化するもので、木村さんは主人公の冷徹な警察学校教官・風間公親(かざま・きみちか)を演じる。木村さんは、「おそらく見たことのない、味わったことのない作品になると思うので驚く方が多いのではないかと思います。作る側としては、僕らの責務として全力で作品を作るしかないので、楽しみに待っていていただけたら、と思います」とコメントしている。

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 原作は、警察学校で極限状態を生き抜く生徒それぞれのよこしまな思惑を監察力にたけた教官が暴いていくミステリー作品。過酷な警察学校で覚醒していく生徒たちの青春物語であり、厳格なカリスマ教師が個性あふれる生徒たちと向き合う人間教育の物語でもある。「週刊文春ミステリーベスト10」(13年)第1位、「このミステリーがすごい!」(14年)第2位を獲得した。

 舞台は木村さん演じる風間が教官を務める警察学校。「警察学校は、優秀な警察官を育てるための機関ではなく、適性のない人間をふるい落とす場である」と考える風間は、生徒がトラブルに見舞われた途端、退校届を突きつける非情な男。生徒たちは早朝6時起床から激しいトレーニングにさらされる毎日で、何より厳しいのがルール厳守。その行動は、常に監視体制に置かれ、誰かのミスは連帯責任で負う。何よりうそがバレたら即退校。その厳しさに耐えかねず、自ら退校していく者も少なくない。

 辛苦ともいえる究極の試練が待ち受ける警察学校には、さまざまな背景を持つ生徒たちがさまざまな動機で集まってきている。警察官に憧れる元教師、さまざまな職を転々とし警察学校が最後のチャンスと思っている落ちこぼれ転職組、婚約者を亡くし心機一転で警察官を目指す女性など。また、警察学校という閉塞(へいそく)した極限状態で生徒たちが抱える葛藤もさまざま。教官の飼い犬と揶揄(やゆ)される者、反抗する者、取り入ろうとする者、気が弱く倒れてしまう者……。警察学校という名のサバイバルゲームを生き抜くため、秘密と思惑が渦巻いていく。果たして何人が最後まで生き残り、誰が卒業証書を手にすることができるのか。さらに風間は、生徒たちが起こすさまざまな事件、複雑に絡み合った真相をそれぞれ解決していくことはできるのか。そして、生徒たちに非常識ともいえる謎の試練を与え続ける風間の真の狙いとは……。

 木村さん演じる風間は、クールで落ち着いた物腰の教師であり、卓越した観察眼と推理力を備えた名探偵でもある、謎に満ちた存在。学生をどう喝するようなことはないが、何を考えているかが全く分からない孤高の男で、「警察学校は生徒をふるいにかける場所」という考えのもと、生徒たちの深層心理に迫っていく。

 脚本は、「踊る大捜査線」シリーズなどの君塚良一さんが手がける。木村さんとは初タッグとなる。また、「若者のすべて」(1994年)、「眠れる森」(98年)、「プライド」(2004年)などの作品で木村さんとタッグを組んできた中江功さんが演出を手がける。

 木村さん、原作者の長岡さん、脚本の君塚さんのコメントは以下の通り。

 ◇木村拓哉さん

 --今作の出演オファーを聞いていかがでしたか。

 警察という組織を描いている作品は数多くあるのですが、今作は内容が非常に刺激的だと思いました。警察という機関の根っこの部分、警察官になってからではなく警察官になるまでの話を描いており、いろいろなエピソードを盛り込んでいるので、その着眼点もすごく面白いなと思いましたし、やりがいも感じました。クランクインするずいぶん前から、すぐ10分後にでも撮影を始めたいという気持ちでいました(笑い)。

 共演者の方々の今作への熱も感じていますし、とても楽しみです。また、中江功監督という存在は自分にとっては教官に近い存在なので、再び共同作業ができることを非常にうれしく思います。

 --脚本を読まれていかがでしたか。

 原作がある作品ではありますが、脚本はそれをスマートにかつ、君塚さんならではの肉付けをしていただきました。原作も読みやすいのですが、脚本も非常に読みやすかったです。原作、脚本どちらも読み物として面白いので、逆に具現化するのは非常にハードルが高いなとも思いました。

 --ご自身の役どころについて、どのように捉えていますか?

 風間は非常に動物的な感覚を持っていると感じました。今の世の中の方針とは真逆だとは思うのですが、肉体的にも精神的にもすごく相手に対して間合いを詰めた状態で教育・指導していく人です。教官という立場ながら退校届をすぐに生徒につきつけるというのが一つのポーズとしてあるのですが、警官を育成していくという点では一切手を抜いてない。キャラクターとしては非常に魅力ある人物像だと思います。

 --役作りについて、事前にやったことなどはありますか?

 監督と実際の警察学校の見学に行かせていただいたり、話し合いをしたりする中、原作から脚本にする段階で、風間の置かれている状況や経験した過去の部分で新たに脚色をさせていただいたところがあり、風間というキャラクターを自分なりに掘り下げながら、みんなで一緒に作り上げているつもりです。

 脚本はすでに出来上がっていますが、撮影する現場において、いらないものはどんどん削っていくでしょうし、必要なものはどんどん足していくことになると思います。それはきっと、現場で人と人が対峙(たいじ)した時に発せられるモノから作り上げられるモノなのだと思います。

 --個人的に注目のシーンは?

 もうありすぎて……(笑い)。非常に中身が濃くて、いろいろなエピソードがあるのでどれも楽しみです。所作指導で少し動いただけで、普段全く使っていない筋力・エネルギーが必要なのだと体感しました。街で見かける交番に勤務されている方や、道路で笛を吹いて旗を振ってくださっている方など、僕らが普段目にしている、お世話になっているあの方たちもみんなここ(教場)を通っていますからね。そういう不思議な感覚があります。

 フィクションではありますが、警察の方々が通ってきた場所を僕らで今、作っているというのが非常に責任も感じるし、楽しみでもあります。

 --武道場での剣道シーンがありますが。

 剣道をドラマの中でやるのは初めてです。剣道は経験があるので、いろいろな経験が今になって生きるのだと思いました。

 --楽しみにしている視聴者にメッセージをお願いします。

 おそらく見たことのない、味わったことのない作品になると思うので驚く方が多いのではないかと思います。作る側としては、僕らの責務として全力で作品を作るしかないので、楽しみに待っていていただけたら、と思います。

 ◇原作・長岡弘樹さん

 主人公である教官、風間を造形するにあたり、最も心掛けたことは、その正体を誰も知らない謎めいた人物にする、ということでした。原作者である私にも、彼について未知の部分がまだいろいろあります。このキャラクターが、日本中で知らない人がいない俳優、木村拓哉さんの強烈な存在感で演じられたとき、画面の中でどれほど予想を超えた化学反応が起きるのか。今から楽しみでなりません。

 ◇脚本・君塚良一さん

 木村さんのドラマが好きで、いつか一緒に作りたいなと思っていました。楽しみです。木村さん演じる教官は、容赦しないやり方で生徒を厳しく育てます。体罰でなく、熱血でもない。彼の教え方は、これからの教師とは何かを示すでしょう。

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