清原果耶:驚異の17歳? 「なつぞら」でも発揮された“吸引力” 役の気持ちにまで深く同化…

NHK連続テレビ小説「なつぞら」でなつの妹・千遥を演じた清原果耶さん (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「なつぞら」でなつの妹・千遥を演じた清原果耶さん (C)NHK

 女優の広瀬すずさんが主演を務めるNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「なつぞら」で、ヒロイン・なつ(広瀬さん)の妹・千遥(ちはる)を演じた清原果耶さんが話題だ。7月1日放送の第79回で初登場すると、ドラマの序盤に漂っていた濃密な空気がにわかに復活。舞台が視聴者にとって思い入れの深い十勝であったことや、草刈正雄さん扮(ふん)する泰樹の温かな視線が近くにあったことも作用したとは思うが、清原さんの出現によって、ある意味、物語がリセットされたような気もする。それらを可能にしたのが、清原さんの確かな演技力に裏打ちされた“吸引力”。彼女の「見る人を引き込む芝居」の裏側に迫ってみた。

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 ◇役と同じ気持ちになりながら、見ている人にも同じ気持ちを味わわせる

 清原さんは2002年1月30日生まれ、大阪府出身の17歳。女優デビューは2015年度後期の朝ドラ「あさが来た」で、同作以降も数々のドラマや映画に出演し、順調に活躍の場を広げてきた。初主演作となった2018年のNHKの連続ドラマ「透明なゆりかご」では、小さな町の産婦人科医院で「命」を見つめる看護師見習い・アオイ役に挑戦。主人公の「命」への祈りにも似た思い、気持ちの揺れ具合を繊細に表現するだけにとどまらず、物語にとって非常に重要なモノローグでは「語り」という才能も発揮し、高い評価を得た。

 「透明なゆりかご」の演出を手掛けた柴田岳志さんは当時、「台本の読みが的確」「自分のイメージをしかりと持っている」「表情が多彩」と熱のこもった口調で清原さんを評し、「驚異の16歳」と言い切っていた。多少のリップサービスもあったとは思うが、約1年が経過し、「なつぞら」における清原さんの演技を目の当たりにすると、あながち大げさではなかったと思える説得力がある。

 同じく「透明なゆりかご」の制作統括・須崎岳さんも当時、「本当に今、アオイとして何かを感じているんだなって画面を見ていて伝わるので、そこがまず素晴らしい」と高く評価。さらに「役と同じ気持ちになりながら、見ている人にも同じ気持ちを味わわせるってことは、どんな作品でも極めて大事なこと。それを16歳でやってのけるのは、やっぱりすごい」と感心していたが、この「役の気持ちにまで深く同化できること」こそが清原さんが画面の中で放つ吸引力の源なのかもしれない。

 ◇「なつぞら」でも千遥の心情と同化 ストイックで徹底した役作りが結実…

 役をうまく演じる役者は他にもたくさんいるのかもしれないが、役の気持ちにまで深く同化できるという部分では、清原さんは同世代でピカイチ。だからこそ、「なつぞら」の千遥のような重要な役どころにキャスティングされたのだろう。

 「なつぞら」でも清原さんの演技に引き込まれる視聴者が続出。特に見せ場となったのが、7月2日放送の第80回、なつ(広瀬さん)や兄の咲太郎(さいたろう、岡田将生さん)と千遥がついに電話で会話を交わすシーン。なつや咲太郎と暮らしていた頃の記憶が断片的でありながら、2人の声を聞いたことで、なつと咲太郎が自分の「姉」「兄」であることが分かったときの、千遥の驚きや戸惑い、うれしさといった心の揺れを、清原さんはこぼれ落ちる涙と共に見事に表現していた。

 実は清原さんは千遥の心情と同化するため、同回の撮影まで広瀬さんや岡田さんの姿や声を、目にしたり耳にしたりすることを避けてきたというが、そのストイックさ、徹底した役作りが結実した、非常に吸引力のあるシーンになったと思う。

 清原さんは以前「役を追求していくのが好きなので、アクションをこなす役なら殺陣の練習を驚くくらいしたいし、歌を歌う役なら、歌をずっと練習していたい。役について考えて生きられる時間をより長く感じていたいんです」と話していたが、そんな真摯(しんし)な思いを抱く“驚異の17歳”の進化はまだまだ止まりそうにない。

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